野球選手における第1肋骨疲労骨折13例の検討.

今回は、第一肋骨疲労骨折に関する報告です。

桐村憲吾:野球選手における第1肋骨疲労骨折13例の検討. 肩関節45(2): 365-369, 2021

臨床との接点


 普段の臨床で第一肋骨疲労骨折の方を経験することが少ないですが、投球後の肩こりや肩甲骨と背骨の間の張り、肩甲骨全体の痛みなど、第一肋骨疲労骨折と類似した症状を呈する方はよく経験します。疲労骨折であれば安静指導が重要となり、筋や腱など軟部組織の問題であれば運動療法が有効です。そのため、運動療法を的確に進める上で第一肋骨の疲労骨折は確実に否定したい疾患であると考えています。

概要


 今回の論文は、第一肋骨疲労骨折の選手の症状などについて述べられています。内容は第一肋骨疲労骨折の症状、骨折の形、投球障害肩例との比較が検討されています。結果ですが、骨折は投球側に多く発生していました。痛みは肩甲骨内側部が一番多く、ついで肩甲骨体部、腋窩部でした。

感想


 第一肋骨疲労骨折の症状は肩甲帯周囲に出ることが多いようで、レントゲンやCTでの確認が大切です。また痛みは神経性の可能性が考えられており、圧痛の有無により判断できそうです。
 臨床では、まずレントゲンにて第一肋骨に不整像がないか確認し、肩甲骨内側に位置する僧帽筋や菱形筋などの圧痛と普段の症状が一致するか、筋に圧痛があった場合、リラクセーションにて圧痛が改善した後でも痛みが出るのか、などを丁寧に確認したいと思いました。骨折部をエコーで確実に描出できれば、さらに判断は早くなりそうです。

報告者:中井亮佑

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