エッセイ【坊主憎けりゃ】
二次創作界隈ではよく耳にする"解釈過激派"をやっている友人がいる。
と、言っても自ら直接他者を叩きにいくような層ではない。
基本的には表立って悪口を言うわけでもなく、解釈違いは先行ブロック自衛。鍵の中で俺の解釈が正しいよなあ!?と主張する…といった具合である。
友人のフォロワーさんもまあ似たり寄ったりで、彼女達は解釈違いの他者に排他的なつよつよコミュニティを築いていた。
友人とはジャンルが被ることもほとんどなく、コンテンツに体調を壊すほどの熱量を注ぐ様を対岸から半ば畏敬の念を持って見守っていたのだが、ある時一瞬、友人のフォロワーAとジャンルが被った。
知らない人も少ないと思うが、誰も殺さない選択肢がトレードのRPGゲーム作品だ。
ルート分岐、周回を売りにしていた作品だったが、ノーマルルートを通り、ハッピーエンドルートを通った後、私はバッドエンドルートをクリアするべきか頭を悩ませていた。
キャラ解釈や世界観を知るにはバッドエンドルートを通らねばならないが、私は自分の手を汚すことに気が引けた。
プレイ動画を視聴するか、自分でプレイするか迷い、TL上で当時ゲームをプレイしていた人間に相談をしていた。
すると、友人がR Tした私の相談ツイートを見たAさんに好奇心からそのルートを見ようとすることは浅はかで非道な行いであると空リプで詰められた。
Aさんとは一度もそれまで話をしたことがなく、戸惑いもあったが、とにかくジャンルへの熱量が凄い人の一人という認識はあったので、この人にとってはそうなんだろうな…と、ご意見として頂戴した。
が、まあ正直いい気持ちはしない。
TLでその人のツイートが目に入ると少しブルーになった。そっとミュートをし、目に入ることもなくなり私の中でこの件は終わった。
はずだった。
というのも、この度またジャンルが被ってしまったのだ。
フォロワー数5桁のAさんは界隈でも目立ち、フォローしている人も多い。
ミュートしていても不可抗力的に目に入る。
Aさんの推しと分かるまで可愛いと思っていたキャラが、途端に可愛くなくなりヤバイと思った。
こんな感情は初めてだった。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いを地でやったことにもショックを受けたし、あんな些細なことで他者を嫌悪してしまったのかという事実にもショックを受けた。
ほぼ壁打ちのアカウントの自分ですらこんなことがあるのだ。
交流をきちんとしている人や、フォロワー数の多い人の苦労のなんたることや。
余計なフィルターを取っ払おうとしても、気持ちに折り合いをつけることの難しさを思い知る。
件のバッドエンドルートについては登場人物二人を殺めたところで後ろめたさに勝てず、プレイするのを諦めて放置してしまっている。
今のジャンルについてはこれをきっかけに嫌な色眼鏡をかけてしまわないよう、方法を模索したい。