RICOH R8を買ってクローズアップ撮影に挑戦 ニホンカワトンボと目が合った!
ヤブミョウガとの出会いをきっかけに再燃した野の生きものへの興味、それを加速させたのは一台のコンパクトデジタルカメラ、RICOH R8でした。
それまでにもカメラは何台か所有していましたが、写真撮影に熱中することはありませんでした。結婚したときに妻のお父さんがプレゼントしてくれた Canon AE-1 PROGRAM は本格的な一眼レフカメラでしたが、パッとしない凡庸な家族写真を量産しただけ。プロの望遠レンズを借りて挑戦してみた野鳥撮影も当然ダメダメでした。
フィルムカメラはフイルム買うにも現像するにもお金がかかりましたので、適当にシャッターを切って下手な写真を量産し続けることは許されなかった時代、せっかくの高級カメラの出番は減っていき、遂にはカビを生やしてしまいました。
林床でヤブミョウガを見かけた2008年は、12社から123機種のデジタルカメラが市場に投入されたとのこと、デジタルカメラ成熟期だったのですね a) 。その中から私が買ったのが RICOH R8 だったのです。
a) http://www.monox.jp/history/digitalcamera-history-14.html
決め手は最大1cmまで寄ルコとのできるマクロモード。花とか虫とかキノコとか、とにかくグッと近づいて大きく写したい、それが新しいカメラに望んだことでした。
かくして、美しいもの、何だこれは?と思った奇妙なもの、気持ち悪いもの……とにかく気になったものには近づけるだけ近づいて、シャッターを押すようになりました。
昔だったら、その場で静かにじっと”自然観察”し続けて写生するとか、立ち去る間際にその花だか虫だかを標本として持ち帰るとか、手間隙かけないとその正体には迫れなかったのに、とりあえず写真にとっておけば、後で調べられる(その方法は後ほどの回で取り上げます)ので楽ちん、さっさと何か面白いものが待っている(やもしれない)次の場所に移れるようになったわけです。注意力散漫で、移り気な自分にはそれがありがたかった、性に合っていたのです。
ひとつ所にじっとしているのは苦手な私でしたが、R8を片手に虫にじわじわとにじり寄るのは得意になったような気がします。そうしてニホンカワトンボやヤハズハエトリ、ハイイロチョッキリと目が合いました。
そして逃げられないようにそっとシャッターを押す、それはそれはとても瞬間なのでした。(続く)