見出し画像

コモディティ化とブランド

以前に、コモディティ化という題材で考察してみました。
ーーーーー
ブランドの反意語として、コモディティという言葉があります。
例えば、LED球についての考察を行ってみたいと思います。
LED球は、当初は非常に高価でしたが、普及するにつれコモディティ化し、価格競争が発生することで価格が下がり、さらにコモディティ化を推進するといった流れを作りました。
企業主体で考えた場合、技術的に高度な製品や付加価値が高い製品については、個体単価をなるべく下げず高い利益率を維持したいですが、一方で、いくら高い技術を誇っても売れなければ利益を生まないので、いい製品でもそれらは価値がありません。企業は、技術が高い製品のコモディティ化を目指してはいませんが、普及するにつれ結果的にコモディティ化を甘受することを選択した、ということを考えます。
翻って、私の話で恐縮ですが、
昨今、自家用車を買い換えようかと進めています。車はLED球とは違い高価で簡単に購入できません。一昔前では、車が一般的でなく、運転免許証が特殊資格としてみられていた頃は、それはコモディティとは無縁の存在でした。
その後、今から20年前をピークとして車は大衆化してしまいました。その頃から国内の自動車販売台数は、年々横ばいか下降しており、また、価格が低い軽自動車の販売台数が常に上位であることをみると、随分コモディティ化してしまったな、と思います。
そういう視点から、この頃あまり欲しい車が見当たらなくなりました。ただ、デザインはともかく、車の性能は、ここ20年の進歩は眼を見張るものがあり、乗務員を守る安全装置、カメラや自動ブレーキなどの運転支援、コネクテッドカーなど多くの機能充実が図られています。それらの、車の「止まる」「走る」「曲がる」といった基本機能以外の付加機能は、高級車に装備されることはもちろん、軽自動車にさえも装備されています。
ということは、これらの機能は、もはや、付加機能ではなく必要機能としての位置付けになったと考えられるでしょう。このような今の状況は、「車を買い替えたいが次何にしよう」と思わなくなっています。
ところで、
私は、個性的な自動車メーカー(多くの人が知っている)の車の購入を検討中しています。その理由は、上述の通り、車をコモディティとして捉えたくないとの思いからです。
このメーカのものは趣味性が高く、高品質で知られていますが、元々は企業規模は小さく、一部のマニア(Enthusiast)を購買層に持った車でした。しかし、会社が成長するにつれ、昨今は万人が好む車種への拡張を行うようになり、時代の流れを感じるものがあります。ただ、一方でこのメーカは、一部の車種については50年の歴史を持ち、形を変えずブランドイメージを今でも大切に保っています。こういう車種がまだ存在するのは、車のコモディティ化に対するアンチテーゼ的な考えを持った人がいるからだと思います。そのような人たちのためにこの車種は存在し、市販車として成り立っているものです。高価で絶対販売数は多くはならない。それは他のメーカーでは決して真似することができないブランディングの手法でもあります。
したがって、このメーカの戦略は徹底的なアンチコモディティとして考えられてあり、この車の統一的アイデンティティ(デザイン、マーク)や、高性能、高い価格設定はすべてこのメーカのブランディングのためのものと思われます。ディーラー拠点を「センター」と表現することは、代表的なこの考えにそうものです。

いいなと思ったら応援しよう!