【サイキックイクリプスreload感想】終わりへ向かう、始まりのエピローグ
サイキックイクリプスReloadプレイ感想
〜裏ルート編〜(ミカゲ・北辰エンド)
※今回の記事にはゲーム本編の重要なネタバレを含みます。
※また、各3ルート全エンドのネタバレも含みます。
【光を守る、影となれ。】
生まれも育ちも戦場の中で、『選択肢なんてなかった』ミカゲさん。
しかし、そんな彼を拾った…いや、救ったのは時雨さんとリヒトさんでした。
幼いリヒトさんの『従者』として生きてく事になったミカゲさんにとって、彼との生活は天と地ほどの差である…わけが、なかった。
突如現れるリヒトさんの命を狙う者。
ミカゲさんはリヒトさんの死を誰よりも恐れていたのです。
実の父親よりも、何倍以上に─。
そして、『完璧な従者』になると決意を固めたその日から─。
『人類が"ほぼ"滅びる』と言われた大蝕の日へのカウントダウンが迫る日の中、ミカゲさんは時雨さんといました。
時雨さんの話によると、高いレベルのサイキック能力者は強制労働させられる…と言われています。
(そう言ってるのは『政府』なんだろうな。一人でもいいから出てきてほしいなー…政府の人…。)
だから、時雨さんは身を隠す事を決意したそうです。
要するに、次に時雨さんと会えるのは分からない。
ここでの会話が最後になる、というのもあり得るってワケです。
だから、ミカゲさんの元を訪れてるってのもあるんでしょう…。
なんせ、この二人はいく所までいってる仲でもありますからね。
ここで、時雨×ミカゲに思う事を挟みたいと思います。
表向きでは語られる事も触れられる事もないCPだったので、いわゆる『レアな裏メニュー』みたいな特別なものを感じ取れますね…。
その理由としては、この二人は本編内で成立するケイ君絡みの3つのCPには持ってないものがあるなーと思っているからです。
ケイ君絡みの3つのCPは成りたてホヤホヤで甘々とした感じですが、時ミカは既に仕上がっているものが出されて、しかも3つのCPにはない濃厚な味わい(「いく所までいっている」というのがあるから出ている奴)もあるから。
そんなCPを裏ルートでドン!と唐突にお出しされるもんだから、「こんなご馳走があったなんて!聞いてないぞ!」という感動と衝撃がね…。
(初登場時が上半身裸なのもあって衝撃の方がデカいんだが)
というか、あのミカゲさんが受け側っていうのもすんごい。
でも、あの裏ルート内である『クスノキミカゲ』としての未熟さとミカゲさんが持つオトナの色っぽさからにして、受けになるのも納得いく。←
(特に薬飲まされて苦しんでた所が特にめっちゃエッッッ)(このリョ〇ラーめ)
あと、更に詳しい事は、時ミカ小説『春の雪』を読むと、二人の関係が更にエモくなります。
全63ページの中にギュッと詰め込まれた時ミカはすごく濃厚で、『だから本編(裏ルート3章)ではあそこから始まったワケか!』と納得できるものがありました。←
さて、ミカゲさんの話に戻りましょう。
ある日ミカゲさんは、『蝕人化』に関する情報を求めて研究所を訪れていました。
そこで彼はポラリス君と対面する事になり、幾つもの仕事を彼から任されるのですが…。
まあ、内容は殆どが『邪魔者の暗殺』です。
サイキック能力が持てなかった彼が唯一持っているスキルを認められて、ポラリス君からは『駒』として利用される事になります。
(よくよく考えたら「身体」を持たないポラリス君からすれば、とても都合の良い駒でもありますよね…。)
しかし、全ては自分を救ってくれた彼の為にミカゲさんは反抗せず動きます。
すべては、リヒトさんの為でもあるから…。
でも、血で汚れていくミカゲさんが自分を守ってくれる事…リヒトさんは望んでいるのだろうか?
(この間の中に、紅茶の淹れ方を誤った事でリヒトさんから怒られる場面…いわば平穏な日常の場面を挟むのがね……!!リヒトさんはただ、穏やかに過ごしていたいだけなんだよね…!?)
……ところで、ちょいと疑問に思った事なんですが。
このミカゲさんに命じた暗殺対象の中にスバルさんがなかったのが意外だと思う。
ポラリス君からすれば「自分の命を脅かす存在」でもあるから「邪魔者」とみなしてもいいハズなんだが…。
恐らく「大蝕の日を知らない(知ってたらケイ君にも伝わるかもしれないから?)」ってのと、「一応、研究員達からすれば『優秀な人材』だから消したら面倒なことになる」ってのがあったから…?
(でも、逆に消す対象にしなかった事は褒めてあげたい。ケイ君の大事なお友達の一人を消さなかったのは偉いよ…。)
【あの人と同じ弱点】
ある日、ミカゲさんの前に出された標的が…。
場所はリヒトさんルート5章に出てきたあの工場。
そこで加工されるもの達が、一斉にミカゲさんを見ていたのです─。
まるで「正体が実は…なラスボス」を出されたかのような衝撃でしたな!?
そして、それをミカゲさんは次々と─。
でも、仕留めるソレは『命に代えてでも守りたい大事な存在』と同じガワを持っているから、例え食糧相手でも……。
この場面で「人間としての優しさ、心」ってのを見せているのがね…!!
さて。ここで時雨さんの言葉を思い出そう。
ミカゲさんが「ふと、その言葉を思い出した」というような場面はなかったのですが、ポラリス君との交渉、味方付けの際にはそれがちゃんと出来ているように見えました。
しかし…今回で判明した『弱み、隙、欠点』はリヒトさんを利用された事により露わになってしまったというのが、ね…。
いや、あの時のカナデさんと同じ罠じゃないか!!(台パン)
あっぶねえ……あぶねえよ……!!!
もうひとつ、この場面の中に怖い話があります。
この案をTEでは『ブルーノがやれと言っていた』と言われていましたが、真犯人とも呼べるだろう『提案者』をポラリス君はここで口に出すわけです。
研究元になった『同物同治』は中国の薬膳と言われている。
code:greenにて再登場するあの人はチャイニーズ風の衣装を着ていた。
ボイスがなく口パクのみで発したポラリス君の言葉。
これを読み取ると恐らく『A A E』となる。
それに、ブルーノさんはあの人の死には一切触れていないようだったので…。
つ ま り … ?
果たして、その答え合わせはcode:greenで出来るのだろうか。
いや……嘘だよな???嘘であってくれよ……。
……そう思っていても、もう無駄なんだろうか……。
一方で…リヒトさんの本心は?って事になるのですが、それをこのミカゲさんサイドのラストで判明させてくれました。
大蝕の日が訪れる事を知っているからこそ、そう言ったのか?って感じにも聞こえる。
また、リヒトさんは自分の存在がミカゲさんにとって「救い」ではなく「枷」になっている事を悟っているかのようにも見えました。
(リヒトさんNEであった、ミカゲさんの最期で「今までありがとう」的な事を告げてたのもあったし…。)
もしかすると…ミカゲさんが「カナデさんと同じ末路を辿る危険性」っていうのを察してたんでしょうか…。
…同じような流れでミカゲさんを失いたくないもんね。
リヒトさんにとっても、ミカゲさんはとても大事な存在だもの。
ふと気づいた事なんですが、この裏ルート内で見られる「互いの命の危機」に動揺する所がとても似てるなーって思います。
この二人はCPとしての扱いではないのですが、この「お互いが守りたいたった一つの命」である使命感ってのがね…この二人の魅力だと思います。
命を懸けるぐらいお互い大事に思っている従者コンビ、最高ですよね。
また、時が流れて本編内の頃で「ミカゲ(リヒト坊ちゃん)はそう簡単に死ぬ奴じゃない」っていう信頼感が芽生えているのも、互いの成長ぶりが伺えるいい所ですよね…。
そんな二人の間に、本編内でケイ君が入る事になるのですが…。
……これ、まさにリヒトさんルートのケイ君の事ですよね?
リヒトさんの本当の価値と「死んでほしくない」という思いを涙ながらに告げた事もあるから、彼はまさにこの時のミカゲさんの望みにふさわしい人物です。
そう考えると、ミカゲさんが二人が結ばれる事を猛反対しなかったのも納得いく。
それに、個人的に思う事になるのですが…。
ケイ君自体も「幸せになってほしい」って思いはもちろんあるのですが、それ以上に…「攻略対象(スバル・リヒト・シリウス)を幸せに導いてくれ!!!」って思いが強いのです。
だからこそ、ケイ君がこの物語の主人公にふさわしいって理由にも繋がるんですよね。
ケイ君は「無口で無愛想」とされており、光属性…?といった感じの主人公ではありますが「ケイ君と結ばれる=幸せになる」って事だと、ある意味「幸せに導く」って所を思うと、そこがケイ君の「光」と呼べる所なんでしょう…。
【大切なひとへ、真っ直ぐな『願い』を込めて】
さて、その一方で…北辰さんは何をしていたのか。
世界が終わる事…『死』に対して考える事が増えたと言っています。
しかし、そんな中でも(実は)一度縁を切った南さんの事は思い続けています。
ポラリス君は、そこを疑問のように扱ってはいましたが北辰さんの思いにはバッチリ気付いていたようでした。
北辰さんの事が『普通じゃない(人間らしくない)』というのに気付いている…というか、よく分かってるのは彼です。
蛍…もといケイ君と同じ『確率選択』が欲しかった。
それは誰のためか。
北辰さんを『普通ではない』という事にさせたのは…。
ポラリス君が?
いいえ。今の北辰さんを動かしているひとりである南さんです。
一刻に迫ってるであろうカウントダウンの中…。
名前を呼ばれて振り向いた先に、なんと南さんの姿がありました。
ケイ君を壊してしまったあの日から縁を切ってしまった彼は、前と変わらずに、飲みに誘ってくれました。
とはいえ、当然普段通りとはいきません。
北辰さんの家庭の現状は、南さんがよく分かっていたからです。
北辰さんの息子との会話からして、現在の北辰さんの家庭は最悪でした。
(ここに関しては次回の記事にて…。)
だから南さんは、北辰さんに説教をするのですが……。
必死な南さんに、北辰さんは避けるかのように言葉を返します。
「力になれる事が俺にだって…!」
「そんなものはない(即答)」
あれ?…この会話の一部。シリウスさんルートにも似たようなのがあったような。
まさかこんな所で親子である事がまた分かるなんて…。
(裏ルートってシリウスさんの出番が一個もない代わりに、本編内でシリウスさんルートにあった話やオマージュ?がちょこちょこ出てくるのあるよね)
…ですが、この会話の中にいるのは南さんと北辰さんだけ。
シリウスさんのようなフォローをしてくれる者はいません。
だから。北辰さんは南さんの思いに応えて全てを話す事に。
「この国は半年もしないうちに終わる…大蝕の日がくる」と。
そして、自分はワクチンの開発を進めていると。
そんな中、北辰さんは問います。
ワクチンがたった一つしかないならば、お前はそれを誰に使うのかと─。
南さんの答えは…「北辰に使う」でした。
北辰さんが生き残って、ワクチンを量産すればいいと。
他の者が一人残っていても意味がない、と─。
…確かに。作れる人が生き残れるようになれば、たくさんの人を救える。
南さんの答えは一番いい正解だと思います。
実は裏ルート1章で、「どちらを選ぶか」という問題を二人の間で一度出しています。
「北辰と蛍、溺れていたらどちらを救うのか。」
南さんは「北辰を助ける(でないとお前はあっという間に沈んでしまいそうだから。息子は俺の子だから、そう簡単に溺れない)」と答えていました。
(問題の定義が変わるってのをツッコまれてましたが…。←)
なんだろう…。
北辰さんが南さんの事を分かっていると同時に、南さんも北辰さんの事を分かっているように見えたんだよなあ。事件が起きる当時は、の話ですが。
でも、南さんにとって北辰さんは「許せない事があっても、大事な親友」というのは何があっても変わらないのがね…!
それだけじゃない。「世界が滅ぶ」「ワクチンの開発」だって、疑うことなく受け止めてくれます。
「北辰ならワクチンを作れる」って事も信じているのもあるし……。
北辰さん、あんためっちゃいい大親友を持ってるよ!!!!!!(結論)
どんな話でも信じて、頼りにしてくれているっていう友達なんて、そう簡単にできるモンじゃないでしょ…!?
改めてこの二人の友情ってのを感じ取れる瞬間でしたわ…。
そして南さんは─。
これが、南さんができる唯一のサポート、だよな…。
というか、北辰さんにとっての「お前にしかできない仕事」にあたる「ワクチンの開発」は、「"南さんの為"のワクチンの開発」だと思うのです。
南さんの事を一番に、もうとにかく重たい程思っているのは北辰さんだけしかいないのですから…。
北辰さんの中にも、どんな事があっても揺るがず変わらないものがある─。
それが、南さんに対して長年ずっと、ずうっと「疑問」として思ってきていた南さんへの「想い」…。
しかし、終わりの時が来た日─。
北辰さんは、涙を浮かべていました。
「自分がもう死ぬから」ではなくて「(愛する)南さんに応えられない自分が悔しくて」の涙……。
「死に対しての恐怖」といえばの話なんですが。
実はずっと前に、蝕人化を恐れて北辰さんの元へ駈け込んでいた者がいたんですよね。
ブルーノさんなんですけど。
そういえば、ブルーノさんは一度犯罪者となった北辰さんを保釈金で釈放させたという話がありましたね。
なぜわざわざ…と思いますが、恐らくブルーノさんの裏側を思うに「利用できる人」だとでも思ってるのでしょうか…。
そして…蝕人化…自身の死を恐れてブルーノさんは北辰さんに泣きついてきます。
北辰さんはそれに対して「自身の研究に利用できる」という反面…「お前はちゃんと「人間」だよ」という評価をしてくれていました。
たった一人の為の目的ならば「手段や犠牲を選ばない」という所が同じではありますが…。
そこにピンとくるあたり、北辰さんは「自分にとっての「人間らしさ」」ってのを知ってるのがね。
…あと、本編でのブルーノさんが脳だけになっているのはこの人のせいでもあるんですよね。
(そう考えると、スバルさんDEの残酷さってのが……。なんせ、自分の父親が提案した「身体がダメになった時の対処法」ってのを息子に…ってワケですし。)
……さて。
北辰さんの手元なんですが、完成したワクチンはたった一つだけ。
それを南さんとの約束を果たすにはまだまだ、といった所でした。
いやあ……残念すぎる…というか…何て言ったらいいんだ…。
現実はそう甘くはない、とはいいますが…。
大きな犠牲が必要だった「悪魔の契約」により「犯罪者」ともなり、手に入れたサイキック能力は、望んでいたものじゃなかったのもありますし…。
北辰さん、ホント…頭がいい(硬い)反面、運が悪すぎるだろ…!!
しかし、北辰さんの運の悪さはこれだけじゃとまらない。
北辰さんがワクチンを南さんに託す為の体力は、もうありません。
(突然の終末とはいえ、やはりモブ研究員達の教育というか道徳はちゃんとすべきだったんじゃねえのか…?)
「このまま、死ぬのか……」
そう呟いたけども、北辰さんがここで初めて「自分の死」を恐れたのだろうか…?と思った瞬間ではありましたが、それは違ったという。
自身の命がもう持たない事で、南さんが救えない。
それこそが、北辰さんの一番の恐怖─。
しかし、そんな彼の願いをかなえてくれるであろう、ある人物が目の前にいたのです─。
…きっと、ワクチンを開発している最中の北辰さんもこう思っていたに違いない。
同じ血が流れる者として。
北辰さんは彼にワクチンを託し、笑みを浮かべます─。
果たして、これが向こうにはどう通じていたんでしょうかね。
次回は、この場面の続きでもあり…あの彼に関わるエンディングの感想になります……。