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旅ログ058 生田〜稲城
生田の駅のすぐ南には川が流れていた。
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流れがゆるやかで少し濁っている気もするが、この川沿いを上流へ、西へ向かって歩くことにした。
空気は冷たいけれど、桜か桃か、春らしい薄紅色の花が咲いている。
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しばらくして川から北にそれると、急な上り坂になった。
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そして、舗装されていない山道に入った。
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どうやら多摩川のこちら側は、山の国らしい。
また左右どちらとも土地が低くなっていて、ここが尾根道なのだろう。
1kmほど林の中を歩き、舗装された土地に出たら、何か強そうな名前の人たちが暮らす建物があった。
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左手に見える黄色と桃色の塔も気になりつつ歩いていたら、会社の敷地らしきところに行き当たってしまった。
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これ以上まっすぐ北西へは進めないようなので、少し引き返す形で別の道を探る。すると今度は、黄色と桃色の塔が右手側遠くに見えた。
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なんと!
いすに拘束された人が何人も、塔の上の方へ上っていくではないか!
なんだか悲鳴も聞こえた気がする。
ここはもしかして拷問施設なのだろうか。
助ける立場にはないので、申し訳ないが立ち去ることにした。
しばらく行くと色とりどりの大きな輪の形をした拷問具がゆるやかに回っていた。
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もし私が何か悪いことをしてここに連れてこられることがあったら、こちらのゆるやかな丸い方に乗せてもらいたい。
そこから先も北西へ進もうと思ったのだが、山を切り拓いて町を作る大きな大きな工事が行われていて、また道を考え直すことになった。
階段を下って、多摩川に近い低い土地の方へ進む。
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頭の上には、丈夫な綱で吊るしたかごに人を乗せて運ぶ乗り物が走っていた。
階段を降りきったところをまた西へ進み、「稲城(いなぎ)」の鉄道駅で旅のログを終えた。
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