旅ログ054　新井薬師前〜代田橋

からっとした秋空のもと、南へ向かった。
朝から何も食べていないまま歩き出してしまったので、何かおなかに入れたい。
しかし新井薬師前の商店街は、焼肉屋やこってりしたラーメンの店ばかりで、ここ何日か胃腸が弱っている私には不向きだった。
なので商店で握り飯を買って、どこかに座って食べることにした。

途中、蒸気機関車を展示してある公園があったのだが、ごみが多くていまいち落ち着かなかった。

そこは通り過ぎ、さらに南へ進むと、元は川だったのだろうと思われる緑道があった。

ここは雰囲気がいい。
ベンチのひとつでもあればと思って歩いてみたが、座れるところは見つからなかった。
もう空腹が限界で、結局、緑道からちょっとはずれた小さな公園に入った。

しかし落ち着かない。
4台あるベンチのうち3台はすでに人が座っていて、残された1台には食べ物や飲み物の容器がごみとして放置されている。
私はそのベンチの、ごみと反対の端に腰掛け、急いで飲み込むように握り飯を食べ、終わるやいなやまた歩き出した。
こんなことなら、店でゆっくりラーメンを食べたほうが胃腸にやさしかったかもしれない。

総じて、メトロポリスに入ってから落ち着かない雰囲気がある。
まず第一に人が多い、というのがあるが、それだけではない。
以前、通りの名前が示された標識が壊されているのを立て続けに見た土地、あれもメトロポリスの中で、たしかここと同じ中野区だった。(旅ログ038)
公園にごみを置いて立ち去ったり、標識を壊したり、悪意のある人が町の中にいるとしか思えず、なんとも言えない苦手意識が芽生えるのだ。
早くこの土地を離れたい。

私は足早に南へ進み、中野区を出るころ、1本の川に出会った。

以前、鯉がたくさん泳いでいるのを見た神田川の下流だ。(旅ログ039)
赤とんぼがたくさん飛んでいる。
今日初めて落ち着く景色だ、と思った。
川沿いを遡るように西へ進むと、川が2またに分かれていた。

分かれているというより、合流しているのだ。
これまた以前に出会った善福寺川と。(旅ログ027/039)
どちらについて行こうかちょっと考えて、神田川を選んだ。
川はやがて、環状7号線と交わった。

私は7号線を越えた。
正直なところ、人の多いメトロポリスを歩くのに少し疲れている。
もちろん、6号線、5号線、4号線の内側にも興味はある。
興味はあるが、それはまあ、追々、そのうち。

桃色に彩られた「沖縄タウン」を通り抜け、さらに南へ進んだ。

大きな街道をわたったところにある「代田橋(だいたばし)」の鉄道駅で旅のログを終えた。