007:「養育費を支払わない男」は、元妻だけでなくあなたにも迷惑だ。【スピ婚】
前回、前々回と、結婚を考える相手がいるなら、相手と別れる時のことを想定しておくことや元カノ・元妻との過去を傾聴しておくことをお勧めしました(005:「一生一緒にいたい男」よりも「別れても危なくない男」を選べ。006:元カノや元妻の話は「聞きたくない……!」じゃなくて、むしろ積極的に傾聴せよ。)。今回もそれらと類似のテーマ、「相手に離婚歴があって元妻が子どもを育てている場合、その相手をどのように判断するか」というお話です。勿論、離婚歴も子どもも持たない相手とお付き合いしている女子には関係のないお話なのですが、ごめんね、わたし何故かバツあり子ありの男とばかり個人的な関係になっちゃうんだよ!ということで、このテーマに今回は少々お付き合いください。
とはいえ現代日本、再婚は増えています。厚生労働省発表の平成28年度『「婚姻に関する統計」の概況』によりますと、平成27年度の再婚カップルは全婚姻カップルのうちの26.8%を占め、昭和50年に比べると14.1ポイントの増加です。そのうち4割くらいは、夫が再婚で妻が初婚のパターンです。つまり、初婚女性が離婚歴のある男性と結婚する例が増えているのですよね。好きになった男性が前の妻との間に子どもがいる、ということも、あなたの身の上に起こらないとも限らない話です。
以前参考文献の回で川崎貴子さんの著書をご紹介しましたが、彼女は婚活女子には「アラ40・バツイチ・子ありの男性」を勧めています(「愛は技術ー何度失敗しても女は幸せになれる。」KKベストセラーズ2015)。その理由は是非ご著書を読んでみて欲しいと思いますが、ただし彼女は「バツイチ・子ありとの結婚は事故車購入に似ている」とも指摘。どういう点を確認しておいた方がいいか、続けて述べていらっしゃいます。
川崎さんはたくさんの首都圏婚活女子を幸せに導いた方ですし、ご自身もお子さん連れで幸せな再婚をされた方ですので、「アラ40・バツイチ・子ありの男性」は含蓄の深い提言です。そして彼女は「子どもに養育費をちゃんと支払っていることをせめてもの誠実さととらえられないと結婚生活は難しい」と書いておられますが、わたしはここをもうちょっと押したい。「養育費を支払わない男は、どうとらえるかに関わらず、結婚生活は難しいぞ!」と強調したい。
ここで川崎さんがおっしゃっている「せめてもの誠実さ」というのは、おそらくご自身の自戒も込めて、「子どもがいるのにやらかしてしまった事故車として、その誠実さもなかったら廃車もの」という意味の「せめてもの」なのだろうな、とわたしは思います。わたしはどちらかというとその事故車を選ぶ方の立場であったので、その立場からお話をすると養育費支払いの有無というのは、そうだなあ……どちらかというと、「ブレーキに異常ありません」という保証書みたいなものでしょうか。「せめてもの」っていうよりは、まあ、ブレーキの利かない車は乗りこまない方がいい欠陥車でしょうね。
養育費関連の問題は、様々な問題が複雑に絡み合っている複合的な問題です。ちょっと周りを見回してみただけで、いろいろな主張がぶつかり合って紛糾していますよね。わたしは先日お仕事で書く必要があったので養育費の仕組みについて詳しく調べたのですが、養育費については、未婚者も既婚者も離婚経験者も、結構誤解をしているのではないかと感じましたし、そこが紛糾の要因にもなっている、誤解を解かなければならないポイントがいくつも含まれているなあと感じました。
そんな訳で養育費をテーマにお話したいことはたくさんありますが、今回のこの稿はバツあり子ありの男性とお付き合いをして結婚を考えるかもしれない女子の皆さんに向けてのメッセージですので、そのあたりにポイントを絞ってお話しようと思います。結婚を目の前にする女子の皆さんにとって、養育費で最も気になる点は、「そうは言っても、前の家族への養育費の負担が大きかったら、これからわたしと作る家族の生活にしわ寄せがくるのでは……」というところなのではないでしょうか。
まずお伝えしておきたいことは、養育費は「子どもを引き取った元妻ががっぽり持って行く」とかいうようなものではない、ということです。養育費の額は話し合いで決められるものなのでみんな一律でこうせよ、というものではないのですが、その妥当な基準額は全国の家庭裁判所共通の算定式で算出することができ、大抵のケースではそれに則っています。その算定式、どのような考え方でできているかというと、「離婚した妻と夫の実際の収入金額をもとに、双方の収入の合計額を世帯収入とみなして、子どものための費用をどのくらいずつ負担したらいいか按分する」というものです。実際の収入がベースなので、「相手がめっちゃ稼いでいて金があり余裕なのに、子どもの存在を盾にとって金をむしり取っていく」みたいなことは起こりません。また、自分の生活にかかる費用は、税金の控除のようにあらかじめ差し引いて計算されます。
つまり養育費というのは、結婚を続けていようとも離婚しようとも子どもに対して負担しなければならなかった金銭支出であるに過ぎず、それ以上の額は持って行かれません。「別れた妻が俺の金を不当に搾取している、離婚したら生活が苦しくなった」的なことを彼が本当に感じるなら、むしろ結婚していた間、金銭負担を怠っていたか逆に妻を搾取していたかのどっちかなんじゃないでしょうか、わたしの意見ですが。また、「元妻に与えればお前に与えるものが減り、元妻に与えるものをへずればお前に与えるものが増える」方式の男って、その限られたリソース、増やすでもなさそうだし、この先分配先が増えたら、あなたに振り向ける分はまた簡単に減らすんじゃないかな。お金の話に限りませんが。
そしてもうひとつ、養育費は最初に取り決めた額をずっとキープしなければならない訳でもありません。離婚後に双方の経済状況などが大きく変化した場合は、それに応じた分担額にしないと公平さを欠くので、その変更を求めて調停や審判の申し立てをすることができます。つまり、リストラされた、破産した、などで彼の収入が激減してしまったり、再婚してあなたとの間に子どもができたり、または元妻が再婚して子どもが再婚相手の扶養に入ったり、など状況が変わったら、取り決め直すことができるのです。
勿論、自動的に減額されたり増額されたりはしないので、調停なり審判なり申し立てて話し合いを再度持つ必要はあります。面倒くさいことは面倒くさいです。ですが、そういう面倒な手続きをおっくうがってずるずると先延ばしする男、放置する男、あまつさえ勝手に払うのをやめる男、そういう男は、わたしは結構やばいと思います。どこがやばいかというと、「不満を抱えているにも関わらず、面倒くさいことが先に立って、ほったらかす」、そのポイントです。結婚生活って、面倒くさい手続きが満載です。そして、彼と元妻との間の問題って、基本的にはあなたの抱える問題じゃなくて彼が抱える問題で、彼が解決しなければならない問題です。それすら放置する男って、もし結婚後に二人で抱えなきゃならない問題が出てきたら、それを毎度毎度あなたが巻き取る羽目になるんじゃないかな。
わたしの元夫は、最初の奥さんとの間の子ども三人のうち一人分だけ養育費を払っていましたが(それも何でなんだかよく分からないですよね)、2年くらいで勝手にやめました。そしてその養育費、別にわたしの財布から出ていた訳ではないのですけど、振り込み手続きを毎月毎月していたのはわたしです。(いいっちゃいいけど、モヤる)とは思っていましたが、お店のパートスタッフ女子とその辺りのぶっちゃけ話をした時、彼女からも「わたしも元彼の養育費、振り込み係やってました」という話が出てきて、驚きました。自分と元妻の間の面倒事を女にやらせる男っているんだなあということ、その頃は知らなかったので。自分が離婚した後も、元夫の連帯保証人をわたしが務める問題は押せども揺さぶれども変更が進まなかったので、本当に、面倒を回避する男って駄目だな、と痛感しました。自分が巻き取って対処できるうちはまだいいんですけどね。
養育費の問題、正面から切り込むと「それ、単純にお前の子どもに対する愛情と責任と義務の問題だぞ」で終わる話です。「そこすらちゃんとできない男は大問題だぞ」というところに尽きる話です。ですが、斜めから光を当ててみても、こんな問題を孕んでいる。要するに、「養育費に対してどう対処しているか」を確認すると、取りも直さず「自分の抱える問題に、主体的に責任を持って対処する男なのかどうか」を浮かび上がらせるのだ、ということです。そしてその責任とはきっと、元奥さんや子どもに対する責任であるのみならず、あなたに対する責任でもあると思いますよ。自分の抱える問題をあなたに転嫁せずあなたに肩代わりさせず、きちんと自分で対処するのかどうか、ということは。
次回は過去の結婚歴を離れて、その「彼は自分の問題を面倒くさがらずに解決する男かどうか」というテーマについて、もう少し考察を進めてみたいと思います。すみません、やっと離婚に関するお話から離れますね。
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カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、dechi さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございマス!「ごちゃごちゃした背景にどうぞ」とコメントされていましたが、いやあ、はい、ごちゃごちゃした話なんですよ、これ……。