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008:揉めた時のしんどくないコミュニケーションをやっと知ったのでシェアしたい。【スピ婚】

【スピ婚】、前回から少し時間が空いてしまいました。お待たせしました。前回のラストでは『次回は過去の結婚歴を離れて、その「彼は自分の問題を面倒くさがらずに解決する男かどうか」というテーマについて、もう少し考察を進めてみたいと思います』とお知らせしていましたが、少し予定を変更して、「揉めた時のコミュニケーションと謝り方」について、書いてみたいと思います。

 実はこの5月、リアルタイム進行で彼氏と揉めていました。まさに昨日すっきりと解決したのですが、わたしにとって「揉めた時のやりとりでこんなに心をへずられないのは初めてだった!」という感動の経験でしたので、それを皆さまにシェアしたい。というのもおそらく、どんな女子も彼氏や夫との揉めごとで「まったく理解してもらえない」「相手が絶対謝らない」「むしろこっちが悪いことにされる」みたいな経験をお持ちではないかと思うからです。ご多聞に漏れず、わたしもそうでした。

 まず、彼氏との「揉めた時のコミュニケーション」の成長の歩みを、少しお話しておきたいと思います。006:元カノや元妻の話は「聞きたくない……!」じゃなくて、むしろ積極的に傾聴せよ。で少し触れましたが、彼氏は軋轢から逃げたくなるタイプ。一方のわたしは、怒りの瞬発力がなくて、怒りを感じた途端(これはもしかして怒るようなことじゃないのか……?)とか頭の中で堂々巡りが生じてしまい、沈黙してしまうタイプです。どうも彼氏は「女の子が突然不機嫌になってしまい、黙り込む」というシチュエーションが苦手なようでした。そこである機会に、こう伝えてみました「わたしは怒ってあなたをシャットアウトしてるんじゃなくて、ショックを受けるとシステムがダウンしてスローになってしまうの」。なんでですかね、彼氏は物事の状態をPCに例えるとスパァンと理解できるみたいなんですよ。「君のCPUが物凄く時間かかってるんだね」と見事に理解してくれました。いっこクリアです。

 次です。彼が目の前で女の子に泣かれたり不機嫌になられたりした時困ってへどもどしてしまうのはどうも、この状況を自分が何とかして相手の機嫌を直さなければならない、というタスクを預けられた気持ちになってしまうからのようでした。でも、下手に手を尽くすと逆効果ですし、彼も無力感と負担を感じてしまいますから、お互い不幸ですよね。そこで、わたしが当事者シチュエーションではない別の機会でしたが、「女の子って、別にあなたに直して欲しいと思っていないのよ。ただ黙って一緒にいて、待っててくれればいいの」と伝えました。彼氏は「oh!」とか「wow!」を連発して、知らなかった事実の新発見だったみたいです。こっちはむしろ、それって手垢のついた古臭いハウツーなんじゃないかくらい思うんですけど、取りあえずは彼氏の思い込みを解くのには役立ったみたいだった。なんですかね、国の違いですかね、ジェネレーションの違いですかね。なにしろ彼氏は1970年代にはもう成人していた世代なので。

 さて、ここからが本題です。彼氏との揉めごと真打、昨日解決したばかりのでっかいソレが発生したのは、デートのアポを確認した時のことでした。要するに、彼氏がスケジュール設定をへぐったんです。しかも、元奥さんや娘さんとの間のスケジュール調整のヘマで、5月に入ってから3回目のやらかしなんですよ。それに直面した瞬間、もうこっちのCPU、完全ダウンじゃないですか。そこで「何て言うべきか分からない。少し時間をちょうだい」と言ってコンタクトを切りました。2日間切りました。

 悩ましいです。この問題を「元奥さんや娘さんとわたしと、どっちが大事なのよ!」方向に持って行くと、大揉めになること必至です。そしてわたしは別にそっちを問題視したい訳ではありません。元奥さんや娘さんに恨みはないし、後回しにしてくれとか会わないでくれとか要求したい訳ではありません。むしろきちんとコミュニケーションして欲しい。要は、「お前が、ちゃんと、コントロールしろよ!」っていう話です。「計画的に運用しろ!」っていう話です。

 考えに考えて、2日後に伝えたのがこちらです。こんなに長文の真剣な英文を書くのは初めてでした。「こんなに長文の」と書きましたが、以下の日本語訳は、要点をかいつまんだ抄訳です。

わたしはあなたの状況は理解してる。でも、今回は2つのポイントがあると思う。
ひとつは、あらかじめこの日は会おうっていう話をしていたよね、ってこと。あなたが考えや予定を変えるとは思わなかった。
もうひとつは、そっちの予定がまだ未確定だっていうこと。そうするとわたしは、ぎりぎりまで待ったり急遽予定を変更したりしなきゃなくなるし、それによって余計な時間や移動距離を使わざるを得なくなる。
あなたはわたしの予定を変えたり動かしたりキャンセルしたりするのは、より簡単だと思ってるの?わたしの時間はさほど重要じゃないと思ってるの?
わたしは傷ついたし、尊重されてないと感じたし、打撃を受けた。
あなたの状況は分かるし理解してる、でも、あなたはもうちょっと双方の状況を調整できると思う。

 過不足ない名文だと我ながら思いましたが、何事につけわたしは、予想される反応の想定問答シミュレーションを脳内に走らせてしまうタイプです。そしてその際の想定問答が、大抵クソなのです。自分で妄想しているだけなのですが、物凄く疲れるし消耗するし、嫌になってしまうのです。こんな感じ。ちなみにクソ解答なので、言葉遣いは普段の彼氏のソレではありません。

其の1:自分の先入観に固執系
なんだかんだ綺麗ごとを言っているが結局、娘や元妻に会うのが気に入らないんだろう。そんな嫉妬や束縛はごめんだ。

其の2:こっちの落ち度を突いて反撃系
あらかじめ約束などしていない。ふわっとそれっぽい話をしていただけで、確定はしていなかった。そこに別な予定を入れて何が悪いのか。

其の3:人のせいにする責任転嫁系
予定を確定できないのは、元妻や娘がなかなか心を決めないせいだ。仕方ないだろう。俺の落ち度ではない。

其の4:勿論俺の方が価値が高い系
俺とお前の時間的融通の利きやすさや稼ぐ金額、背負っている負担を比べてみろ。お前が予定を変える方がコストが低いし、失うものも少ない。

其の5:そんなことを考えるお前の方がおかしい系
俺はまったくそんなことは考えていないし、そんなつもりはない。心外だ。そんな風に感じるなんて、お前の被害妄想だ。

其の6:言いたいことは分かるがどうしようもない系
お前の言いたいことも分かるし言い分ももっともだと思う。だが、俺にはどうしようもない。現状十分に努力しているので、これ以上できない。

 返答次第ではすっぱりと別れよう、と陰惨に考えていましたが、彼から返ってきた答えはこうでした。

(状況説明と補足を詳細に語った後に)
いいや、君の予定を変える方が簡単だと思ったり、君の時間がさほど大事じゃないと思ったりなんかしない。僕たちこれまで、何の問題もなく一緒に予定を立ててきたじゃないか。もう一度言うよ、もし僕が君に不自由な思いをさせていたのなら、謝る。
僕たちの予定を変えたいと思ってないし、いつも君と会うのを楽しみに思ってる。ただ、時々アクシデントが発生してしまうんだ、分かって。

 これでわたしの思い詰めていた力は大分抜け、心も和らぎましたが、まだひとつ懸念事項が残ります。

アクシデントが時々起こることは知ってる。わたしが言ってるのは、あなた1か月以内に3回やったわよ、っていうこと。わたしはそういうの「時々」って言わないし、今これが始まったところでまたやるんじゃないかと不安に思ってる。わたしの気持ちと心配を分かって。

 すると彼からはこんな返事が返ってきました。

君の気持ち理解したよ。僕もそういうの好きじゃないよ。僕たちの予定を変更しないようにベストを尽くすよ、心配しないで。僕、3回もやったなんてちゃんと分かってなかったよ!

 ここでわたしは吹き出してしまって、「あなたやったわよ」「わたし本当に傷ついた」と言い、「sorry!」というスタンプが来て、ラブいスタンプの応酬になって、という経緯で和解しました。続けて彼氏が口癖の「オイデ」を言うので、「No, I cannot. そういうとこよ」「わたし、突然には行けないの」と言うと、「I understand!」ということで、ちゃんと分かり合えたみたいです。

 振り返って整理してみると、彼氏の返事でわたしの心を解かしたところは、

①わたしの懸念をきちんと理解して受け止めた
②「あなたもしかしてこう考えてるの?」という疑いをきっぱりと否定した
③わたしにそういう風に感じさせてしまった主体的責任を引き受けて謝った
④今後どうしていくか方向を示して約束した

というところだったと思います。そして実は、誰かと揉めてこんな疲れない謝罪が返ってきたのは、初めてです。

 わたしの脳内想定問答シミュレーション、相手はどんだけクズ男想定なんだ、って感じですよね、すみません。でもですね、これ意外と経験に基づいているんですよ。皆さんもそういう経験お持ちじゃないですか?何を言っても自分の固定観念に引き寄せて解釈されてしまったり、絶対自分の非を認めず別のところに持って行ったり、こっちにも少しは落ち度があったかなという罪悪感に突け込んできたり、改善の努力を放棄したり。モラハラ系の人はフルコンボで使ってきた挙句に責任返しで、責められる俺の方が被害者だ、まで持って行ったりしますが、比較的ましな方でも、そんなつもりじゃかった悪気はなかったの何が悪かったのか理解しないタイプから、面倒くさいから取り合えず謝っておいて回避しようタイプまで、夫婦関係やスティディ関係には、問題にまっすぐ向き合わない態度がありふれて溢れていると思います。でも、そういう人と揉めごとを挟んだコミュニケーションを取ってきちんと気持ちを理解してもらって建設的な方向に持って行くのは、本当に疲れるし、しんどいし、挙句の果てにまたおんなじこと繰り返したりするんですよね。

 わたしもそういうストレスフルなコミュニケーションは本当に嫌だ、と痛感していましたが、じゃあどういうコミュニケーションならいいのか、というのはロールモデルがなくて、具体的にイメージできないでいました。何をやるにも事前脳内シミュレーションタイプなのですが、想定モデルがクズ男なので、リアルでやる前に既に一通り疲れてしまうんです。そういうの本当にやめたい、と思っていましたが、やめ方が分からないでいました。今回初めてしんどくないコミュニケーションを経験したので、自分のイメージを上書きしていく指針になりそうです。

 この問題にかけてはわたしもスタート地点に立ったばかりの初心者ですので、整理したり深めたり何らかの結論を導いたりするのは、まだ先のことになりそうです。ですが、とても新鮮な経験でしたし、揉めた時のコミュニケーションについて希望の持てる視界が開けてきたような気がしています。同じような悩みを抱える女子の皆さまに、何かの足しにしていただければ幸いです。

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あなたの考える「ケッコン100箇条」、是非「#スピ婚」でお寄せ下さい!

カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、Noriaki Kawanishi さんのイラストを使わせていただきました。こちらのイラスト、タイトルが『デザイナーが主体性を発揮するための「ライブデザイニング」という手法』なので、こんな稿に使われるのは想定外なのでは…と思わなくもないのですが、今回の話のわたしのイメージにすごくぴったり来ます。ありがとうございました!


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菊池とおこ
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