不倫の終わりとロゼワイン
【天狼院書店ライティング・ゼミ】
課題記事掲載
「旦那も娘も置いて、あの人を忘れるためにフランスまで来たのよ」
彼女のその一言が、私の「夫婦」という人間関係のイメージを変えるきっかけになったのだと思う。人並みに仲の良い両親の下で育った私にとって、それまで夫婦とはいついかなる時もお互い以外のパートナーを持つことの無い、絶対的な「つがい」だった。
その頃私は大学四年生で、就職先も無事に決まった夏休み、3週間のフランス一人旅に出かけていた。
パリから始まり、反時計回りにぐるりとフランスを旅する贅沢な卒業旅行。
日本を発って丁度一週間ほど経ったその日、私はポワティエという小さな町にいた。
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