その言葉使うな（商標権者）商標は言葉の独占ではない（弁理士）なら使うのや～めた（賢者）

本記事は、ある商標についての事件に基づくものです。

商標に対するこんな考え方（「賢者」の考え方）もあるのだな！
「専門家」の私としてはとても勉強になりました。
事件の詳細はぼかしつつ、シェアしたいと思います。

■ネット上の商標に関するある事件

＜事実関係＞
①ある商標「α」の商標権者Ａさんがいます。
②YouTubeでは、多くの動画中で
・「α」が発せられたり、
・動画のタイトルなどに「α」を付されたりしています。
③動画制作者（ユーチューバー）は、YouTubeから収益を得られます。
④Ａさんは、動画制作者に対して、
・動画中で「α」を発することを禁止したり、
・動画を削除するよう要請したりしました。

■ある商標の専門家（弁理士）の見解

商標は言葉の独占ではありません。
商標は商品やサービスの出所を表示するためのものです。
商標権者以外はそういう使い方をしなければいいだけです。
営利目的（収益を得ること）全般で使えないわけではありません。
まして動画中で「言えない」なんてことはありません。

例えば「YouTube」も商標登録されています。
ただ「YouTube」と口にできないなんて聞いたことありませんね？
みんな普通に「ルイヴィトンの財布」とか言ってますね！
そういうことです。

動画の削除要請などは威力業務妨害等にあたる可能性すらあります。

■賢明な動画制作者（ユーチューバー）の対応

✔動画中で商標「α」を口に出すことはしません。
✔商標「α」が出てくる動画は、すべて削除します。
（商標「α」を発している動画、タイトルに用いている動画など）

■ふたたび、商標の専門家（弁理士）の見解

みなさんはとても賢明ですね。見習わないと。

なにが賢明かというと、
ユーチューバーさんたちは「α」が使えないのならと、
→「α」に変わる言葉を模索し始めたのです。

そして、みんなでその言葉「β」を広めていこうとしているのです！

「α」を使う代わりに「β」を広めよう！

「α」を使わないというのは、Ａさんの「希望」でもあるわけです。
Ａさんはこのことについて何も言えません。

将来的には「α」はいずれ忘れ去られていくことでしょう。
Ａさんの行為は、ネット社会のいま、自爆行為です。

このことの是非はいろいろあると思います。
専門家としては、言いなりにならないでと言いたいところです。
そういう不当な要請に対しては真っ向から戦いたくなります。

特に、弊所：東雲特許事務所は個人の方の案件を多く扱っています。
特許や商標の面で弱小の方を応援しています。

このため、知財を不当に利用するのは見過ごせるものではありません。
特に、弱小の側の人（Ａさん）による不当な利用です。
本記事を熱く書いたのはそのためです（笑）

しかし、賢者のみなさんは、専門家よりもはるかに賢明です。
（ずる賢いのような意味ではなく、素直というか前向きなのですね。）

繰り返しですが「α」はいずれ忘れ去られていくことでしょう。

Ａさんが商標「α」を守りたい気持ちもわからないではありません。
ただ、その手段が悪すぎます。
もし私がＡさんの代理人だったら、別の方法を提案したことでしょう。

本事例は、さまざまな観点から議論することができるかと思います。
事件の枝葉にとらわれるのではなく、本質的な部分です。
商標制度の今後や、専門家の仕事の今後を考えさせられた事件でした。

＜関連記事＞
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＜元記事＞
商標は言葉の独占ではない（by専門家）。なら使うのや～めた（by賢者）（2019年06月09日執筆）

＜関連記事＞当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします＆YouTubeも【１文１行ブログ】

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