考案の名称について ~登録証に載ることと権利との関係
本記事では、実用新案における「考案の名称」について考えてみます。「考案の名称」は、実用新案登録証にも掲載されますし、考案者としては、とても意味のある項目です。
本記事は、みなさまが特許事務所(弁理士)に、実用新案の出願手続きを依頼するときの参考になれば幸いです。なお、特許における「発明の名称」にも、本記事の考え方は当てはまります。
●考案者の立場
実用新案が登録されると、実用新案登録証に「考案の名称」が掲載されます。考案者としては、そのアイデアに対して、思い入れのある名称にしたいと思うはずです。
例えば、ジャンプできるシューズの考案でしたら、「ぴょんぴょんシューズ」とか「<考案者の名前>シューズ」とか「ヒーローシューズ」なんてのを付けたいと思うかも知れません(笑)
●弁理士の立場
一方で、弁理士は、考案の名称は、実用新案権の権利書として、最適なものとします。実用新案の権利範囲を定めるのは、「実用新案登録請求の範囲」という書類の「請求項」という項目です。
「考案の名称」は、請求項の「末尾」と一致させることが多いです。
例えば、ジャンプできるシューズの考案でしたら
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】・・・(ジャンプするための)バネを有することを特徴とする、シューズ。
のように記載されます。
この場合、考案の名称は、「シューズ」にすることが多いです。
より一般的に言えば、
✓ 「考案の名称」は、アイデアの内容を表すものでなくてもよい。
✓ むしろ、アイデアが適用される対象である「物」を、「考案の名称」とすることが多いと思います。
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<参考>「考案の名称」「発明の名称」あれこれ
・請求項の末尾と、考案の名称が一致しなくても問題ありませんが、特許の場合、審査において、請求項の末尾と、発明の名称が一致しないと、そのことが審査官から指摘されることがあります。
・請求項の末尾の記載は、あくまで、請求項の一部ですので、その記載が権利内容を決めることになります。極端な例としては、請求項の末尾を「ヒーローシューズ」にしてしまうと、ヒーローが使わないシューズは、その権利内容から外れると解釈されるおそれがあります。
・私は審査官時代に、カメラの分野の審査をしていたことがありますが、さまざまな発明がある中で、「発明の名称」で一番多かったのは、「撮像装置」です。「撮像装置」と言われても、どんなアイデアか全然わかりませんし、もちろん、「撮像装置(カメラ)自体」を発明したわけではありません。ある特徴を有する撮像装置の発明です。
・ある審査官が、アメリカと比較して日本の発明の名称は、わかりにくいとおっしゃっていました。たしかに、アメリカの特許では、発明の名称に、発明の特徴部(作用・効果など)が記載されていることが多いように思います。
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●では、考案の名称をどうするか?
考案者の思い入れも大切ですし、弁理士の権利に対する考え方も重要です。
そこで、すり合わせる必要があるときには、例えば、考案者(依頼者)がいくつか提案して、弁理士に選んでもらうか、あるいは、この逆がいいのではないかと思います。
もちろん、弁理士が提案してくれたものを、そのまま採用しておけば、実用新案の権利的には最も無難と言えるでしょう。
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●元ブログ(+αの情報あり)
https://www.tokkyoblog.com/archives/48070713.html
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