拒絶査定不服審判で補正なしでひっくり返ったら…【リライト版】
(注)もともとこのブログは、特許の初心者向けです。
ただ本記事はやや専門的な内容を含んでいます。
以下、易しい内容と難しい内容が混在しています。ご了承ください。
特許が拒絶された場合、上級審に当たる審判に訴えることができます。
この審判を、拒絶査定不服審判と言います。
拒絶査定不服審判を請求する際には、特許請求の範囲を補正できます。
拒絶された内容を変更したうえで、審判の場で争うことができます。
①特許請求の範囲が補正された場合
まずいったん、拒絶をした審査官が再び審査します。
補正されたことから審査官がそのまま特許できることがあるからです。
審査官が特許できないときは、審判官に回されます。
②特許請求の範囲が補正されない場合
審査官を経ずに、ただちに審判官に回されます。
(審査官が再び審査しても、拒絶の判断が変わる可能性が低いため)
ややこしいので少しまとめます。
拒絶査定不服審判を請求して、
①特許請求の範囲が補正されたとき
→審査官が再び審査→特許できないときは審判官が判断
②特許請求の範囲が補正されないとき
→ただちに審判官が判断
①と②を比べると、①の方が審判の件数として圧倒的に多いです。
審査官が再び審査することで、特許される可能性が増えます。
そもそも補正をしなければ、特許にならないこともあるでしょう。
と、ここまでは、一般的な考え方です。
■しかし、以下のような考え方もあります。
・拒絶査定をした審査官の判断は、絶対におかしい!
・①で審査官が再度介入すると、審判官に何を言われるかわからない。
・そもそも、補正をするまでもなく、特許されるべきである。
→そこで補正しないで、②のようにただちに審判官の判断を仰ぎたい。
また個人発明家や小規模零細事業者の場合、審判の負担は大きいです。
✔費用・手間などコスト
✔特許になるタイミングが遅くなることで、機会を逃すおそれもある
拒絶査定をした審査官の判断が、絶対におかしい!
そう考える場合、何らかの救済はないものでしょうか。
■わたしが審査官時代の議論
わたしが審査官時代に、以下のような議論をしたことがあります。
公の議論ではありませんが、賛同してくれる審査官もいました。
また、小規模事業の社長様から、同趣旨の意見を伺いました。
(本記事を書いたきっかけです。)
つまり、こういう議論です。
拒絶査定をした審査官の判断が絶対におかしいと考える場合、
→特許請求の範囲を補正をしないで審判を請求する(②の審判)
→審判官は、他の①の審判よりも優先して判断するものとする
→そして、審判でひっくり返って特許になったら・・・
拒絶査定不服審判の費用を「返金」してはどうかというものです。
あえて言えば「敗訴者負担の原則」に通ずるとも言えるでしょう。
たしかに、審判の数は増えるかも知れません。
しかし、以下の点でこういう制度があってもいいように思うのです。
✔出願人の納得感
✔審査の質向上・質同一化にもつながる
✔特許出願が減少傾向なら、審判の数が増えても特許庁は対応できる
出願人の納得感が高まる→特許出願の件数の増加につながるかも!
まさにユーザーフレンドリーではないでしょうか。
みなさまはいかがお考えでしょうか?
本記事は少数意見かも知れません。
ただ、意見を戦わせること自体は重要ではないかなと感じています。
最後までお読みくださりありがとうございました。
<元記事>
拒絶査定不服審判で補正なしでひっくり返ったら・・・(2015年06月01日執筆)
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特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】
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