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「生成AIなどの新技術による知的財産権の侵害行為」ってどういう意味?
複数のニュースサイトでこんな内容の記事が出回っています。
私ども知的財産権の専門家にも、正確に意味を理解できません。
今日はこの記事を検討してみます。
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①特許庁は6日、生成AI(人工知能)や仮想現実(VR)などの新技術による知的財産権の侵害行為を防ぐ制度を検討する方針を示した。
②生成AIが作成したデザイン案の公開により、本来の開発者が新規デザインに関する意匠権の取得を妨げられるといった事態を想定する。
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■①について
こんなふうに読めませんか?
✔生成AIが自発的になにかを行う→だれかの知的財産権を侵害する
生成AIが自発的に行動することはありません。
人間が「生成AIを使って」侵害行為を行うなら、その人間の犯罪です。
この記事をかなり善意に解釈すると以下のようになります。
✔「侵害」という言葉の使い方が悪い?
✔知的財産権の制度に「問題を起こし得る」程度の意味か?
✔その問題というのが②のこと?
そう解釈しないと、①と②の文章のつながりもよくわかりません。
(よく言われるAIの学習と著作権の侵害との関係ではなさそう)
①について気づいたことがあればまたブログを書きます。
②は重要ですので、以下解説します。
■②について
仮にこんな世の中を考えてみましょう。
✔生成AIが世の中のあらゆるデザインを生成し、ネット等に公開する。
(正確に言えば、人間が生成AIを使ってですが)
意匠を取るには、デザインの新規性などが必要です。
あらゆるデザインに新規性がないので、誰も意匠権が取れない!
→意匠の制度が破綻する?
こういうことが起こる可能性はゼロではない!
ということで特許庁が対策するのかも知れませんね。
■ネットニュースの情報は鵜呑みにしない
特許庁のサイトには、上記の情報は現時点で見つかりません。
上記のように「侵害」という言葉の使い方もわかりにくいです。
弁理士のチェックが必要ならお手伝いするのに^^;しないしない
なぜ「侵害」のような表現にしたのか?
AIを悪者にしたいのか?(わたしは技術の進歩については肯定的)
ネットの情報は、鵜呑みにしないことです。
たとえ大手と言われるニュースサイトでもです。
(わたしのもう一つ専門の労務についても微妙な内容の記事は多い)
知的財産権の微妙な情報については、今後もネタにします^^;
気になる情報がありましたら、お気軽にご連絡ください。
●YouTubeで音声でもご覧いただけます
●元ブログ(+αの情報あり)
https://www.tokkyoblog.com/archives/89661233.html
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