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パートナーシップ制度を求める声を全国の自治体に届けよう!同性カップルの法的権利の獲得へ

2015年に渋谷区と世田谷区で始まった、同性カップルを公的に家族として認める、(同性)パートナーシップの認証制度。2020年4月1日より、新たに合計13の自治体で一斉に導入となり、全国で47の自治体にまで、制度が広がっています。

政令指定都市においては、札幌市、福岡市、大阪市、千葉市、堺市、熊本市、北九州市、横浜市、そして、4月より新潟市、さいたま市、相模原市、浜松市が導入となり、全国20ある政令指定都市の半数以上、12都市で導入になりました。

全国パートナーシップ制度・導入済み自治体状況(2020.4.1時点)
(引用:自治体にパートナーシップ制度を求める会)

パートナーシップ制度


パートナーシップ制度が導入されている自治体状況(2020.3.31時点)
(引用:同性パートナーシップ・ネット)

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<2020年4月1日より導入される自治体>
【新潟県】 ​​新潟市
【埼玉県】 ​​さいたま市
【東京都​​】 港区、文京区、
【神奈川県​】 逗子市、相模原市
【静岡県】​浜松市
【奈良県】​​ 奈良市、大和郡山市
【香川県】 ​​高松市
【徳島県​​】 徳島市
【福岡県​​】 古賀市
【宮崎県​​】 木城町


パートナーシップ制度は、同性カップルを公的な家族として認める証明にはなりますが、直接的な法的効力はありません。しかし、この制度のスタートを契機として、東京2020オリンピック・パラリンピックの影響もあり、多くの自治体や、企業において、LGBTや、性の多様性に関する取り組みが広がってきました。

全国自治体における性自認・性的指向に関連する施策調査
http://alpha.shudo-u.ac.jp/~kawaguch/seisaku_chousa.pdf


パートナーシップ制度は、性のあり方が多様であることを訴え、これまでの「婚姻は異性カップルが前提である」という社会通念を変える大きなインパクトがあります。


自治体にパートナーシップ制度を求める会

さて、私がメンバーとしても関わっている「自治体にパートナーシップ制度を求める会」では、2018年5月から6月にかけて、全国の27の自治体の議会に対して、パートナーシップ制度を求める陳情書、または請願書を一斉に提出するアクションを起こしました。


一斉提出に至る事の発端は、2017年12月6日、東京都港区の区議会総務常任委員会で、同性カップルも家族として公的に認証することなどを求めた請願が、賛成多数で採択されたことがきっかけとなりました。

(※記事では匿名となっておりますが、その後、名前を公表し、両親へもカミングアウトをしたを聞いています。)

港区

(※採択された時の写真)

港区で請願書の提出を行なったTAKACOさんは、新橋でBARを経営しているゲイの当事者です。請願提出の際には、約1,000筆の署名を集め、委員会当日は、自ら趣旨説明も行いました。採択された当日は、応援してくれた仲間と共に喜びを分かち合いました。

港区ではその後、パートナーシップ制度に関するアンケート調査や、パブリックコメント(区民等からの意見募集)を経て、2020年4月1日より、導入に至りました。まさに一人の勇気ある声によって、社会が動いたのです。

これまでのロビー活動

渋谷区長

(※渋谷区・長谷部健 区長と面会)

世田谷区長

(※世田谷区・保坂展人 区長と面会)

渋谷

(※渋谷区役所にて、永田龍太郎氏(渋谷区男女平等・ダイバーシティ推進担当課長)と意見交換

公明党

(※港区公明党議員と意見交換)


港区の委員会で採択された後、2018年2月、札幌市においてパートナーシップ制度の導入の立役者である、鈴木 賢さん(明治大学教授)と共に、各自治体のLGBT当事者ら数名の有志が集まり、自治体にパートナーシップ制度を求める会を発足。

鈴木賢氏・TAKACO氏が世話人となり、議会へ陳情・請願書の提出をするまでの方法や、地方議員の紹介などを行いました。その後、何度かの作成会議を経て、同時期に一斉提出することを決定。

保守派から反対意見が出ないように、また、なるべく賛成多数による採択の結果に進めるよう、要旨としては「パートナーシップ制度の導入を求める」内容から、協議開始を求める内容に変更したり。また、議会によっては全会一致ルールがあったり、パートナーシップ制度に関する内容で提出ができなかった自治体もありました。審査自体がされないという自治体も中にはありました。


成果一覧
2018年5〜6月定例会に各自治体の議会に陳情・請願書の提出を行なった採択結果・成果一覧は次の通りです。

【夏の陣】請願・陳情等成果状況一覧

(※引用:自治体にパートナーシップ制度を求める会)

パートナーシップ制度を全国に広げよう!夏の陣 成果報告会

夏の陣・成果報告会


2018年7月29日には、明治大学にて、成果報告会のイベントを行いました。
その時の様子について、下記の動画からご覧いただけます。実際に、各自治体で提出を行なった当事者とのパネルトーク も行いました。自治体にパートナーシップ制度を求める会の設立経緯についてもご紹介しています。


その後も活動を継続し、2018年9月定例会に各自治体の議会に陳情・請願書の提出を行なった採択結果・成果一覧は次の通りです。

【秋の陣】請願陳情等成果状況一覧

(※引用:自治体にパートナーシップ制度を求める会)

LGBTの存在は見えない?

LGBT(性的少数者)の問題はその存在が見えないことが一番の要因です。存在しないのではなく、見えない。 なぜ見えないのかというと、それは、圧倒的にカミングアウトをしている人の割合が少ないからです。それだけ多くの人が安心して、LGBTであると言えないということです。LGBTに対する社会の理解が広がっているように見えますが、自分の身近にはLGBTの人はいない、会ったことがないという声をよく聞きます。

地方では、LGBTであることをカミングアウトをすることによって、差別的な対応を受けた事例を多く見聞きしています。パートナーシップ制度がない自治体では安心して暮らせないと考えている当事者もおり、制度が導入されている自治体に引っ越したり、海外に移住したりするケースも少なくありません。


先進的な自治体だけが、パートナーシップ制度を導入できるということではありません。市民に制度への理解が広がっていないことは、制度を導入する理由にはなりません。

LGBTは私たちの身近に暮らしており、愛するパートナーと一緒に暮らしたい、家族になりたいと、生きづらさや困難を抱えている当事者が多くいます。


パートナーシップ制度を求める声を全国の自治体に届けよう!

これまでに記したように、多くの自治体でパートナーシップ制度が広がっている背景には、制度を求める当事者が声を上げ、その存在を可視化させてきたことによるものが大きいと感じています。

自治体にパートナーシップ制度を求める会では、全国の自治体に(同性)パートナーシップ制度を広げる活動を行なっています。お住まいの自治体で「パートナーシップの公的認証」を求める陳情書・請願書を提出いただける方や協力者を広く募集しています。


パートナーシップ制度を求める多くの声を集めて、同性カップルも含めて、すべての家族が暮らしやすい社会へ、共に変えていきましょう!


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時枝 穂(TOKI)
LGBTに関する活動を中心に行なっています。ぜひ一人でも多くの方に関心を持っていただけたら幸いです。サポートはすべて活動資金に使わせていただきます。