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解雇を言い渡された日
「実は、経営が厳しくて・・」
ある日、上司から話があった。
会社の経営が思わしくなく、人件費の削減のため、私は翌月末で解雇になるという。
実はここ最近、「辞めたい」と思うことが何度もあった。
何度もあったというよりは、日々の中で「辞めたい」と「もう少し頑張ってやる!」という気持ちがかなり勢いでせめぎ合っていて、精神的にもつらかった。
「辞めたい」理由の中に、会社への不満のようなものもあった。
きちんとした評価制度がないとか、給与アップも見込めないとか、ボーナスがないとか、いろいろな理由はあったけど、
「これから」の話をしているのに、上司が上の空というか、あまり真剣に取り合ってくれない事にも違和感を覚えていた。
でも、それが全部つながった。
『会社にお金がなくて(私が辞めることも決まっていたから)、未来の話ができなかった』。
ただ、それだけのことだった。
ショックなんか受けないと思っていたのに
契約解除の話を聞いたばかりの時は、まあそうだろうなとしか思っていなかった。
だって、経営がうまくいっている感じはしていなかったし、むしろ危ないのではないかなとも思っていたから。
いずれ転職を考えなければいけないのかなと頭のどこかでは思っていたし、精神的にも疲れていた私にとっては、「これでしばらく、子どもたちとゆっくり過ごせる!?」なんて、ちょっとラッキーなことみたいにも思っていた。
それに、契約解除を告知されたときは、「伝えるほうだってつらいよな」なんて上司に同情もしていた。
それが、今になって急に不安が込み上げてきた。
なんだか仕事が手につかない。
残りの一か月、未来がないこの状況で、何をモチベーションに仕事を進めていけばいいのだろうか。
その日の帰り道。スーパーでふと、アイス売り場を見つめて怖くなった。
もう、ハーゲンダッツは買えないな。
給与をもらえなくなるという不安。
これから生きていくためのお金がもらえなくなるということ。
今まで、たまには自分へのご褒美で!なんていいながら買っていたスイーツが、二度と食べられなくなるんじゃないかと、急に怖くなった。
そこから、オレンジジュースも買えない、野菜も高いなあと
子どもに食べたいものを満足に食べさせてあげれない自分を想像してしまった。
会社に勤めていて、その会社が少なくともしばらくはつぶれる心配がなくて、毎月給与をいただけるっていうのは、あたりまえじゃないんだと思い知らされた。
きっと、解雇を伝えられた瞬間は受け止めるので必死だったんだと思う。
後になって、不安とかやるせなさとか、怒りみたいなものまで込み上げてきた。
人の人生に関わることなのに、こんなにも簡単に言われるだけなんだな、って。
でも、業務の引継ぎだってあるし、手を動かすしかない。
ここからしばらくは、精神的にもきつかったり、めんどくさいこともあるかもしれないけど。
人生を見つめ直す良いタイミングだったと思って、向き合っていかなければ。
あとがき
この文章は、私が実際に解雇を言い渡された日ぐらいに、だれにも相談できず感情を整理したくて書き残していたメモを、後になってまとめて少しだけ編集したものです。
今はこの時から数か月たち、自分の感情もどんどん変化してきています。
(どちらかというと前向きに過ごせているのでご安心を!)
この文章も、正直なところ投稿するのも迷いました。
実名や詳細なエピソードは伏せているものの、かなりリアルな感情を書くことが怖かったというか。
仕事がなくなったといっても旦那は普通に働いているし、きっと私の悩みなんて甘いと思う人もいるかもしれない。
ただ、私と同じように悶々としたり悩みつつも、
「こんなこと言ったら批判されるかな」とか、「こんなこと言ってるのって甘えかな」なんて思って打ち明けられない人が多いんじゃないかなということも感じていて。
私が書くことで、誰かが「私だけじゃない」と思ってくれるのではないかという気持ちで書いていたりもします。
私自身が、知らず知らずのうちに自分の殻にこもって、一人で悶々としてしまう人だからこそ、そんな人に届けばいいなと。
そして、もう一つ。
私自身も、ものすごく気にしいで、
こうやって匿名でしか自分の気持ちの本当のところを書けないと感じているんだけれど、
実はどこかで自分の名前を出して文章を書く仕事にあこがれている部分もあって。
最近までは「匿名で出す?」「実名で出す?」みたいな部分でずっと悩んでいたんだけれど、そこで悩む必要はないんじゃないかと思えたというか。
どんな形であれ、書き続けていたらきっと誰かに届くのではないかなと思えたので、まずはこの場所でずっと書き続けていけたらいいなと今は思っています。
(人間なので、この先また考えが変わるかもしれないけれど。)