アニメ「シキザクラ」についての考察
皆さんこんにちは、tokka-と申します。
皆さんは2021年10月から12月まで放送・配信されたアニメ「シキザクラ」をご覧になったでしょうか?私はシキザクラにドはまりしまして、毎週楽しみに観ていました。最終回まで観終えて、本当に面白い作品だったと思うと同時に、色々と気になる点も残ってたんですよね。
そこでその気になった点に関して、自分なりに考察をして、それをTwitterにて呟きました。この記事はその呟きのまとめ、再構成したものとなります。少し長くなりますが、宜しければご一読ください。
なお、この考察は本編と漫画の内容のみで考えたものであり、その他の媒体で公表されている内容は考慮していません。
ちなみに見出し画像は私の描いたファンアートになります。
イバラを待ってる奴とは誰か?
最終回のイバラのセリフ「こっちに俺を待ってる奴もいるんでね」ですが、これは翔に対して「お前には現世に待ってる奴がいるだろ?」って意味でもあると思うんですよね。だからお前は現世に帰れと。でも翔を帰らせる為の嘘ではなくて、本当に待ってる奴がいるんだと思います。
それは誰かというと、数百年前に門を閉じたイバラ本体だと思います。ヨロイとなったイバラはイバラの一部で、肉体の無い状態。ヨロイが依代となって身体を手に入れ、巫女の力で意識も目覚めた。ヨロイのイバラはイバラの一部でしかないため、記憶も曖昧だったのではないかと。ヨロイのイバラは幽世に戻って本体と再融合するのかなと思います。
なぜ現世と幽世を分かつ門が再び開いたのか?
最終回でイバラは門を閉じて現世と幽世を永遠に分かつと言っています。ではなぜ数百年前に門を閉じた後、また開いてしまったのか?門を閉じても時間が経つと開いてしまうなら、また明神の巫女の犠牲が必要になるのではないか?
これは、シュテンがシキザクラの儀式を逃れ、幽世へ封印されず、現世に残ってしまった為だと思います。門は構造的に現世からしか開けられず、幽世側からしか閉じられないように見えます。シュテンが現世に残っていれば、門を開けることが可能になります。
とはいえ、シキザクラの儀式で力を奪われたシュテンは、すぐには門を開ける事はできない。シュテンは現世にて多くの人を喰らい、力を蓄え門を開けようとする筈。だからイバラはその時が来る事に備え、自らの鬼の力を宝玉として千里に託し、千里は右近の先祖に共にその時に備えましょうと言い、手を取ったのだと思います。
ヨロイを開発したのは誰か?
ヨロイを開発したのは明神家と雉嶋家だと思います。シュテンの復活に備える為、明神家と雉嶋家は力を合わせ、古代の秘術と最新技術を融合させたパワードスーツ『ヨロイ』を開発した。ヨロイは巫女の力と鬼(イバラ)の力を利用して開発されたのだと思います。イバラのヨロイがその最初のアーキタイプなのだと思います。だから変身時マスクの番号が「00」なんだろうなと。
イバラのヨロイは鬼の力が強すぎ、鬼に取り込まれる恐れがあった為、その力を落とし、誰にでも扱えるように開発されたのがその他のヨロイで、最初に作られたのが「01」の涼のヨロイ、次に作られたのが「02」の楓のヨロイなんだと思います。
8年前の儀式はなぜ失敗したのか?
現世に残ったシュテンは多くの人を喰らい力をつけ、現世と幽世の門を開いたのだと思います。そして8年前、門を閉じるためにシキザクラの儀式を行っているところに現れ、明神正臣へ取りついた。もしかしたら正臣は集まってきた鬼の力を見て、この力を操れたら…とでも考えてしまったのかもしれません。
その一瞬の心の隙を狙われ、正臣はシュテンに喰われた。涼の父もシュテンに倒された。しかし葉月はシュテンの存在に気が付き、扉を完全に開くことはせず、シュテンは自らの本体を幽世から引っ張り出すまではいかなかった。
門を開くのは相当な力が必要で、それができるのは巫女の力を持った者と、鬼だけなんだと思います。それでも巫女の力のない鬼には、門を大きく開くだけの力は無いのだと思います。もしその力があるなら、自分で開いて本体を取り出せばいいわけですからね。でもそこまでの力は無いから、シュテンは時間をかけて少しずつ門を開けていったのではないかなと。
それでも僅かでも門が開けばそこから鬼が現世にやってくる。一度に出る数は少なくても時間が経てば鬼の数も増える。そうなればシキザクラの儀式を行い鬼達を幽世に帰さなくてはならない。その際は扉を大きく開いて一気に送り返さないとならない。シュテンはその時を狙っていた。
シュテンが自らの本体を幽世から現世に引っ張り出そうとした時、葉月はそれに気が付き、儀式を中断した。それにより集まった鬼が門を通れず、エネルギーが暴発して大災害を引き起こした。それが8年前の小原災害なのかなと。
これまで儀式が途中で中断されたことはなかったため、そのような大災害が起きることは葉月は知らなかったのかもしれません。もしくは知っていたけどシュテンの本体が現れたらそれ以上に酷いことになる為、知った上で苦渋の決断として中断したのかもしれません。
なぜ葉月は命を落としたのか?
千里や逢花の例を見れば、シキザクラの儀式を行うこと自体は命を無くすことではないことが分かります。あくまで門を閉じることで幽世から帰ってこれなくなると。ではなぜ葉月は儀式で命を落としたのか。これは自らが犠牲となって翔の命を救ったからだと思います。
儀式を中断したことで大災害が起こってしまったが、目の前にいる子供(翔)の命だけは何としても救いたいと思った。だから巫女の力を使って自分の命を犠牲にしてでも翔の命を助けたのだろうと。巫女にはそういう力もあるんだと思います。
右京はなぜシュテンに従うふりをしたのか?
8年前の儀式の時、右近の父雉嶋右京もシュテンと涼の父が戦っている場にいました。実は最初に本編を観た時は8年前の右近だと思った(右近が20代半ばだとしたらありえなくはない)のですが、EDのキャストを見ると、声優が右近と右京の兼役となっていたんですよね。で、右京のシーンは考えると8年前のシーンしかない。となると、あそこが右京で、右京とは右近の父親なんだろうなと。
涼の父がシュテンに倒されるのを見た右京は、その力に魅入られシュテンに従い手を組むことにした。勿論それは演技で本当にシュテンに従うつもりなどありませんでしたが。
ではなぜ右京はシュテンに従うふりをしたのか。これはイバラを守るためだと思います。あの時、右京はイバラのブレスレットを手にしていました。これは何のためか?右京のセリフが鍵だと思います。「シュテンさえ現れなければ、葉月様は…」という。この時点で葉月はまだ生きていますし、そもそも儀式が行われれば葉月は命を落とすことになっている筈です。
私が考察するに、右京はシキザクラの儀式の最後、門を閉じる作業を自分が行おうとしてイバラのブレスレットを持ってきていたのではないかと思います。そうすれば葉月の命は助かります。
8年前の時点ではヨロイのイバラの意識は覚醒していなかったのではないかと思います。でも宝玉の鬼の力があれば狭間までは行くことができる。最後に扉を閉じる段階で右京は葉月を出し抜き、飛んでイバラの宝玉と一緒に狭間まで行き、自ら門を閉じようとしたのではないかと(※1)。
最終回で翔とイバラは狭間へ行き、一緒に門を閉めようとしました。ここからは俺一人でやるとイバラが言ったた時、シュテンと戦っていた時と比べて扉は閉まっていました。だから人間の力であっても門を閉じること自体は可能なんだろうなと思います。それこそ鬼の力を利用したヨロイを着ていればもっと楽に閉じられるのかもしれません。
そうなれば当然右京は幽世に閉じ込められ帰ってこれません。自分の変わりに誰かが犠牲になるなど、葉月は了承しないでしょう。だからこれは葉月も(勿論正臣も)知らない右京の秘めたる計画だった。右京本人はその覚悟をしていたのだと思います。
でも儀式は失敗し、葉月は命を落とした。イバラは門を閉じる時に明神家の巫女が犠牲にならないための切り札(ジョーカー)になります。次の儀式の為に切り札のイバラは守り隠さなければならない。もし自分がシュテンに殺されたらイバラは奪われ壊されてしまうでしょう。それを避けるためにシュテンに従うふりをした。そしてイバラを自らが館長を務める博物館へと隠した。それは息子の右近にも伝えていなかった(※2)。
本編を観る限りでは右京は現在では既に亡くなっているような感じでしたが、その理由は不明です。死ぬ前に全てを右近に話しておくべきだったのでは?とは思いますが、急な事故とかかもしれませんし。それでも雉嶋家が本来仕えているのは巫女であるという事だけは伝えていたんだろうなと。自分は覚悟していたからいいとしても、親として自分の息子にイバラの力を使って巫女の代わりになれとは言いだせなかったのかもしれません。
そしてイバラのヨロイは博物館に隠されたままとなっていた。それが1話の逢花の巫女の力に反応してイバラの意識が目覚めた(※3)。そこからシキザクラの物語は始まった…!と言うわけです。こんな考察でどうでしょうか?(笑)
今後現世と幽世の門は永遠に開くことはないのか?
今回の儀式ではシュテンは倒し、全ての鬼は幽世に返す事に成功しました。なので門を閉じれば現世から開けようとする者は現れないでしょう。そして幽世からは開けられない。よって現世と幽世は永遠に分かたれ、今後明神の巫女が犠牲になることはないと思います。つまり翔と逢花の子孫は犠牲にならないで済むのだろうなと(笑)。
というわけでシキザクラは完璧なハッピーエンドを迎えたというわけです。まあこれは自分の考察というか妄想でしかありませんが、自分の中ではかなり納得いく答えとなっています(笑)。最後まで読んでくれた方、有難うございました!
※1 イバラ以外のヨロイの宝玉は、イバラの宝玉を研究して生み出したある種のコピーであり、誰でも着られ鬼に支配されるリスクのないヨロイになっていますが、その分鬼の力も弱くなっており、狭間まで行くことはできないんだろうなと思います。狭間まで行けるのはオリジナルの宝玉であるイバラの宝玉の力のみなんだろうなと。他の宝玉の力でも狭間にいけるなら、右京はイバラの宝玉を8年前の儀式の時に持ってくる理由はありませんから。
※2 イバラのヨロイに関して、正臣はヨロイのアーキタイプとしてイバラの力を利用したことは知っていた筈でしょう。なので正臣を乗っ取ったシュテンもイバラの存在は知っていた筈です。右京は正臣(シュテン)にイバラのヨロイは処分したとでも伝えていたのでしょう。なのでシュテンはイバラの存在に驚いていたのかなと。
※3 8年前の儀式の時に、イバラの意識は目覚めなかったのか?ですが、あの時はブレスレットに封印されていたので目覚めなかったのかなと。現代で目覚めた時はヨロイの状態でブレスレットからは出ていたからかなと。それか逢花の生み出した幽世にて力を受けたことが関係しているのかも?