「PROJECT: SUMMER FLARE」個人的考察メモ。
前回感想のみで終わったので世界や設定に関する考察的なものもこちらへ置いておきます。とはいえあれよあれよの間に色々な方にまとめられてしまい私が書くことは焼き直しかもしれませんが……。
いうまでもなくネタバレ全開なので要注意。
まず最初に
この記事ではこのワールド本編で見える部分を主に話を進めていこうと思います。
既存の考察論で指摘あるヨツミフレーム氏の意味深なツイート、他のSF作品などのオマージュで物語中はさほど意味を持たなそうなもの(「Bob」や通称「偽偽デュランダル」は「ポータル」が元ネタらしい)については深くはツッコまない方向で。
プレイヤーの移動=インスタンス移動とは?
序章の「夏」からサテライトへの移動はARのレイヤー(偽装)が変わったからと言えるでしょう。ですが前半のサテライトから後半の再度の夏(サテライト二つ目)への移動は?
メタ的には一旦「インスタンスを立て直し」ているわけですが前半終了時、実際そこには現実の核ミサイルが落ちておそらくは吹き飛ばされているはず。最初のサテライトでも主人公は色々作業している以上実体≒M8PLEであったはずです。
次のインスタンスで目覚めたのはまた別個体で意識やデータのみ移動しているのかもしれません。というのも着弾直前まで待っているとLuPIからプレイヤーというよりM8PRに呼びかける発言が追加されます。
ゆえにそこにいたM8PRは多分犠牲になっているのでしょう。「プレイヤー」が「他のインスタンス」に移動していなくなった後残ったM8PRに謝罪してるわけですね。プレイヤーの意思のみでなくM8PRという一個のキャラクターもそこにいたと考えるとそれもエモいですね。
複数プレイヤーの場合ラストで複数出現しますしこれまでの作戦でも失敗含めて何機も投入されているのかも。月基地にも展示されてますし。
サテライト停止後も機体は回収されずまたデータのみ月面に引き上げられたのかもしれません(通信環境が悪いので一週間間が開いた?)
光景がARならしなくていい苦労
最後間近になるとナビゲーションによりARを解除して進むよう指示されます。するとそれまで目の前に迫っていた敵も消え……。
「あれ、今までもガトリングガンとかにめっちゃ撃たれてたんですが?」と最初からそれ解除していてはいけなかったのという疑問です。
うーむしかし「これからは声も聞こえない」ことからするにAR状態でないと指示も補助もできないのでしょう。(同時にデュランダルなども効果を発揮しない)実際撃たれてもひるむ程度でやられたりはしないので、危険性より任務の遂行を優先していたのかもしれません。本来の目的で現実でやらないと意味がないサテライトの停止はその後の現実(多分)でやってますしね。
また、ミサイルからの退避時にARで橋を架けるのも「何で最初からやらへんねん」と思うのですがデュランダルで封印を破る際のメッセージで干渉は良くない旨のことが言われてますのであまりそれをやるとサテライトを刺激して干渉を招くということなのかも。実際、核ミサイル発射にまで至ったのは何度か封印を破ってとうとう赤いドクロの警告が出た後ですし。
余談、この要素には細かいこだわりがあり、AR解除前は出ていたはしごなどつかみ場所へのガイド表記は解除後表示されなくなります。(月基地では出てますけども)
LuPIとFASはどちらが(どちらも?)狂気なのか
FASが「正確無比な指示役(オペレータ)」と呼んでいたのは誰だったのかですね。これについてはこちらの記事も参考にしてます。
前半のLuPIとの付き合いが印象的でそれが眠っている間のFASの話なので、また月にあるLuPIの「右が私です」の姿が超自然的だったり「その部屋はどこにも繋がっていない」とのFASの指摘からLuPIの方と漠然と思いがち(私もそう思った)のですが月基地の「→FAS」がなぜか走り書きであること、FAS側に自爆装置がついていることからこちらも警戒すべき存在(≒狂気)なのではという疑惑ですね。
ヒバさんの言う「正確っぽいのはFASのほう」もそうで。かといってLuPIが超常っぽい存在であることは変わりなく、生まれた順や経緯はともかく双方狂気という考え方も出来そうです。
別点で気になるのはLuPIが「私たち人類」と名乗っている点ですね。月にいるLSのメンバー(未登場)やM8PRたち新人類を指している説もありますがそれだと旧人類は別個の存在で私たちではない(同胞ではあるけど)な話にもなり不自然です。放っておくと夏といった狂気が月まで飲み込んでしまった可能性はあり共倒れなので阻止したともとれますけど。
これはひょっとするとLuPIは純粋な人工知能などではなく、サテライトによる偽りの平穏を良しとしなかった人類、というかその意志や記憶の集合知的なものなのではないでしょうか。
その姿が旧世代のコンピューターやモバイル端末がつながった形をしているのは集合体としての象徴では?それでも足りなかったのでFASも生まれたのかもしれません。
ならばプレイヤーもやはり?
こういう流れになるとM8PRに宿っているプレイヤー自身も狂気ではないかという疑いも出てきますね。一応作戦のために「過去の記憶を抽出し作られた」という理屈はあるものの、「狂気の影響を受けない存在(狂気をもって狂気を御する。)」であり、月に展示されているM8PRにも「FAS+LuPI+PLAYERS」とあり何やら同列っぽい感じもします。
「永遠に夏が続いてほしい」意志に反して「未来に進みたい」という意志が作り出した狂気がまたプレイヤーという存在なのかも。
となるとLuPIに示唆されているのと同様、狂気が消える中役目を終えたプレイヤーもあそこで消えゆくのかもしれません。最後に過去にメッセージを送り作戦の実行と成功を約束したうえで物語は最初に戻ると。
「あの夏で待ってます」はそれっぽい台詞というのみでなく再び出会うならそこでしかない、そういう事ですね。そういえば序盤にも……
ラストの信号はどこに送っているのか
話の流れからは過去の2019年へだよ、という話ですがそんな超常現象を起こす機械って2141年でも存在するでしょうか。それはつまりまた、狂気。この物語あらゆるものが狂気で大体狂気のせい。
このワールドの感想ツイートを見るに「このワールド自体がヨツミフレーム氏の見ている夢という狂気では?」という冗談もありまさに。
この件に関してはスタッフロールを兼ねた月基地の三人のマークについてヨツミフレーム氏にLUNAのマークが与えられてますからある程度の確度のある話ではあるのですが。
物語として体裁はあるけどどこから始まってどこで終わっているのか、そんな不思議な読後感が考察においても出てくるワールドだと思います。
余談、というか謎
メガネは知的なイメージ(狂気の一部)なのかそれとも人間が居るのか。(→FAS、と書いた人?)
先ほどFASは狂気ではと書きましたが人類のこの先を最後まで見届ける(狂気が消えた後も残る)とも発言しており別個の存在なのかも。
夏へのこだわり。最初に集めるアイテムも三つですしこれを作者の三人に当てはめると夏の思い出にこだわっているのも三人で、うち一人=LUNAである”y23586”が「夏」を作り出したとも推測できなくも無いような。
序盤の水族館から神社の一部、そしてキーとなる電話ボックスは後々再登場しますし、物語全体のみでなく小さなシーンでの映像やエピソードも夏の思い出を暗示しているのかもしれませんし。
顧みるとヨツミフレーム氏はこのワールドの企画段階から「最高の夏」というキーワードを度々口にしているのですよね。
過去からのメッセージでこのワールドを作りつつ、それは未来の人類のためというよりそうした冒険活劇的な意味での「最高の夏」という作品を作り、それが後々巡って未来に実際に「夏」が発生してしまった。それがサテライトの停止に繋がったのは偶然である、みたいな。先述したLUNAという狂気の正体はヨツミフレーム氏ではないか?にもつながると。
事件発生から解決まで、全ては同氏の計画通りだったのかもしれません。
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