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本と欲と正月休み。

それにしても、せわしない世の中になったものだなぁと、思う。
あんな踊りが流行ったかと思えば、なに? もう時代遅れなの? 物珍しい音楽が流行ったかと思えば、ん? もう古いの?

それはトレンドに限ったことじゃないよね。痛ましい事件や、話題欲しさに世を騒がせる迷惑行為なんかもそう。注目を集めていたかと思うと、すぐさま他の話題へと移り変わる。なんともせわしない。

そんな時流に逆らうかのように、年々、慌てず丁寧に生きていきたいと思う。やりたいことは、後回しにせず、やる。会いたい人には、できるだけ時間をつくって会う。

無駄なことだってそうだよ。効率化ばかりが叫ばれる昨今。タイパだっけ? そういうことに囚われすぎず、無駄なことには率先して首を突っ込みたい。遠回りだってしたい。だって、期せずして過ごす時間や、期せずして訪れた景色の中にしか、まだ見ぬ瞬間は待ってなさそうだからね。

ふと本棚を眺めてみる。机に積まれた本を眺めてみる。読みたいと思って買ったはいいものの、読む時間がとれずに積んだまま。背表紙を見るたびに、「あっ、この本、読みたい!」と、手を伸ばした日のことを思い出す。

せっかくの正月休み。ふだんと比べると、少しだけゆるい時間が流れる中、積まれた本を手にとり、ワクワクした気持ちになってみる。ページをめくる。ドキドキしてくる。やっぱり本が好きだなぁ、と。

ん? 待てよ。
新しい物語、新しい知識、新しい情報、まだ出会ったことのない活字を欲して、次から次へとページを繰る。繰る。繰る。

世の中に存在するのは、目の前に積まれた本だけじゃないんだぜ。積まれた本を読破したところで、まだ未知なる本など星の数ほどあるんだぜ。もちろん、どんどんと新刊はリリースされていくんだぜ。それらすべてに触れずに、死んでしまっていいのかい?

本の悪魔のささやきが、僕をせかしてくる。
急げ急げと、せかしてくる。
結局、人をせかしてやまないのは、人が持つ欲、なんじゃないかと思った正月休み。

あぁ、なんてバリスティック。


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