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6月の化石 ザ・ループTRPGリプレイ 第四回「オーロラ、再び」

解説:グラフィック社刊行「ザ・ループTRPG」のリプレイ記事、実際のゲームの様子を元にした読み物の第四回目です。第一回はこちら。 第二回はこちら。 第三回はこちら。
text :朱鷺田祐介 Illust:桐部ゆき

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ザ・ループTRPG(グラフィック社)


 キャラクター作成を扱った第一回はこちら。

 今までの冒険を紹介する第二回、第三回。

第四回:オーロラ、再び

【登場キャラクター】

運動部員 ルイ・アームストロング 13歳 
(プレイヤー:蝸牛くも)
ロッカー ジャスティン・ウェーバー 14歳
(プレイヤー:柴田勝家)
コンピュータ・ギーク フレデリック・レンノ 13歳
(プレイヤー:BakaFire)
変人 セイラ 11歳
(プレイヤー:桐部ゆき)

ゲームマスター(GM)朱鷺田祐介

【前回までの物語】

 6月、スウェーデンの片田舎、メーラレン湖の島々に初夏がやってきた。この島に住む少年少女たち(キッド)は、自分たちが通う基礎学校(スウェーデンの学校教育で日本の中小学校にあたる)の先生と、科学研究施設の科学者の結婚式に参列する。パーティ会場で、理科の先生ロヴィーサ・アンデルスに、ザ・ループの若手科学者ベルトルト・オングストロームが新種らしい三葉虫の化石をプレゼントしたのを見たキッドたちは、自分たちも新種の化石を見つけようと、化石が見つかった閉鎖中の石切場に入り込む。そこで、時空間に影響を与えるエコー球を発見したキッドたちは水没した坑道にいたモササウルスに襲われ、これを撃退して逃げ出した。

【コラム:ザ・ループTRPGのダイス・ロール】

 能力値と技能の合計数のダイス(6面)を振り、6の目が1個でも出たら、成功になる。出ない場合でも、その行動がキャンセルされるのではなく、コンディションなどのペナルティを受けて行動が進む。
 余分の成功が出れば、結果はよくなる。使い方は技能による。
 アイテムがあれば、それが役立つ度合いによって、ダイスを1-3個増やすことが出来る。
 各自のアイコン・アイテムは、それを使うことを説明できれば、ダイスを2個増やすことが出来る。
 コンディションを受けている場合、1個ごとに、ダイスが1個減る。

【表記ルール】


【能力値】
〈技能〉

オーロラ、再び

 冒険から一夜明け、キッドたちはいつものように学校へ行く。
 学校の授業はいつものようにつまらない。
 昼頃、また、頭上にオーロラが発生し、学校の時計が30分ぐらい戻ったり、機械が止まったり。

セイラ:また、オーロラだ。
フレデリック:またかよ。
 しかし、時間が戻った、という表現は気になるなあ。
ルイ:この前のあの機械、結構、ガチャガチャいじくったよなあ。
セイラ:おやああ。
フレデリック:もしかして、あの石切場以外にも影響が出ている?
ルイ:1時間進めたり、1時間戻したり・・・
セイラ:誰かが石切場に行っていじっていたりして?
フレデリック:気になるので、大人に相談したいけれど……

GM:「ザ・ループTRPG」の原則その3

ジャスティン:大人は役に立たない。
フレデリック:そうなんだよなああ。

ザ・ループTRPGの原則

1.みんなの住む街は、奇妙で不思議なことに満ちている
2.日々の生活は味気なく容赦がない
3.大人は役に立たない
4.ループの地は危険だが、子供たちが死ぬことはない
5.このゲームはシーンごとに区切ってプレイされる
6.世界はみんなの協力により描き出される


セイラ:じゃあ、気になるから、放課後、みんな集まった感じで。
ルイ:プレイヤーとしてはベルトルトさんが怪しいような気がするが、脳筋なルイは気づかないような。

 TRPGでは、プレイヤーとPCを分けるのが基本であるが、脳筋ロールプレイにハマって、推理が活かせない蝸牛さん。

ルイ:あ、思いついた。こんな感じでいこう。
「この前、オーロラが出た時、あのタイムマシンをいじったら、モササウルスが出たよな? 今日もオーロラ出たから、また、別の恐竜がいるんじゃねえ?」
フレデリック:マジかよ。
ジャスティン:新しい恐竜! そいつはロックだな。ぜひ見たい。
ルイ:そうだよ、恐竜、見たいよなあ。
フレデリック:今度は殴るなよ。

 前回は、モササウルスの鼻面をジャスティンがエレキギターで殴って撃退した。

フレデリック:ルイ、バットを忘れるなよ。
ルイ:フレデリックも、今度はパン以外も持ってこいよな。
フレデリック:くー。
ルイ:そう言えば、あそこ、電源あったじゃん!
フレデリック:オレのパソコンはポータブルじゃないんだよ!

 1980年代は、やっとラップトップ・パソコンが登場したところ。膝の上に載せられるもので、形状は今のノートPCに似ているが、遥かに重く、電源無しにはほとんど動かない。
 初期のマックがポータブルを自称していたのは、専用のバッグで運べるだけで、無電源で動く訳ではない。

ルイ:でも、お前、配線とか出来るよな?
フレデリック:まあ、出来るけれどさ。
ジャスティン:電気があれば、オレのエレキギターだって!
フレデリック:言っておくけれど、まだ、小学生だからな。
ジャスティン:プラスとマイナスがあれば、イケる!
フレデリック:無茶言うなあ。
セイラ:恐竜がいるなら、冷蔵庫の肉とか囮に使えるかも!

再び、石切場へ

 かくして、放課後、再び石切場へ。
 前回、探索はしたので、障害物を乗り越えるための〈運動〉+【ボディ】のロールをする。

GM:成功1個でいいよ。
ルイ:ロープもあるし、余裕でござるよ。

 このように行動に役立つアイテムを持っていれば、ダイスを増やすことができる。石切場の移動でのロープはダイス+1として扱う。

フレデリック:ロープを使って【ボディ】のみで振ったら、無駄に大成功。
GM:余分の成功は、他のキャラに回せるよ。
セイラ・ジャスティン:失敗!
ルイ:2成功しているので、セイラは僕が助けるよ。
フレデリック:じゃあ、ジャスティンに1個回す。
「だから、エレキギターは止めろ!って言っただろう?」
ジャスティン:ギターはオレの魂だ!
フレデリック:年上で重い上に、エレキギターまで支えるこっちの身にもなれよおお。

 かくして、前回来た場所までやってきたキッドたち。
 化石の見える石壁の前には、エコー球とそれにつながった投光器。
 ひとつ違うことは、投光器のひとつが水場を照らしているということ。

ジャスティン:え?
フレデリック:向きが変わっている、ということは、恐竜が増えている可能性があるかな。
ルイ:水はなくなっていないんだよね?
GM:ええ。
ルイ:つまり、水棲の何かがいてもおかしくないと。
セイラ:水中に、別の化石があったら、どうなるのかな?

 GMはここで気づくかどうかの判定として、《察知》のロールを求める。

フレデリック:ですよねーーー。
 しかし、技能がないな。【マインド】の素振りだ。1成功!
ジャスティン:2個成功!
セイラ:カモン、マイケル! あ、ゼロ成功。

 マイケルは、セイラのペットのネズミで、アイコン・アイテム。セイラはマイケルに周囲を警戒させることで、ダイス+2の修正を得るが、今回は失敗。

ルイ:こっちもゼロ!
GM:ジャスティンとフレデリックが気づいた。この前と違うものが水中を泳いでいるよ。
フレデリック:モササウルスじゃないぞ!
ジャスティン:フレデリックが何かやったか?
フレデリック:やってねえよ。
GM:殻に包まれた体・・・足が複数? はさみがあって・・・
セイラ:カニ?
GM:長い尻尾はどちらかと言えば、サソリめいている。
フレデリック:ウミサソリ?

 ウミサソリは、古生代オルドビス紀に発生し、その後、絶滅した海の節足動物で、分類的には蜘蛛に近い、水中の捕食者である。大小あり、最大級のものは1メートルを超える。主に、水中に住むが、一部の種は、陸上に出る能力も持っていたとされる。

GM:そして、ウミサソリが水中から上がってくる。
ジャスティン:来たーー。
セイラ:それって肉食?
GM:ええ。
セイラ:肉あるよ、肉! 肉を投げて気を引き、そのすきに逃げる!
GM:では、皆さん、ダイスを2個足して、《運動》+【ボディ】。成功すれば、逃げられるよ。失敗したら、コンディションをひとつ受けます。
セイラ:2成功!
ルイ:1成功!
ジャスティン:お、4成功!
フレデリック:ごめん、ゼロ。
ジャスティン:じゃあ、さっきのお礼だ。フレデリックに1個成功を渡す。引きずっていこう。ロック!
フレデリック:ちょっと釈然としないものを感じるが、ありがとう!

 「ザ・ループTRPG」のよい点は、このように、余分の成功が出たら、他のキャラクターを救うために使えること。

さて、これからどうしよう?

 なんとかウミサソリから逃げ出したキッドたちではあるが・・・

ルイ:今度は恐竜じゃないんだ?
フレデリック:ウミサソリだ。
セイラ:恐竜を蘇らせてどうしたいんだろう?
フレデリック:ウミサソリもアンモナイトも恐竜じゃないぞ。
ジャスティン:前回より、ロックじゃないな。
フレデリック:そういうものか?
ルイ:恐竜が出てくるかと思ったら、でっかいエビだぜ?
フレデリック:まあ、どっちがカッコイイかと言えばまあ恐竜だが。

ルイ:個人的にはウミサソリも好きだけど……。
フレデリック:分かる。

セイラ:ちなみに、今、エコー球の中に人は?
GM:今は、いません。
セイラ:何をしたいのかな?
フレデリック:大人の人が何をしたいのかは、分からないけれど、恐竜やウミサソリを復活させたいのかな?
ルイ:そういうのを研究したい人なら……。
ジャスティン:ロヴィーサ先生?
ルイ:あの人なら、喜んでガチャガチャ回しそうだ。
セイラ:えっと、『ジュラシック・パーク』は?
GM:原作が1990年、映画が1993年だね。
セイラ:それ、見てたら、怖さも分かるんだろうけれど。
ジャスティン:まだ、我々は恐竜の真実を知らない。
GM:まあ、しかし、全長2mのウミサソリは、やっぱり怖いと思うよ。
セイラ:それが街まで出てきたら、大変だねえ。
ルイ:モササウルスはさすがに陸上まで上がれないけれど、ウミサソリは脚があるからなあ。
GM:大半はヒレなので、移動速度は遅いですが、地上にも上がれますね。
ルイ:さて、どうするか?
フレデリック:普通のTRPGだったら、ここで大人に通報して終わりなんだが、何しろ、「ザ・ループTRPG」の場合、「大人は役に立たない」。

 「ザ・ループTRPG」の6つの原則のひとつ。このルールは、キッドたちの当事者性を担保するものだが、そのぶん、何も思いつかない時は大変だ。

フレデリック:オレたち子供(キッド)なんだから、見なかったことにして終わりでもいいんだが。
ジャスティン:それはロックじゃないな!
セイラ:じゃあ、どうする?
フレデリック:ルール上、役に立たない大人の中でも、少しは役に立ちそうな人を頼ってみようか?
セイラ:古生物大好きなロヴィーサ先生かな。
「生きている恐竜見たくない?」と言って、石切場に誘うかな。
ジャスティン:むっちゃリアルな恐竜には食いつくと思うなあ。
 ロヴィーサ先生に「恐竜の歌」を聞かせよう!
ルイ:実は、この水路が湖につながっていたら、やばいな、と思っていて、ちょうど女性警察官のイング・マリー・ブランケンがボートを借りに来たことがあるので、彼女に相談してみるのもありかなと。

 ここは、キャラメイク時に選んだNPCとの関係性を拾う選択。
 「ザ・ループTRPG」は、舞台となるメーレラン湖地方の様々な住人が紹介されており、キャラメイクの段階でそのうち、二人との関係が設定される。ルイの場合は女性警察官のイング・マリー・ブランケンと、謎の悪夢に関係しているらしいペーテルの名前が上がっている。

フレデリック:婦警さんはアリだねえ。でも、大人に話したら、立入禁止の石切場を探検したことがばれちゃうよね。
ルイ:じゃあ、まず、湖で恐竜を見たことないか、聞いてみよう。
フレデリック:聞いた結果、恐竜が石切場の外に出ていないなら、安心できる。せっかく生きているんだから、殺すとか戻すとかしたくないな。
ジャスティン:危険じゃないなら、その生命を尊重する。それがロックだ。
ルイ:まあ、あのでかいエビがまた出てくるとやばいので、今日は帰って、警察署に行ってみよう。

警察署にて

 かくして、キッドたちは石切場を出て、女性警察官のイング・マリー・ブランケンと話すために、ステンハムラにある警察署へ行きます。

ルイ:イング・マリーさんをお願いします。
GM:というと、受付の警察官が振り返って叫びます。

「おーい、オカルト!」

ルイ:え、そういう人なの?
GM:すると、奥の方から制服の若い女性がコーヒー片手に「ちゃんと名前で呼んでください」と文句を言いながら、やってきます。彼女がイング・マリー・ブランケン。年齢は25歳。ブロンドの髪をしていて、用心深そうな目をした女性ですが、ルイは、以前、ボートを貸したことがあります。

イング・マリー・ブランケン

イング・マリー:「ああ、ルイ君ね。どうしたの?」
ルイ:最近、オーロラとかオカシナ事件があったじゃないのですか? それであたりを探検していたら、変な生物を見たというヤツがいて……。

イング・マリー:ほぉ!

ジャスティン:すごい食いつき!
ルイ:(ちょっと考えてから)そいつは歯の生えたイルカみたいなヤツで、あと巨大なエビみたいなヤツもいるようです。

イング・マリー:なるほど。私の考えていた仮説は正しかったのね。

ルイ:そういう人だったのか。普通、女性警察官って、「疲れているのよ、モルダー」とか言う側じゃないのか?

 それは「X-FILE」。

ルイ:ねえ、イング・マリーさん、メーラレン湖でそういう生物がいるという話は知っていますか?
イング・マリー:実は、メーラレン湖に古代の恐竜が生き残っているという説があります。
セイラ:えええー!
イング・マリー:私はその存在を追いかけているのです。
ジャスティン:ネッシー?
ルイ:それ、つながっている可能性があるなあ。
GM:それから彼女は回りに聞こえないようにこう言った。

イング・マリー:ねえ、UFOって信じる?

フレデリック:(やばい。ダメな人だ)
ルイ:UFO? もしかしたら、いるかもしれないなあ。
セイラ:見たことないよ!
ジャスティン:UFO? そいつはロックかい?

GM:背後で、男性の警察官たちが茶々を入れる。
「イング・マリー、餓鬼に変なことを吹き込むんじゃねーぞ!」
ルイ:そういう扱いの人なんだ?

 イング・マリー・ブランケンは「ザ・ループTRPG」の箱庭的な遊び方を提案する「ミステリー・ランドスケープ」に登場する人物のひとりで、こうしたシナリオ・フックを提供してくれる。

GM:イング・マリーは、キッドたちをすみっこのソファに連れていった後、自分のデスクから、たくさん付箋がついた恐竜図鑑とか新聞の切り抜きとか、自分で撮ったらしいぼけぼけの写真などを持ってきて、ルイに「これ? それともこっち?」とか聞いてくる。1枚はたぶん、新聞に載ったネッシーの写真である。
ルイ:いや、もっとイルカっぽいというか。
セイラ:口はワニみたいで。
イング・マリー:イルカとワニ。イルカに似ているのは、モササウルスか、スピノサウルスね。ワニっぽいのは海岸に棲んでいた鳥脚類のどれかかしら。そうねえ。

GM:そんな感じでしばらく、大騒ぎ。

ルイ:あと、でかいエビみたいな。ハサミついていて、2mぐらいの。
イング・マリー:ウミサソリかしら? でも、モササウルスとはずいぶん、時代が違うわね。
フレデリック:時代が違う? 重要なキーワードだな。
ルイ:そこ、もっと詳しく。
イング・マリー:ウミサソリがおおよそ4億年前。恐竜の時代の前ね。
 一方、アンモナイトは、2億6000万年前から、6600万年前の間。三畳紀から白亜紀にかけての時代で、ほぼ恐竜の時代に重なる。モササウルスは後期白亜紀、だいたい7,000万年前から6,600万年前ぐらい。

 なんというか、オカルト系の人は、なぜか古生物の歴史年代に詳しい。

セイラ:(こそこそ)なんで時代がずれているんだろう?
ジャスティン:あの機械の設定を変えた?
フレデリック:あるいは、繰り返し当てた結果、時代がさらに戻ったとか?
ルイ:恐竜の時代、意外と短い?

イング・マリー:そう、生物が海から地上に上がってくるのに、ずっと、ずっと長い時間がかかったのよ。ウミサソリは海の時代である古生代シルル紀の海を支配していた。その前に、カンブリア紀の海を支配したアノマロカリス類がいたし、シルル紀の終わりには板皮類、つまり、甲羅のような外骨格で固めた大型硬骨魚類が登場したわ。外側にカブトやヨロイのように硬い骨があり、身を守る他、歯の代わりも果たしていた。板皮類最大のダンクルオステウスは約6メートル、デボン紀の海の覇者ね。

フレデリック:やばい、語りモードに入った。
 それって危険じゃないんですか?
イング・マリー:非常に危険な生物です。
 私は、ずっとその危険を警察上層部に警告しているわ!
 このメーラレン湖には、きっと海龍というべきものがいる。だから、海軍の出動を希望しているけれど、上層部は一向に信じてくれないの。
フレデリック:色々な意味で、もうダメだ。
ルイ:この人が真面目に調べていたとしても、さすがに海軍の出動はないよなあ。
フレデリック:彼女を石切場に連れていくという選択の可能性は、ギリギリ、0じゃないよな。確かに、それはありそうだが……

セイラ:このゲームの原則。

「大人は役に立たない」

フレデリック:そうなんだよねえ。
GM:実際、君たちとイング・マリーが話している間も、時々、背後から、「オカルト、子供に変なことを吹き込むなよ!」という茶々が飛んでくる。
フレデリック:うわ、ダメだあ。
ルイ:彼女は信じてくれても、警察は動かせない。
ジャスティン:やっぱり、警察署にモササウルス抱えて、突入するしかないな。「モササウルス、一丁!」
フレデリック:ロックすぎる!
ルイ:サメみたいに、陸地でも宇宙でも出てこないとダメなんだな。

 いや、本来のサメはそんな場所に出て来ない。
 それはさておき、「ザ・ループTRPG」の大人は本当に、役に立たない。
 まあ、そこに、キッドたちPCの当事者性があるのだが、事件解決に関しては絶望するしかない訳である。

セイラ:どうする? ロヴィーサ先生のところに行く?
ルイ:その前に、イング・マリーさんは警察官だから、何か石切場の球体について知っていないか聞いてみよう。
「石切場で怪しい人を見ませんでしたか?」
イング・マリー:怪しい人がいたら、私が捕まえているわ。どんな怪しい人?
ルイ:例えば、タイムマシンを作りそうなマッド・サイエンティストとか?
ジャスティン:ストレートだな。ロックだぜ。
イング・マリー:タイムマシンを作りそうなマッド・サイエンティストねえ。それって、ザ・ループの人ってこと?
一同:あー。

 メーラレン湖諸島の中心にある「ザ・ループ」こと粒子加速器研究所の目的は、時間と空間の謎を解くことである。言い換えれば、タイムマシンを作りそうなマッド・サイエンティストの集団なのだ。

イング・マリー:そう言えば、2,3ヶ月前に、ザ・ループのベルトルト・オングストローム博士が大きな金属球をトラックに乗せて運んでいたわね。
ジャスティン:いえーい!
フレデリック:なるほどねえ。
イング・マリー:私が「UFOの部品ですね?」と聞いたら、「違います」と答えていたわ。
ルイ:あの人はマッド・サイエンティストじゃないよねえ。
ジャスティン:ロックな手がかりを感謝だ。せんきゅー!

フレデリック:だいたいつながったな。
ルイ:どうする? ただ、恐竜を作って遊んでいるだけなら、止める必要もないんだけどねえ。
フレデリック:もしも、地獄恐竜帝国とか作っているなら話は別だが。
ジャスティン:そいつはロックだ。
ルイ:ベルトルト先生は爬虫人類の尖兵だったのだ!
フレデリック:やばい、ゲッター線が。
ルイ:でも、子供的にはわくわくする展開じゃねー。
ジャスティン:突撃するか?
ルイ:いいねえ。よーし、ベルトルト先生に聞きに行こう!
セイラ:でも、それに気づいてしまった私達はやばいんじゃない?
フレデリック:大丈夫、言い訳も考えた。まず、石切場の近くで恐竜に襲われたことだけ話して様子を見よう!
ルイ:念のため、バットを忘れずに。
ジャスティン:俺はギターを離さないぜ!

 いや、それじゃ殴り込みだよ、キッド。

(続く)

あとがき

 おまたせいたしました。「ザ・ループTRPGリプレイ 6月の化石」第四回です。3月が多忙だったため、間があいてしまいました。すいません。

 さて、キッドたちは再び、石切場へ行き、今度はウミサソリが出現。
 困ったキッドたちは、警察官のイング・マリーに助けを求めますが、これまた変な人で困り果てています。
 さて、彼らは、今後、どうするのでしょうか?

 ここまでのプレイ時間は「3:34:01」。

 次回は5月末から6月頭を予定しています。


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