
『ざつ』 お気楽TRPG日記57。玉座の闇とか、MÖRK BORGとか、『ざつ』に始めるシャドウランその2とか。
概要:還暦間際のTRPGデザイナー、朱鷺田祐介(ときた・ゆうすけ)が適当なことを『ざつ』に書くエッセイ。だいたい、TRPG関連の思い出とか雑談とか、シナリオ作成やGMの裏話。玉座の闇とか、MÖRK BORGとか、シャドウランの話で行きましょうかね。
玉座の闇
12/11は、静岡県藤枝市のカフェ・バロックにて、ライブアクション型マーダーミステリー「玉座の闇シーズン4 魔王復活」の公演。
最大28名のところ、24名もの参加者をいただき、大変に盛り上がりました。参加者の皆さん、本日の会場となったカフェ・バロックさん、主催のorca Mistery labさん、本当にありがとうございました。
その他、大阪の方で「玉座の闇シーズン2」をコスチュームがっつりで遊んでもらえたそうで、作者冥利につきます。
「玉座の闇」シリーズはもともとゲーム学校の授業「ゲーム研究」でのLARP体験用に開発したものなので、多人数のわちゃわちゃしたライブゲームとして楽しんでもらえれば、ありがたいところです。
「シーズン4 魔王復活」に関しては、ゲームマーケット秋で生産した分は完売しましたが、近々に再生産の予定で、今後は、コノスさんの通販で販売いたします。過去の「シーズン3 五王国会戦」の在庫はございますので、コノスさんにお問い合わせください。
たぶん、来年も制作し、秋に発売という感じになればいいなあ、と思っております。
また、有料ではありますが、GMの依頼もお受けしております。スケジュールの都合もありますが、ご相談いただければ、前向きに対応いたします。
『ざつ』な営業トークですが、まあ、私もフリーランスなので、いつでも、お仕事募集中です。
MÖRK BORG
……という訳で、年末年始ということもあり、積み上がった原稿の締め切りとか色々あるんですが、遊ばないとやっとられん! という訳で、週末は、MÖRK BORGの予定です。
One day all will blacken and burn.
その日、全ては黑く染まり、燃え上がるだろう。
MÖRK BORG はOSRジャンルの完璧なゲームであり、単独でプレイ可能な上に、あなたのオリジナルに簡単に組み込み可能。世界最大TRPGであるアレの全バージョンとも簡単に共通化可能!(公式サイトより)

MÖRK BORGは、「ザ・ループTRPG」のフリーリーグABが発売しているドゥーム・メタル・ファンタジーTRPGです。
OSRというのは、オールド・スクール・ルネッサンスの略で、D&Dに代表される主流派のTRPGが肥大化し、多大なコストが必要になるのに対して、初期世代の簡略なシステムを見直し、手軽に遊べる形で現代的にデザインされたものを指します。MÖRK BORGは、ドゥーム・メタルの雰囲気を色濃くまとった滅びゆく世界で、ダンジョン攻略を遊ぶというものです。すぐ死ぬどころか、世界そのものが双頭のバシリスクの破滅の予言の時代を迎えた状況で、呪われた怪物たちと戦い、世界の滅びの前夜を必死に生き抜くというものです。どのくらい、ヒドイかと言えば、こんな感じ。
「キャラクターシートなんてついてない。お前の人生なんてチラシの裏」
「毎朝、ダイスを振って、世界の破滅が近づく」
「双頭のバシリスクの予言。 D66で世界が悲惨になる予言がバンバン出てきて、7回目には世界が滅ぶ。 完璧」
「キャラクター・クラス? そんなものはオプション・ルールだ」
「お前は2d6枚の銀貨とd4日分の食料と水を持っている。
鎧と武器、初期の所持品はランダム表だ!
最悪、武器は骨、鎧なしでスタート!」
「敵がダイスなんか振らないぞ、GM楽!」
「HP制だ。HP0で行動不能、もうすぐ死ぬ。HPマイナスなら即死だ」
「変な死に方なら、いくらでも用意してやる。即死した挙げ句、ゾンビになって復活はマシな方だな」
「魔法? まず、巻物を拾ってこい」
「魔法でファンブル出したら、大騒ぎだ。
魔法の災厄表には根性込めたぞ!」
ちょー楽しそう。
弱点は、レイアウトが超かっこよぎて、見せた出版デザイナーが全員悲鳴を上げること! お部屋のワンポイントに最適ですよ!

『ざつ』な解説でした!
『ざつ』に始めるシャドウランその2とか。
前回の記事「『ざつ』に始めるシャドウラン」に反応をいただいたので、調子に乗ってその2。
……ということで、「粋なゲーマー養成講座」から、難解好夫(なんかい・すきお。59歳、フリーランス、TRPG歴40年)さんと、知人の娘少々梶理(ちょっと・かじり、14歳、中学生、TRPG歴1年)ちゃんに来てもらおう。(令和版はアナログゲームマガジンにて掲載中)
難解:キャラは出来たな。
梶理:スイーツ好きなストリート・サムライ「ハニー・ビッツ」爆誕!
難解:じゃあ、模擬戦する。
そう言いながら、難解さんが取り出したのは…

梶理:ちょーカッコいい!
難解:ふふふふふふ!
梶理:でも、それ、シャドウラン、違う! ハニー・ビッツは違いの分かるジレット!
難解:け、これだから勘のいいガキは嫌いだぜ。
だがな、安心しろ。ここの公式サイトには書いてある。
MÖRK BORG はOSRジャンルの完璧なゲームであり、単独でプレイ可能な上に、あなたのオリジナルに簡単に組み込み可能。世界最大TRPGであるアレの全バージョンとも簡単に共通化可能!(公式サイトより)
難解:そして、「シャドウラン」は、サイバーパンク&ファンタジーRPGなので、サイバーパンクTRPGやファンタジーTRPGのシナリオはすべて応用可能! だいたい、サイバーなんちゃらって言えば、だいたい使える。
梶理:サイバーゾンビ?
難解:いるいる。出してほしければいつでも出すぞ?(にやり)
サイバーゾンビは、シャドウラン世界のやばい敵のひとつです。
難解:だから、MÖRK BORGのシナリオとか、ランダム・エンカウンターを横目で見ながら、出てくる単語に「サイバー」とか「ハイテク」とか「企業」とかつければ、もう、シャドウランだ!
梶理:企業?
難解:魔法使いなら、ファンタジーだが、「企業魔法使い」って言ったら、おかしくねえ?
梶理:えー、もしかして、魔法使いさんがスーツ来て、毎日、会社言って、タイムカード押して、「はあ、今日もクレーム対応で残業、疲れたよ」とか言いながら、帰ってくるんですね。超カッコいい。
梶理ちゃんの父、大変ですな。
難解:……という訳で、MÖRK BORGのシナリオ「Rot Black Sludge」のシャドウラン版「ロット・ブラック・スラッジ研究所」だ!
ハニー・ビッツはフリーランスのストリート・サムライ。ナノテク研究所「ロット・ブラック・スラッジ」に残るハイテク研究素材を盗み出すランに向かう。警報装置と通信回線はデッカーのブルー・ドルフィンが対応済。10分以内にイン&アウトだ。
梶理:タイムアタックですねーー。
難解:入り口に、門番がいるな。ここは、サイバースケルトンの門番にしよう。データ上は人型ドローンのアレス・デュエリストでいいや。
梶理:いきなり銃器は派手すぎるから、こっそり近づいて、カタナですばっと斬る! 斬る! 大事なことなので、2回言いました!
難解:じゃあ、スケルトンの〈知覚〉+【直観力】とハニー・ビッツの〈忍び歩き〉+【敏捷力】で対抗テストだ。ダイスを振ってヒット数を比べる。
まず、スケルトンは〈センサー〉が〈知覚〉の代用なので、3。【直観力】は【パイロット】で代用するので3、合計6個振って、1,2、3、4、5、6。5と6をヒットとして数えるので2ヒット。
梶理:〈忍び歩き〉5、【敏捷力】4で9個。あれ、1、2、2、3、3、4、4、5、6。2ヒット。
難解:スケルトンに勝てなかったので、このままだと気づかれる。【エッジ】を1点使えば、ヒットじゃないダイスを振り直せる。
梶理:7点もあるからいいや。7個振り直して、3、4、5、5、6、6、6。え、さっき、この目が出てほしかったああああああ。
シャドウラン、あるある。
難解:じゃあ、気づかれずにスケルトンの背後に近づけた。
梶理:ずば!
難解:防御できないよ。まあ、一応、命中したかどうかダイスを振ろう。
梶理:〈刀剣(カタナ)〉6(+2)、【敏捷力】4で12個! 4ヒット!
難解:カタナのダメージは【筋力】+3なので、DP7P。スケルトンは防御できず、0ヒット扱いなので、4ヒットがそのまま、ダメージに足され、11P。Pは物理ダメージね。
梶理:斬った!
難解:ここからスケルトンのダメージ抵抗。【装甲値】4と【強靭力】4でテストしてヒット数分だけダメージが減る。カタナはAP(装甲貫通値)-3なので【装甲値】は1扱い。5個振って2ヒット。ダメージは9Pまで減る。
梶理:やった? やった?
難解:デュエリストは、ドローンなので、コンディション・モニターは「【強靭力】÷2(切り上げ)+6」なので8。9Pなら破壊される。
梶理:ずんばらりん!
アレス・デュエリストは1機4,500新円。1新円=1ドル換算なので、ここですでに、研究所は1体50万円の警備ロボットを失ったことに。
かくして、ストリート・サムライのハニー・ビッツはハイテク研究所の中へと向かうのでありました。
梶理:で? 目的のブツって何?
難解:サイバーゾンビの血液。1リットルあたり5000新円で買ってくれる企業がある。
梶理:マジ?
難解:マジ。この本にそう書いてある。
ゾンビの血液1リットル、銀貨5枚。生け捕りなら銀貨30枚。
梶理:えっと。
その後、彼女が製造中のサイバーゾンビから血液を何リットル絞れたかはご想像に任せます。
まあ、シナリオはこんなんでいいんですよ! 『ざつ』ですいません。