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Coupe du Japon 菖蒲谷レースレポート

大会名: Coupe du Japon 菖蒲谷(アジア大会日本代表選考レース)

開催日 : 2021年4月24日

開催場所:兵庫県たつの市・菖蒲谷森林公園

カテゴリー:エリート男子

天 候:雨

コースコンディション : マッド

リザルト:2位

使用機材

バイク      ANCHOR XR9

サスペンション  SR SUNTOUR AXON

コンポーネンツ   SHIMANO XTR M9100シリーズ

シューズ    SHIMANO S-PHYRE XC9

ヘルメット        Kabuto IZANAGI スペシャル日本チャンピオンカラー

グローブ   Kabuto PRG-8

ウエア     Wave One         

サングラス OAKLEY

サプリメント  SAVAS(株式会社明治)

ヘッドバンド   HALO 

写真は kasukabevisionfilmsさんより

2022年Coupe du Japon初戦が、国内屈指のテクニカルコースである兵庫県・菖蒲谷森林公園で開催された。

今シーズンはロードレースを中心にスケジュールを組んでおり、この菖蒲谷はJBCF群馬と日程が被っているために本来は出場する予定はなかった。しかし大会1ヶ月前にこのレースがアジア大会の日本代表選考レースとなることが発表された。アジアのオリンピックと呼ばれる4年に一度のアジア大会には過去2大会に出場していて思い入れは強く、自力で代表の座を勝ち取れるのであれば是非挑戦したい。

その想いをチームも理解してくれ、急遽この菖蒲谷への出場を決めた。JBCF群馬と被っている為にスタッフが帯同できないことを気にかけて早くからバイクの整備をしてくれた早川メカニック、機材や遠征の手配をしてくれた宮崎監督を始めとするチームの方々に感謝しています。

またWAVEONE様からはデュアルスーツ仕様のチャンピオンジャージ、OGK KABUTO様からはチャンピオンカラーにカスタムしたヘルメット・IZANAGIを準備して頂き、これらのアイテムを身に付けることは本当に嬉しくモチベーションが上がりました。ありがとうございます。

そして自分自身もこの競技のチャンピオンとして可能な限りの準備はやり切ってレースに臨むと決め、ロードレースの合間を縫ってMTBの為の練習に取り組んだ。この冬は長時間の乗り込みを増やしたことで体力のベースは上がっているが、スタートダッシュからレース序盤にかけての爆発力は昨年までの自分と比べて劣っている自覚があった。春先から海外でレースをこなしてきているライバル選手と比べても、MTBの為のベストなコンディションとは言えないだろう。

しかしそれはこれまでの経験で補えばいいだけのことであるし、その自信はあった。大会当日は朝から雨が止まずに非常にスリッピーなマッドコンディションとなったが、得意な泥レースの経験とロードレースで培ったフィジカルを武器にして、周りの選手に惑わされずにベストを尽くす決意でレースに挑んだ。

最前列に並び、定刻通りにスタートループ+6周回のレースが始まった。クリートキャッチに手間取り若干出遅れるが、4番手ほどで砂利の長いストレートを登っていく。集団での密集度には慣れているので落ち着いてスペースを探しながらポジションをあげ、登り終わりで先頭に立った。ミスが出易いマッドコンディションでは先頭にいた方が有利にレースを展開できるので、スタートループでレースを決める覚悟で動こうと思っていた。

長い登りも先頭でこなし、身体の動きも悪くない。しかし下りに入ると予想以上に路面の状態が悪く、前日と同じラインを通すことが出来ずに転倒してしまった。復帰に手間取ったが、幸いバイクにも身体にもトラブルはない。MTBではシクロクロスと違って基本的にレース直前の試走時間がないため、前日までとコースコンディションが変わっているとラインの読みが非常に難しい。自分を抜いて先頭に立った選手もミスをしていたため離されることはなく、竹内選手、北林選手、平林選手との4人の先頭集団でスタートループを終えた。予想通りのメンバーだ。

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ホームストレートの登り口から竹内選手がペースを上げてくるが、この時点で他の3人に比べて自分の脚に余裕がないことに気付いた。下りに入る前にポジションを上げるようにして誤魔化しながら走っていたが、コース中盤の最もキツイ登りで先頭の3人から遅れてしまった。どんどんとタイム差が開いてしまうが、前で転倒して止まっていた北林選手を抜いて3番手に浮上。やはりこのマッドコンディションでは何があるか分からない。しかし脚に力は戻って来ずに前の2人と早くも1分ほどの差が開いてしまった。

2周目もペースが上がらずに後方から追い上げてきた宮津選手にも抜かれてしまった。かなり厳しい展開だが、再び競り合う選手ができたことは気持ちの面で良かった。このまま良いところなくダラダラとレースを終えるわけにはいかないと自分を鼓舞し、意地を出して抜き返す。

3周目は再び単独3番手の走行が続くが、先頭とのタイム差は3分ほどまで広がってしまった。2番手の平林選手の姿すらも見えず、前の選手にトラブルがない限り勝つことは難しい状況だ。しかし自分自身に負けるわけにはいかない。レースに挑む以上はどんな結果であろうと必ず全力を尽くすと決めている。どうせ負けるなら全てを出し切って自分への課題を明確にしてレースを終えたい。

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4周目。周回を重ねるごとに荒れていく泥の路面にも慣れ始め、序盤に限界を超えたと思っていた脚に再び力が戻ってきた。2番手の平林選手とのタイム差が縮まってきていることが分かり、集中力が増して全力で追いかけた。

5周目は前半よりも1分近く速いラップタイムを出して平林選手に追いつき、すぐに追い抜いて単独2番手となった。先頭に追いつくには既にタイム差が開きすぎていたが、もうそんなことは関係なくただ目の前の路面に集中していた。ファイナルラップも踏める感覚は続いており、中盤は3分以上開いていた竹内選手とのタイム差をゴールでは2分弱まで縮めることができた。もちろん独走状態の竹内選手が最後は安牌で走ったこともあると思うが、良くも悪くもこれまでの自分にはできなかったMTBレースの展開であったことは間違いない。2位はこの日の自分にできる最良の結果だったと思う。

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残念ながら代表の座を勝ち取ることはできなかったが、原点であるMTBを走ってこそ今の自分の状態を正確に把握することができる。実りの多いレースとなった。

今回レースでの一番大きな敗因は、やはりレース序盤の掛かりの悪さだ。スタートダッシュは問題ないが、MTB特有の高トルクの出力と短くテクニカルな下りでの回復力が昨年までと比べて落ちており、レース序盤で余裕が無くなり決定的なタイム差が開いてしまった。ロードではもがいた後に必ず休める場面があるが、オフロードのMTBでは常に心拍が下がらず路面からの振動による独特の負担が身体にかかり続ける。これに対応できていなかった。改善するためにはオフロードでの周回練習しかない。昨年までは毎週取り組んでいた練習には大きな意味があったことを確認できた。

また泥の路面に対する認識も甘く、もう少しノブが高くグリップを得やすいタイヤを選択するべきだった。レース前に試走ができないのであれば歩いてコースを見にいくこともできたわけで、対策を怠った自分のミスだ。最初の下りに先頭で入るという大きなアドバンテージを落車によって無駄にしてしまい非常に勿体無かった。

しかしながら後半3周の走りは次戦のMTBレースに向けて期待ができるものであった。実際にタイムを比較すると前半3周よりも後半3周の方が1分半も速かった。これまでのMTBレースでは負ける時というのは先頭の選手とのタイム差が開き続けて終わることしかなかったが、今回それを脱却できたことは大きな進歩である。レース序盤の走りを改善して、次こそは勝ちへと繋げたい。

そして優勝した竹内選手は本当に強かった。たとえ去年の自分であっても勝つのは難しかったと思う。長野に住んでいたときの練習仲間であり、彼の悔しさをバネにして真面目に努力する姿や、MTBに懸ける想いを知っているからこそ心から祝福できる。本当におめでとう。次の対戦は7月の全日本MTBになると思うが、その時までに僕自身が成長できれば昨年の全日本以上の戦いができるはずだ。いつも大きな刺激をくれるライバルの存在に感謝して、自分を高めていきたい。

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最後となりましたが、チームとスポンサー各位のサポート、素晴らしいコースを準備して頂いた大会主催者の方々、そして沢山の応援に感謝しています。目標は達成できませんでしたが、お陰で力を出し切ることができました。何より久しぶりのMTBとマッドレースは本当に楽しかったです。ありがとうございました。

次戦は5月5日に滋賀県朽木で開催されるCoupe du Japon第2戦に出場します。地元での今季初勝利を上げて、その後のTOJやツールド熊野といったロードでのビックレースに繋げていけるように頑張ります。

今後とも応援のほど宜しくお願い致します。

TEAM BRIDGESTONE Cycling

沢田 時

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