アニメの感想#12「王様ランキング18話」

「実は過去にこんなことがあった」

 王様ランキングはファーストコンタクトの印象が激変するまでの過程が面白い。気味が悪かったり得体が知れなかったり理不尽だったりするようなキャラも、「実は……」という事情がそれぞれあったりする。

 今回は散々人的被害を出しまくっている現状黒幕のミランジョにスポットが少し当たりました。果たして彼女への印象は変わるのだろうか?

慈悲と母性のヒリング

 ヒリング王妃の守護者で大事な人のドルーシが片目を潰す原因になったミランジョ。そのミランジョに付き従い、結果的に王家(ヒリング陣営)を裏切ることになっているアピスさんは、手傷を負い毒に侵され、重篤だ。

 ヒールをするための魔力が枯渇寸前、あと1回で味方の回復手段が断たれるという場面でヒリング王妃は迷う素振りを見せずにアピスの治療を施す。更にはミランジョの元へと駆けようとする彼を止めるのではなく、

「がんばりなさい!」

 と発破をかけた。この場面はもう「ああ、やっぱり王妃様はこういうところが慕われるんだろうな」と感じます。命を懸けて守るかいがある人を得られたドルーシは幸せ者だろう。その後は部下への叱責の後に、自分が助かりたいよりも先に「どうすればより良い方に向かうか」と保身を捨てて計算する冷静さは本当に頼りがいがある。ヒステリックボインババァと言っていた1話が物凄く懐かしい。こんな上司がいるならその会社はものすごくいいところだろう。

ボッス王の過去

 武者修行で有望な魔法使いを撲殺したら、瀕死の自分に魔法使いの妻が介抱してくれたので、彼女の娘のミランジョのお守りや国を守るために戦うなどしていた。

 なぜ殺したし??

 魔法は神の軍勢しか使えないものだったけど、人間も使えるようにして広めたホーマ国は大きな国だった。仲間を広げるためにクソみたいな国民性の国に支援をしていたら、現地人に裏切られて全滅の憂き目にあった。ミランジョの母が殺され、この時にミランジョも恐らく顔を焼かれたのかもしれない。

 なぜ信用したし??

 今回語られたのは「ボッス王とミランジョの悲惨な過去」らしいのだけど、その遠因にボッス王がいるのは草なんだよな……。ボッス王は1話から個人的評価が一切上がらない最低オブ最低な輩。我が子の力を勝手に前借してしまうし、別の女との子供を自分が生きるための供物に捧げたりと「父親として人として反吐が出るような行為」ばかりしている。

 今回明かされた過去にしたって、ミランジョの母が殺されたのは彼女の持つ生来の「お人よし」が仇になった事。恐らく夫さえ生きていたらもう少し警戒も出来たのだろうが、肝心な時に彼女を守れる夫を自身で殺しておきながら、自分はその場にいなかった。

 つらい過去かもしれんけど、この過去を踏まえたうえで息子を食い物にしているし、ボッジの母親を見殺しにしたであろうことなど救いようがない。そりゃあ死後に死体をかき氷にされるわ。

与えることをし過ぎた

 貧困の国を救うのは何か? 人は衣食住足りて礼節を知るのですが、これらが欠けると心が荒んでいく。その時他の国がしてあげられる支援は、1から10まで助けてあげることよりも、3までは教えて後は自分の足で立つのを見守っていくことだと私は思うんです。滅びたホーマ国の失態は数多い。

 文明レベルは短期間で作り上げることが出来ても、国民性や人の心を育むには長い年月を要します。

 滅んだ理由の1つはそれを理解せず「施したら施し返してくれる」と信じ切って後ろを任せたこと。

 2つ目は「人をだます国民性」を理解していながら何の注意もしなかったミランジョの母や周囲の者たち。彼女が上申していたらもう少し状況は変わっていた可能性が高い。

 3つ目は「敵前逃亡をするような薄情者でも仲間にせざるを得ない」という逼迫具合。ジリ貧も良いところである。

不死身との戦

 不死身の男「オウケン」相手には、回避一辺倒に加えて剣戟もこなさねばならない。流石にボッジの疲労も色濃く出てくる。しかもこいつは狂戦士に見えてその実冷静な判断能力も持っているから厄介だ。

「ボッジは誰かのピンチに無理にでも駆けつけるお人よし」であることを見抜かれてしまったがために、親友のカゲにターゲットを変更したように見せかけて誘い出す等の狡猾さ。

 デスパーが言っていたボッジとオウケンの相性の悪さは、単に「無限に避け続けねばならない耐久戦」のことだけではなく、この性格の相性も指していたのだと理解した。

 最後はカゲがなりふり構わず自分も知らないであろう何か大きな化物へと変貌して2人共々飲み込んでエンド。無限と思うほどに物を収納できるカゲだから、実際の大きさがこれくらいでも何の不思議もない……けどいきなりでかくなるのは流石にびっくりするからやめて!?

今回の教訓

【「お人よし」だけでは救えない】ことを存分に教えてくれる18話でした。この世界に世話焼きのお人よしが沢山いてもいいが、人はまだ完全に綺麗な生き物ではないから、それだけでは騙されて利用されてしまうのがオチである。

評価は変わった?

 可哀そうな子ではあるけど「人からやられたことをし返して取り立てる」ようなことをやっているのは変わらないので、ミランジョへの評価は変わらないですね……。やってきたことは外道の行いばかりですし。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。