ぷちさんじという弱点補強コンテンツ
こんにちは。個人Vtuberも企業Vtuberも見ている音霧カナタです。今回は題名の通り、ぷちさんじについて個人見解のお話していきます。
ぷちさんじとは。企業Vtuber大手の【にじさんじ】が有するコンテンツであり、所属ライバーの配信で面白かった一部分を、手描きで切り抜く紙芝居形式の動画です。1~3分程度の動画ばかりで、一気見しても1時間程度と言う手軽さで様々な配信を面白く知ることが出来ます。
にじさんじが抱えていた弱点
今日も。明日も。どこかでライバーが配信を行っています。そんなにじさんじは少し前まで、ズーっと弱点を露わにしていたのを、皆様ご存知でしょうか?
新規ファン獲得手段の乏しさという、致命的な弱点。これは配信メインにありがちであり、個人企業問わないものです。配信は手軽かつ高スパンで繰り出せるため、ファンを深みにハマらせるには高火力。しかしやりすぎると後追いが難しくなり、新規が入り込む敷居が高くなり続けます。
これまでその弱点は、「新規ライバーの逐次投入」で補ってきました。しかしそれでは視聴者の時間的リソースも枯渇し、箱内での食い合いが起こりかねない事態を招きます。
今すぐにアベンジャーズエンドゲームを見ろ?
例えばアナタがMCUに興味があるとして。おススメしてくれる人に、アベンジャーズを時系列順に一気見してエンドゲームの感動を味わえと言われたらどうしますか? MCUは名作ですが、最初から時系列順に見るとなればかなりの時間がかかります。映画ですので2時間は当たり前に拘束されるので、見始めるには結構な覚悟が必要になるでしょう。もっとも、不眠不休の場合48時間あればどうにか巻き返せるから有情です。それに見てしまえば確実に面白いので、時間はそこまで気になりません。
しかしライバーの配信となるとそうはいきません。1時間で終わるならまだしも、耐久配信になれば数時間となり、それを何度も重ねると気付けば数百時間を要することになります。時事ネタもあるし、その時だから面白いってネタもあるしで、過去アーカイブを見るのは自分だけ時間に取り残されてしまったタイムトラベラーな気分を味わえます。かといってエンドゲームのような「全てはこれを見るためにあったのだ」という感動が必ず待っているわけでもないので、「知るために見たい」のであればあまりにも長尺。
無論。超推しの配信なら全部見たいというのが私みたいなオタク。全部把握して古参名乗ったりしたいのもオタク。だからMCUも2週間ほどかけて全部見てからエンドゲーム見たりしました。……もしもMCUが「外伝」「コミックス」全部見なければならないとかだったら、気力が失せていたでしょうけど。
ライバーは必ずしも1人で配信するわけじゃあない。時には他所の配信にお邪魔することだってある。そこで仲睦まじくなることもある。素敵な事だ。その軌跡を追いたくなったら時間など灰のように風に乗って去っていくでしょう。(悪くないけど)
切り抜きは便利だけども……
そんな中、手を出しにくい配信を切り抜き動画にし、端的な魅力を伝えてくれる人も沢山いる。これで新規獲得も解決……と思ったら甘い。切り抜き動画の存在は、「諸刃の剣」です。
Vtuber黎明期には、「Vtuber欲張りセット」という30分程度の長尺動画が良く投稿されていました。数多くのVtuberが切り抜きで紹介されて、それぞれの認知度と動画再生数に貢献しました。
しかし切り抜き方は問題なかったものの、コメントや偏見で凸して迷惑をかけるという事態も多く、早々に亡くなったコンテンツ。正直もっと上手いこと競合できればと思ったものの、現実は非情です。
最近では切り抜きの中に良い悪いが存在し、ストローマン手法で風評被害を振りまくような輩もいます。にじさんじとしても、切り抜きは実際認知度拡散させてくれるありがたい反面、切り抜きで被る害も見過ごせないようになっています。
弱点の補強として切り抜きは良いけど、恣意的なものを含むと一気に悪材料に変わってしまいます。これが厄介なのです。
彗星の如く現れた「うちさ」さんという存在
うちささんという、切り抜き動画をアップする人がいた。初出しは2019年4月21日。最初の動画は、今は引退した「皆守ひいろ」さんの紙芝居形式動画。言わば手描き動画である。単なる動画の切り抜きではなく、愛らしく親しみやすい、万人向けの絵柄で面白かった部分を再現する手法。恐らく前々からあったであろう手描き分野でしたが、当時はまだそこまで流行っていませんでした。(ニコニコ動画で【手描きにじさんじ】と入力すると、生放送切り抜き手描きはほぼ存在しない)
というのも、【絵を描く技術】+【動画編集技術】という合わせ技がないと成立しない分野だからです。単なる切り抜きなら勉強すれば出来ますが、絵描きはセンス磨きや画力上達に時間がかかるし個人差がある。また新たな動画に絵を描き起こすのにも複数枚かけ、更に時間がかかる。
事実utisaさんは個人で活動していた時、投稿頻度は今ほど多くなく、約半年で8本。完全にファンメイドであり、愛のある仕上がりにはファンも高評価を出し惜しまなかった。
だからこそ。うちささんという存在を公式に引っ張ってきたにじさんじは有能であると、称賛せざるを得ない。utisaさん時代、個人チャンネルでアップしていたドーラ様がサムネの動画は80万回再生を突破しており、単なる切り抜き動画では絶対に辿り着けない数字を誇っていた。理不尽が服着て歩いている人の動画も80万回超えているし、その他も10万回以上が当たり前のヒット率である。
足踏みする新規層にアピールできる
ぷちさんじ初投稿が11月1日。翌年2月26日現在までに、23本の動画が発表されています。約5カ月で23本。個人でチャンネルを持っていた時に比べて倍以上のペースで仕上げています。公式から正式に雇われている恩恵があるのだと伺えます。
うちささんが来るまで、切り抜きは全てグレーゾーンでした。黙認状態と言って差し支えありません。公式専属手描き切り抜き師という唯一無二の存在になったうちささんは、全ての動画で10万回再生以上を叩き出します。
手描き切り抜き動画は全て1~3分程度で終了し、多くのライバーを網羅して、全部見ても1時間程度で済む。要するに、にじさんじ新規獲得に貢献しているのです。
「にじさんじ面白いって聞くけどどれ見たらいいか分からない」って新規さんがいたとして。アナタは誰の、何の動画及び配信をお勧めするか。その選択肢に「公式のぷちさんじを見ろ」が入る。取り敢えず数多くのライバーを比較的短時間で提示し、気になった人がいたら改めてそのライバーのファンへとりつぎ、沼に誘おうというのだ!
にじさんじ公式チャンネルの意義
「みっくすあっぷ」「マリカ大会」「だいたいラジオ」など、にじさんじ公式チャンネルでは様々なコンテンツがあるものの、殆ど長い尺の配信が占めていました。
【にじくじ】という番組の短時間切り抜き動画をアップしてましたが、あまり伸びていません。公式としても、初心者の入りやすい短動画の重要性は理解していたのが伺えます。その後歌動画も出し始め、再生数を急激に伸ばしていましたが、切り抜き動画はやがて消えていきました。
以後も大型コラボや特別番組のアーカイブなどに充てるのが公式チャンネルの在り方なのかと思っていたのですが、【ぷちさんじ】ぶち込みによる切り抜き動画の弱点補完と、公式チャンネルのコンテンツの一角を埋める一挙両得の神の一手。そうです。切り抜き動画は自前で作るのではなく、熱心なファンにお金を出して自由に作ってもらおうというのが個人的最善手なんです。お金があれば活動するために集中できるし、熱意をそのままにすれば数多く用意してくれるはずですので。
公式は更なるぷちさんじ拡充を狙っています
すでに募集は完了しましたが、公式は以下の発表をしています。
”【2/2(日)まで「ぷちさんじクリエイター」募集中!!】
にじさんじ公式チャンネルにて投稿中の「ぷちさんじ」シリーズの製作者を募集中です!
※現担当クリエイターの変更ではなく、増員となります。
現担当クリエイターのうちささんとスタッフにて打ち合わせをした際に、「もっとこういう動画を増やしていきたい!これを仕事にできるクリエイターさん増えてほしい」という話になり、今回の募集に至りました。
皆さんのお力をお貸しください!どうぞよろしくお願い致します。”
(上記はぷちさんじ動画内の公式コメントより抜粋)
数字的に見ても大好評のぷちさんじ。うちささんたっての希望により、増員が決定いたしました。また気になるのは「もっとこういう動画を増やしたい」という部分。これはうちささんが自ら手掛ける動画を、より動画的演出に昇華したいものだと私は解釈いたしました。ですので、次の公式募集にも納得が出来るのです。
”【にじさんじ 動画編集者募集!】
にじさんじの動画編集者を募集いたします!必ず要項や仕事内容などを確認していただいた上で、ぜひご応募ください!!
■ 応募概略
・期間:本日〜2/23(日) 23:59
・ポートフォリオが必要となります”
(上記はぷちさんじ動画内の公式コメントより抜粋)
ポートフォリオが何なのかイマイチわかりませんでしたが、調べたらわかりやすい漫画があったのでリンクを貼っておきます。
クリエイティブな熱気を持つファンが結集して何が起こるのか。兎に角、うちささんはまだまだやる気があり、現状に甘んじることなく飛躍する上昇思考の持ち主だというのもうかがえます。
ぷちさんじが更に強化されるのは確定なので、何も悪くないですね。
動画拡充によるメリットの追加
少し下世話な話になりますが。YouTubeの新収益に「拍手」が追加されるのではという情報があります。動画の拡充は現状、公式のコンテンツ拡充と、新規ファン獲得、クリエイターの実績&利益と、既に大きなメリットを生んでいます。しかしプレミアム動画という形式では一度も投稿せず、単なる動画投稿で納めていました。拍手があると金銭を生み出す事もできるという更なるメリットも追加されるので、公式はそこも見据えている可能性はあります。
※お金稼ぎは一切悪いことじゃあないです
まとめ
ぷちさんじを増やしてくれることで新規も既存ファンも喜ぶ。運営も切り抜き問題に答えを投じることが出来る。公式チャンネルの質のいいコンテンツが増えていく。現状誰も困ることはない良好な状態です。winwinでございます。
今後増えるぷちさんじクリエイターにも期待ですが、うちささんの更なる活躍にも期待です。