【評論】記憶に残ると耳に残る楽曲。

各期にアニメが５０本近くが放送される。そこには必ずオープニング、エンディングテーマが存在する。単純計算で各期に１００曲、年間で考えると４００曲以上の楽曲が作られていることになる。挿入歌、キャラクターソング、数話限定のオープニング、エンディングがあったりするともっと増える。そのすべてのアニソンを聴き、覚えることは可能なのか？結論からすると否である。無理。アニソンを覚えることだけに時間を割けば可能かもしれないが、仕事もあるし、このことだけをやるわけにはいかないから、やはり無理だろう。

アニソンを紹介するサークルを運営している身からするとこれは由々しき問題で作っているのに覚えてないというのは矛盾というか、本当に知っているのですか？と言われてしまうと、なかなかに肯定しづらい・・・。少しでも覚えられるように「Newmonic」というアプリを使って最近頑張ってます！（ちゃっかりQuizKnockが制作したアプリの宣伝です）

で、ひとつ言い訳というか、覚えられなくなった原因を考察する。むしろこちらが本題。

度々言ってきたが、最近のアニソンは特徴がなさすぎて覚えにくい。各期で数曲、記憶に残るのがあればいい方であろう。常々言っているのが、このアニメのために作られた楽曲なのか？マッチ度合いであったり、作られていたとしても曲調があまりにも作品の雰囲気と合わずに曲は覚えていてもアニメと紐付かないなどが多々ある。

これはアニソンだけに限らず、ＪPOPや他のジャンルにも言えると思っている。紅白歌合戦、レコード大賞を見ても、CDTVを見てもまったく覚えがない。歌番組の少なさも楽曲を聴く機会を減らしているひとつの要因であろう。

また各世代での想い出補正もあるだろう。この楽曲を聴いて育ったなど各々あるだろうが、平成後半、令和世代では、年単位でそれぞれの想い出の楽曲が違っているような気がしてならない。ただ、それを踏まえてもあまりにも少ないと感じる。そう想い出、記憶に残るぐらいの楽曲が少ないのもひとつの原因かもしれない。

昨今の楽曲は、耳に残る曲調であったり、フレーズがあるが、では楽曲全体を覚えているか？と言われると否と答える人が多いのではと思っている。耳に残るが記憶には残らない。一発屋の芸人、流行りであって、人々の記憶に定着はしない。

２０２４年の紅白やレコード大賞でいうなら『Bling-Bang-Bang-Born』『はいよろこんで』、アニメでいうなら『しかのこのこのここしたんたん』のオープニングテーマ『シカ色デイズ』、確かに一世を風靡した。しかし、年が明け２０２５年となり、時が過ぎて年末になる頃にこれらの楽曲たちは皆の記憶には残っているだろうか？答えは否だと思う。一世を風靡した曲たちが辿った同じ道を歩み風化していくだろう。

そんなことはないという意見もあるだろう。では問おう。２０２３年のレコード大賞受賞曲は？ノミネートされた曲には何があった？クイズやアーティストのファンでなければおそらく答えられないだろう。かくいうウチも答えられない。調べてわかった。Mrs.GREENAPPLEの『ケセラケラ』だそうだ・・・知らない。一般の曲に全くもって疎いウチはさておき、流行り曲を聴いているあなた、この曲を少しでも歌えますか？アーティストのファンならわかるだろうが、まず歌えないし、覚えてない、聴けばわかる程度の認識でしかない。イントロドンをやってもはたしてどれぐらいの人数が答えられるだろうか？これもわずかだろう。

昔はCDという媒体でしか楽曲を手に入れる方法がなかった。それがデジタル化が進み、円盤化することなく曲単体を買ったり、サブスクを使用して月額購入して聴き放題と、特定の楽曲を聴くのではなく、それぞれが好きな曲を聴けるようになり、全員が必ず知っている共通の楽曲というのが減ってきた。TikTokであったりSNSで流行った曲がその時だけトレンドとなるが、また新たなトレンドが出てきてすぐさま変わってしまう。定着はする間もなく次の流行りが来てしまうのだ。

これが大きな要因であることは間違いと思うが、それでもその中には少なからずホンモノがあると思っている。耳に残るだけでなく、記憶にも残るホンモノの楽曲が必ず。昔ほどの共通認識で知っているとまで行かなくても今の時代の伝わり方で、１０年、２０年と聴き続けられていくような楽曲が出てくることを待ちます。今のところ、ここ直近数年来はないがね。いつになるのやら・・・。