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【評論】アニメリメイクと続編、継続は力ならず?

 ここ最近のアニメ事情を見ているとリバイバルブームなのかと思ってしまう。この記事を書いている2024年8月現在で発表されている作品でいえば『らんま1/2』『地獄先生ぬーべー』『魔法騎士レイアース』『ベルサイユのばら』『YAIBA』『グレンダイザーU』等々ある。すでに放送されているものもある。

 世間では平成ブーム、Y2Kという言葉もあるぐらいだ。しかし、これはアニメ業界としてはいかがなものかと思っている。想い出の作品がまた見れるという嬉しさはわからないでもないが、現代にリメイクされ成功するか、望んだものになるかはわからない。ウチが見てきたもので言えば想い出補正があったとしても、最初に放送されたものを越えるものはほとんどなかった。『中華一番』『魔法陣グルグル』『うる星やつら』等々。またリメイクだけでなく、続編に次ぐ続編と何年も続かせている作品も良かったのかというと、これは作品によるが、失敗した例の方が多いように感じる。

 そんなわけで、特に思い入れが強い作品が続編を続けた結果の現場とリバイバルブームと現在のアニメ業界事情について語ってみたいと思う。

魔法少女リリカルなのはシリーズ

 2004年に第1期が放送され、2005年に第2期、2007年に第3期、間に劇場版を2本を挟み、2015年に第4期、2016年に第4期の派生作品、2017年に新作劇場版を2本。また先日に2024年10月より「魔法少女リリカルなのは」20周年プロジェクトが発表された。最初の放送から20年が経過している。

 ちなみにいうとこのシリーズには前段があって2000年に発売された18禁美少女ゲーム『とらいあんぐるハート3 〜Sweet Songs Forever〜』のスピンオフ作品『とらいあんぐるハート3 リリカルおもちゃ箱』からの派生作品である。はたしてこのことを知っている人がどれぐらいいるだろうか?マウントを取るようで申し訳ないがウチはこの作品からのファンだ。だからこそ第1期が発表された時に驚いたのを覚えているし、内容をみてオリジナル部分がありながらも、とらハ・リリカルおもちゃ箱を踏襲していると嬉しく思ったものだ。結果、人気シリーズとなり20周年を迎えて2020年の『リリカル⭐︎ライブ』から約4年経ってようやくプロジェクトが始動する。

 この発表に嬉しく思ったファンが多いのも知っているが、正直なところウチは嬉しくは思っていない。第3期あたりで終わっていいとさえ思い、第2期でやめていれば綺麗に終わったのにと。そう思う理由としては第3期が駄作だったこと。アニメ制作会社の限界もあっただろうが、あの会社に2クールを安定して作る実力がないこと、結果的にとんでもない作画崩壊を起こして、円盤でかなりの修正が入った。また原作者である都築さんのシナリオ構成力不足。とらハから担当しているが、これまでシナリオ・脚本を書いたのがわすがしかない中で、大ヒットしてしまい、作品の人気と力量が反比例してしまった結果だと思っている。人気だったから続編をと安易に行うとつまらなくなる典型的な例だ。事実、第3期の続編にあたる『魔法戦記リリカルなのはForce』は連載打ち切りとなった。『魔法少女リリカルなのはVivit』は完結したがあれも無駄に長くなってグダグダで終わった感がある。

 『魔法少女リリカルなのはReflection✖️Detonation』もそうだ。本当は第2期と第3期の空白の話を描く予定であったが、確かに空白の間であったがこれではない。内容は『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』のシナリオと『魔法戦記リリカルなのはForce』の設定を混ぜこぜにしたパラレル的な話。時間軸がぐちゃぐちゃになってもはや何がしたかったのかがよくわからない作品となっていたのがウチの感想だ。

 今回発表された20周年プロジェクトも劇場版2作品を再編集してテレビ放映するとのことで、またリメイク・・・。擦りすぎてもうこちらはお腹いっぱいです。それにファンが望むものが何ががわかってない。再編集とはいえ同じのをやるぐらいならやらなくていいです!

ラブライブ!シリーズ

 2010年から連載を開始した『電撃G's magazine』で行われて来た読者参加企画。『ラブライブ!』 『ラブライブ!サンシャイン!!』『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』 『ラブライブ!スーパースター!!』
『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』 『Link!Like!ラブライブ!』 『スクールアイドルミュージカル』 と雑誌企画から、アニメ、ライブ、ゲーム、舞台と幅広くメディアミックス展開されており、現在も続く人気コンテンツとなっています。

 ウチは無印、『Snow halation』を聴き衝撃を受けてファンになりそこからファイナルライブまでずっと追いかけつづてけいました。その後発表された『ラブライブ!サンシャイン!!』は、初めは追いかけてましたが、途中から熱量が下がってしまい追いかけるのをやめました。その後のシリーズもアニメは見たものの、ユニットを追いかけるまでにはなっていません。

 何故そうなってしまったのか?自分なりに考察するとこの『ラブライブ!』というコンテンツの主題が「スクールアイドル」だからです。廃校を阻止すべく、アイドル活動を行い知名度を上げると言うのが目的であり、目的の達成、メンバーの卒業があった時点でそのユニットは終わりを迎えます。高校野球、サッカー等々の部活動が3年間に集約されているように、アイドル活動も同じくその3年間なり、メンバーが卒業した時点でおしまいにする、「スクールアイドル」という形にこそ『ラブライブ!』の「School idol project」意義だと思っています。

 それが『ラブライブ!サンシャイン!!』以降はどうでしょう?アニメ終了後いわゆる卒業であったり、アニメ終了、ゲームの終了を経てもまだ活動を続けています。これではただの声優アイドルユニットとなんら変わりはありません。『ラブライブ!』という看板は必要なのか?と。雑誌であったり、アニメと連動して、一緒に作っていること、これこそ『ラブライブ!』の魅力的なところである。

 追いかけるのを辞めるきっかけになった出来事があった。μ'sの時は、アニメやライブで表に出る時もそこには役者としているのかもしれないが、ファンからすると、キャラクターとして一緒に立っている。9人しかいないがそこには18人がいるように思えたのだ。しかし、Aqoursは違って見えた。単独には行ったことないからどこかのフェスの時で自己紹介をする時があって、その時「役者の愛称こと役名、役者名」と名乗ってて、あれ?っと、キャラクターあってのはずが、役名が前面に出ている。そこからそこにはキャラクターの代役をする9人にしか見えなくて、追い続けるのをやめた。

 他のアイドルユニットコンテンツと違う、事務所に所属しているわけではなく、あくまでも部活動なのだ。でなければ「スクールアイドルユニット」という肩書きの意味がなくなる。だからそこどこかで終わりがあって然るべきなのだ。

リバイバルブームについて

 ライトノベル原作、美少女ゲーム原作(ブームあったかな?)、異世界転生、とアニメにはブームというものが必ずある。最近はなろう系でしょうか?だかもうそれも打ち止めが近い、いやもう尽きているのかも。原作があってアニメ化するも、原作である漫画が徐々に下火になり、ラノベに頼るも活字離れで下火、携帯でも読める・書ける投稿小説系が人気になるもマンネリ化が起きて下火、必ずブームがあったとしても終息する。では今度どこに活路を見つけたか?それがリバイバル、過去の人気作品を現代版として甦らせことだ。

 最初に挙げたように過去の人気作品がリメイクされている。ここ数年は多いがこのブームのきっかけはなんだったのだろう?『おそ松さん』だろうか?あれは成功例といってもいいかもしれないが、他のリメイク作品はどうだろうか?成功例はよくて半々ぐらいではないだろうか?これはウチの感覚なのでなんとも言えない。個人的に失敗だと思っているのが『魔法陣グルグル』『中華一番』。子供頃見ていただけにあれ?と感じてしまった。どうしても想い出補正というものがかかってしまい前のがよかったと思ってしまう所はある。まだ声優陣も変更になることもあるのでそこでも印象は変わってしまう。

 何故リバイバルブームになっているのか?これはどのジャンルにも言えることだが、新しいものを作り出すエネルギーがもうないこと、娯楽の多様性の2つだと思っている。
 オリジナル作品というのを見ることがかなり減った。無から作り出すことがどれだけ大変なことは重々承知している。必ず先駆者がいて、あれと同じだ、あれと似ていると何かしらと被ってしまい、完全オリジナル作品というのを作るのはほぼ無理である。
 次に多様性。見るものがテレビしかない時代ではない、スマホ一つでもいろんなものを見れて、調べられる時代。本数もたくさんあり好きなものを見れてしまう。それぞれが好きなものを見て、共通して見ているものが減ってきている。以前にも記事に書いたが覇権アニメというのを聞かなくなった。その要因が多様性にあると考える。

 どうすれば見てくれるか?行き着くのが過去の栄光に縋ること。過去の人気作を現代に蘇えさせれば、過去の視聴者も見て、あれだけ売れた作品なら今の視聴者も取り込めるはず。まして今のアニメヘビーユーザーはリバイバル対象作品をリアルタイムで見ていた世代、そのお客さんをメインとして取り込む、それが現在のリバイバルブームの流れではないかと思う。

 ここで全体のまとめに入るが、同じコンテンツで続けること、続編を続けること、過去作品をリメイクすること、どれもに共通して求められることが一つある。それが過去を超えること。一作目は面白かった、が安易に続編を作って二作目も面白くなるか?三作目は?四作目は?続ければ続けるほどハードルは高く難しくなる。結果右肩下がりになった作品を多々見てきた。どこかで止めておけばよかったと後悔しても遅い、世に出してしまった以上は相応の評価を受ける。利益を求めたがためにファンからの批判を受ける、続けるか否かその判断が難しいところである。

 続けることは悪いことではないが、どこかで終わりを見つけること、引き際を見誤らないこと、それが良作として名を残すポイントだと思う。ただ想い出を書き壊してほしくないただの願望かもしれないが、いちアニメファンとしてそう思っている人がいる、マイノリティかもしれないがひとつの意見として受け取ってもらえたら幸いです。

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