ときなな文通 #4

とっきーへ

 先日のときなな☆チャンネルの収録。お疲れ様でございました。

 私、七崎がまさかの大遅刻。その上、スタジオに入ってからメイクを始める有様で(ありえないよね)。いやー、申し訳ありませんでした。そしていつも明るく楽しい現場を作ってくれてありがとう。いつも感謝をしています。

 とっきーは普段から「ポジティブ」や「ネガティブ」といった言葉を使うことが多い気がしていました。とっきーの今回のお手紙を拝読し、とっきーの背景にふれ、その理由が少しわかったような気がします(この往復書簡、始めてよかったわ。やっぱり、文章で伝わるものって大きいです)。

 とっきーご自身が、ネガティブな感情に飲み込まれないように、日頃からポジティブ思考を心掛けていたんですね。

 『だからこそ、自分自身の感情や、気持ちの整理をして、ポジティブな感情になれるように、意識を向けています。(とっきーの返信より抜粋)』
この文章を読んで素晴らしいと思ったのは、とっきーの言う「引き寄せの法則」にのっとっていると思ったからです。

 「ネガティブ思考にならないように心がける」というのと「ポジティブ思考を心がける」という言葉は同じ内容の文章にみえて、実際は真逆のものを引き寄せる。というのが引き寄せの法則の大原則だったかと思います(私は元々自己啓発の本を年間何十冊も読んでおりました)。

 例えば「これ以上ブスになりたくない」よりも「もっとキレイになりたい」だし「戦争のない世界を目指す」よりは「平和な世界を目指す」。そのちょっとした考え方のニュアンスの違いが、とっきーが言う「運気」と言うものに大きく関わってくるはずだし、大袈裟かもしれないけれど、それが人生を大きく左右することにも繋がってくるのかもしれませんね。

 さて、テーマの「イケメン」に話を戻しましょう。

 とっきーの職場にいたイケメン、その人の匂いが苦手(むしろイライラする)だった話ですが、匂いでその人が苦手になってしまうということすごくわかります。それは体臭がきついとか、昨晩ニンニク食べたからとか、そういうのとまた違うんだよね。でも、それは自分の直感に従ってよかったと思います。自ら、わざわざ、ストレスを浴びに行きたいのであれば話は別ですが。

 先日の収録のとき、とっきーにピーリング用の化粧品をいただきました。私がその前の収録時に、肌の荒れをとっきーに相談していたからです。

 それを早速使おうと思い、温泉にいってきました。

 ピーリングで古い角質を落とした後、温泉につかり癒しとデトックス、洗顔をしてパックをしました。肌が艶々になりました。

 千葉にある私の大好きな温泉。お湯は土色で、血のような鉄の匂いがして、口に触れると海と同じくらいしょっぱい御湯で、アトピー体質の私にはぴったりの泉質です。源泉掛け流しの露天風呂には「美人の湯」と書いてありました。この文通で「イケメン」について語る上で、「美人」という言葉についても考えていかなくてはならないと思いました。

 その前に、ゲイの私にとって温泉の男風呂は天国のような場所だという誤解を解かなくてはなりませんね。人にもよるとは思いますが、私は男風呂で、裸の男をじろじろと目で追うような、ひもじいゲイではないということを、まずはとっきーにお知らせいたします。本当にかっこいいイケメンがいたら見ちゃうけれど、ほとんど場合は、イケメンより、子ども連れのお父さんを見ています(いやらしい意味ではありません多分)。

 自分と同じ年くらいであろうノンケ(おそらく)の男性が、小さな子どもの手を引いて、身体を洗ってやり、温泉に入り、数の数え方を教えているお父さんの姿を見ると、感慨深いものがあるのです。

 年の変わらない優しいパパに私の身体も洗ってもらいたいと思ってしまう自分がおかしく、情けなく、複雑な気分になります。
 
 他にも温泉の醍醐味は、いろんな人の裸を見て、自分の将来を描くことです。

 5年後にはあのくらいの筋肉が欲しいな。とか、ああいう年の取り方をしたいな。なんて、考えながら温泉につかるのも、いとおかし。

 話を戻します。「美人」について考えてみました。

 美人という言葉は古典的な社会通念上、女性に使う言葉かもしれませんが、意味を「美しい人」とするならば、ジェンダー関係なく使ってもおかしくはないのではないかと思います。

 「美男子」という言葉もありますが、それはやはり「美」というものが「女性性」を表しているのであえて「男子」と付けるのでしょう。それは「医者」と「女医」や、「ドライバー」と「女性ドライバー」みたいなもので、「美」という言葉のジェンダーバイアスさえ取り払ってしまえばよく、例えば、ダビデ像は「イケメン」という言葉よりも「美人」という言葉の方がしっくりくる気がしないでしょうか。

 私自身、自認はほぼ男性を自認しておりますが「イケメン」と言われるよりも「美人」の方が嬉しいのです。美輪明宏さんがよく使われるのは「麗人」という言葉ですが、流石に私にその言葉はまだ早い気がしておりますし、そこまでおこがましくありません。

 「イケメン」と「美人」この二つの言葉を並べて見ると、前者は軽く脆く、後者は重みがありブレない印象を持ちます。簡単にいうと、イケメンはチャラいイメージがあるということです。一方で「美人」の印象にも「キレイな薔薇にはトゲがある」的な、そんな印象も拭えませんが、トゲも毒も、美しく魅せる大きな要因なのかもしれません。

 「美しい人間」に欠かせないもの。それは芯が一本通っていることなのではないかと思います。ちょっとやそっとのことでアタフタするようではよろしくなく、いつでも、一輪の薔薇のようにシャンと、凛としているのが「美しい人」のように思えます。それにジェンダーは関係ありません。

 ここで、とっきーにカミングアウトをします。

 私は「美人」を磨きあわよくばいずれ「麗人」を目指すために、身に付けなくてはならない知識や教養は星の数ほどあるかと思いますが、今年中に、茶道を始めてみようかと思っているのです。

 向いているか向いていないか問われると、自分の性格には合わない気がしますが、新しいことにチャレンジすることは、いいことだよね。

 イケメンを追いかけるのも楽しいですが(その前に、私にはパートナーがいますが)、私はもうすぐ33歳。美しい言葉、所作、そんなものを、もうそろそろ身に着けてみようかなと考えています。そうすると、イケメンや美人(ここでは美男子という意味)が、勝手に私に群がってくるのかもしれません。まるで、道端に落ちている一粒の飴に群がる蟻の大群のように。この例えが正しいかわかりませんが。笑

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