チリ地下鉄料金値上げで暴動
南米のチリと言えば南北に細長い国土をイメージできるだろう。チリは南米では政治が安定している国だが、これまでずっと政治が安定していたわけではない。保守派や人民戦線が権力を掌握したり、キリスト教民主党から大統領を出したこともあった。
そして1970年に民主的な選挙によって、サルバドールアジェンデによる
社会主義政権が誕生したのである。しかしアジェンデは経済政策に失敗して
支持を失った。これを見た軍部はアメリカの支援を受けたピノチェトが
クーデターを起こして、宮殿に立てこもったアジェンダを殺害して自ら
首班に就任した。ピノチェトの政治は秘密警察を使った恐怖政治で、反対派
は片っ端から弾圧されて殺害された。
またその経済政策は新自由主義であり、貧困層が増大しチリは極端な
格差社会になってしまったのである。しかし周辺諸国の民主化の流れを
受けてピノチェト軍事独裁政権も総選挙で敗北し、民主化を主張する
エドゥアルド・フレイ・ルイスタグレが大統領に就任する。
そして2000年には社会党のミシェル・バチェレが女性として初めて
チリの大統領に就任する。バチェレは貧困対策に取り組みチリ経済を
成長させる。しかし貧困対策に力を入れたことで中間層などから批判を
浴びて、2009年には今度はセバスティアン・ピニェラが大統領になる。
だが2013年の大統領選挙でミシェル・バチェレが再度大統領に当選
する。そんな中首都サンティアゴの地下鉄料金値上げを巡って学生たちが
暴動を起こし、非常事態宣言が発令されたのである。
サンティアゴ地下鉄は、1日250万人もの市民が利用する重要な足で7つ
の路線がある。市民にとっては欠かせないインフラであることから
怒りが爆発したのだろう。
ピニェラ大統領は対話する姿勢を示しているので、暴動が長引くことは
ないのではないか。
それにしても世界中で市民が自分たちの権利を守るためには、強硬手段
を取ることもあるのに、日本人はおとなしい。
増税されても台風被害を受けても文句ひとつ言わないのだ。
暴動は行き過ぎだがデモをするなり、もう少し言いたいことを言っても
いいのではないだろうか。
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