緊縮財政は日本の伝統か?
20年以上続くデフレにより日本は今だ不景気から脱出できないでいる。
公共工事の大幅な削減や消費増税により、経済成長できないでいるのだ。
中国やアメリカやアジア諸国が軒並みGDPを増やしているのに、日本だけが景気がよくない。
しかもこの10月に消費税を8パーセントから10パーセントに上げたことで、さらに消費が冷え込むことになる。
これは財務省が財政規律を重視し、国民のためにお金を使うことを渋ってき
た結果、日本国はどんどん貧乏になっているのだ。
しかしこういった緊縮政策は日本では珍しいことではないのだ。
古くは江戸時代中期に老中松平定信が行った寛政の改革は、腐敗した田沼政治の反動もあり、極端な倹約を強要した。
また江戸時代後期の天保の改革では、老中首座の水野忠邦が奢侈を禁止し
て、大衆の娯楽である芝居や寄席や歌舞伎を弾圧した。
こんなことを行えば当然市中にお金が回らなくなる。
それから明治時代には西南戦争で軍費調達のために紙幣を増刷して起こった
インフレを抑制しようと大蔵卿松方正義が緊縮財政を行い、農村が疲弊して
いったのである。
さらに昭和4年に発足した濱口内閣は、日銀出身の井上準之助を大蔵大臣
に任命し、緊縮財政を進めるため金解禁を行ったのである。
しかしおりしもアメリカのウオール街の株の大暴落をきっかけに始まった
世界恐慌と重なりタイミングは最悪だった。
しかも井上は軍縮を行い海軍の予算を削減したことから、軍部と右翼に
恨まれて暗殺されてしまう。
その後日本は満州事変や日中戦争を起こして、大陸に進出して不景気を
克服しようとしたが、アメリカと激突し敗戦を迎えるのである。