知られざるエクアドルデモ
赤道に位置する南米の小国エクアドル共和国は、世界支配層の搾取に苦しんできた。プランテーション経済により欧米の資本家に利益を奪われてきたのである。
戦後、エクアドルは軍事政権が権力を握ったこともあったが、保有していたブレイデイ債やユーロ債がデフォルトして経済危機を招いたこともあった。
そんな中エクアドルはアメリカの新自由主義政策に苦しみ、反米意識が高
まっていったのである。 そして2005年アルフレッドパラシオが大統領に
就任すると左翼経済学者であったラファエル・コレアがパラシオ大統領の
経済顧問に就任した。
しかしコレアは新自由主義政策を推し進めるパラシオと対立し辞職する。
だがこんなことでコレアは屈することなく、2006年大統領選挙に出馬して
当選する。そしてコレアは大統領に就任すると反米的で自主独立的な政策を
推し進めていく。コレアは新自由主義政策を否定して南米でもリーダー的
な役割を果たしていたが、退任してレニンモレノを後継者指名して、
モレノは選挙に当選して46代大統領となる。モレノは車いすの大統領で
コレアの反新自由主義政策を継承するものと思われていた。
しかしモレノがとった政策は真逆のもので、親米緊縮財政主義で
資本家や富裕層優遇の政策だったのである。
そしてモレノはIMFから財政支援を受けるために燃料補助金を廃止した。
そのことでエクアドルでは燃料の価格が暴騰して、エクアドル先住民族連盟
を中心に首都キトで2019年10月に大規模デモが起こったのである。
このデモで一部の民衆が暴徒化して、1349名がケガをして1152名が逮捕
されたといわれている。
そして事態の鎮静化を図るため、モレノ大統領は燃料補助金の廃止を
撤回した。このことからわかるようにデモは政治を変える力を持っている
のである。