40.髑髏本尊記憶術③
上記、遍歴年表の概要は、空海の虚空蔵求聞持法に始まった記憶術が、高野聖などを通して伝承され、井上円了氏*3の西洋記憶術の紹介の後、演技式記憶術が実演販売としてブームに*4、昭和になると石原誠之氏が競技式記憶で、世界記録を出すまでになる。しかし、戦後、演技式記憶は技芸のある芸人がいなくなり、衰退。競技式記憶も、戦後徐々に衰退、1991年の世界記憶力選手権(World Memory Championships)以降、3位にも入ってません。この記憶法は、単に大道芸や競技だけでなく、アンチエージング、医療・介護、AI認知への伸びしろも期待できます。伝統の継承が望まれます。
参考文献
*1:「空海の風景」、司馬遼太郎著、虚空蔵求聞持法を分かりやすく解説
*2:西尾市岩瀬文庫蔵
*3:井上円了、「記憶術講義」を著し記憶術の合理性に理解を示す。哲学者で明治維新に於いて旧来の因習や迷信を廃止、開明的な国民意識の育成に努める。東洋大学の創始者、中野哲学堂の創建者、
*4:加能作次郎著「大東京繁昌記」、永井荷風と並ぶエッセイスト、戦前の庶民の
日常生活がわかる。数ある芸人の中での名人芸の紹介、
*4:「てきや(香具師)の生活」 添田知道 雄山閣
・記憶術 フランセス・A・イエイツ 水声社
・記憶術と書物(中世ヨーロッパの情報文化)メアリ・カラザース 工作舎
・記憶術ノススメ 岩井洋 青弓社
・真言立川流婆沙羅 黒須紀一郎 作品社
ー完ー