7.夢は、和風大道芸の日本遺産登録
今まで、和風大道芸のエピソードを語ってきたつもりですが、これでは、大衆芸能文化史になってしまったかもしれません。古い時代の出来事をレトロ感に浸って語る気はありません。大道芸に興味ある人に、時代の変転の中でどのように大道芸が存在していたかを知ることで、日本人としてのアイデンティと誇りを持ち、かつ大道芸を観てもらいたいと思っています。海外へ行ってもパントマイムのことしか語れず、何かやって見ろと言われてもジャグリングを称賛するばかりではつまりません。アイススケートでは清明、シンクロでは和楽器の演奏が流れるように、海外へ出れば必ずアイデンティを意識させられ、それが容易に受け入れられる。それはショパンやドボルザークの時代からも変わらぬものです。
そこで、具体的に和風大道芸に興味を持ってもらう方策として、和風大道芸の日本遺産登録を推奨したい。日本遺産を世界遺産との比較という形で紹介してみます。
・世界遺産:自然や文化財の世界的な価値を認めて、その保全、保護の活動
や規制をユネスコが評価する。
・日本遺産:文化材の価値を認めて、それを発信する事で地域のアイデンティと
ブランドを高め地域活性化の取り組みを文化庁が評価する。
要は地域の歴史や文化材の紹介でなく、史跡・景勝地・祭りなどを通してその継承・保存がストーリーになって地域の活性化なっていること…としている。登録されている日本遺産は、以下の2タイプがある。(詳細は、HP参照)
1.地域型(一地域のみに限定)
飛騨匠の技、津和野、神や鬼が躍動する神話(石見)、デカンショ節、忍びの里
(伊賀・甲賀)
2.ネットワーク型(広域または複数の地域)
四国遍路、鎮守府(横須賀、佐世保、呉、舞鶴)、六古窯(瀬戸、常滑、信楽など
このような日本遺産に和風大道芸の変転を次のようにストーリー立てて登録してはどうでしょうか?
◎テーマ:和風大道芸に見るふるさとの祭り今昔
・地域:寅さんの啖呵売(葛飾区)、ガマの油売り(つくば市)、南京玉簾(富山県
五箇山)、バナナの叩売り(北九州市門司区)、チンドン屋(富山市)など。
・運営:持ち回りで世界各地に古くからある大道芸に関連する演目、オリジナル
な芸を企画し、祭りとして情報発信する。
・スタッフの募集:和風大道芸に興味ある人を募集、その年に主催となった
会場に出向き、主催とならなかった地区の展示、VRでの案内などを行う。
・ふるさと納税ポイントの実施:会場で遺産関連地域の名産、グッズを期間限
定のふるさと納税としてその寄付の一部をスタッフのポイントにする。
・この納税ポイントには、他の遺産、来訪神、風流踊りにも参加を促し、メセ
ナ寄付として法人税控除を働きかける。
◎狙いとメリット:
・登録することによる芸人の出演機会、地域の観光収入、助成金の予算化
・各地域のイベントを「日本遺産の伝統芸」とすることによる地域のアイデンティ,
技芸のブランド力、情報発信力の向上。(グループ化による運営力のアップ)
・伝統芸や遺産を知識を知る機会として、技芸の質的向上、時代や地域を比
較することで企画力の向上、ボランティア・ファンの獲得、新たな技芸を
発掘できる。