【with wedding vol.22】ミレニアル世代の新婦から聞く結婚式の本音

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2019年5月号 第102号の内容を転載しております。

とっても面白かった「第1回」をシェアさせていただきます

2019年3月28日に、REXIT WEDDING LABというイベントを開催しました。第1回は「ミレニアル ☓ ウェディング」というテーマ。そもそも、REXIT WEDDING LABは、ウェディングのアップデートを目指すREXITと、各業界の最先端を走るゲストを掛け合わせ、業界をアップデートしていく面白さや難しさ、大切なことを知れる機会をつくるイベントとして起ち上げたものです。10年前、インターネット業界からウエディング業界に飛び込んだ際、結婚式の面白さを感じる一方で、インターネットのことが苦手な方が多いんだなと感じ、KPIとPDCAのような手法を持ち込んだところ、前職では業績を伸ばすことができました。・・・が、産業全体で見た場合に、1社の業績だけを伸ばしても意味がないと痛感し、世の中を結婚式にあふれた世界にしたい、そのために必要なことの1つとして産業全体をアップデートしたいとリクシィを起ち上げました。ただ、10年もたつと、私もすっかり業界の中の人です。社会の進化は激しく、自分も知らないことが増えています。であるならば、積極的に異業種のノウハウをブライダル業界として吸収しやすい形でどんどんインストールしていくことが有効ではないか。そんな想いからこのイベントを始めることにしました。

やってみると、活躍されている方の結婚式の話自体が面白く、示唆が多いなということがわかりました。本稿は、今回のテーマだった「ミレニアル ☓ ウェディング」で登壇くださった、SHE株式会社のファウンダー/取締役の福田恵里さんのお話とそこで感じたことをシェアさせていただきたいと思います。このイベント自体も第2回、第3回と続けていきたいなと思っています。

どんな結婚式だったのか?

福田さんの結婚式は次のような内容で、
1.招待状の返信は、ALL WEBで完結!
2.ご祝儀袋もWEBで完結!
3.装飾やアイテムは、コンパスをモチーフにGARDEN WEDDINGっぽく統一。席次表のゲストの肩書きはその人ならではのキャッチコピーにして、お料理は旅行をテーマに
4.岡崎体育さんのパロディでつくったオープニングムービー(twitterで38万回再生)
IT感もあり、オリジナル感もある、そんな結婚式だったそうです。話を聞いていると非常に手間も時間もかけて、結婚式への想い入れが強かったのかなと思っていたんですが、元々はそうではなかったとのことで、むしろ結婚式に参加するコスパは悪いと感じられ、やる必要性があるのか疑問に感じていたそうです。ただ、結婚式場を見学する過程で、とあるウエディングプランナーから言われた「結婚式は結婚式がゴールじゃない。自分たちがこれからどう生きていくかを話し合うことが大事。」というメッセージが考え方を大きく変えて、結婚式の価値観の確変が起きたとのこと。夫婦で準備ごがんばり、結婚式を実際にやってみて、価格以上の価値が明確にあるなと思われたとのことでした。イベントではそこから、ミレニアル世代の結婚式観の話を色々と伺いながら展開していったのですが、ここでは2つの気づきを紹介したいと思います。

●気づき①参列するほど結婚式に価値を感じなくなるケースが増えている
25-30歳の世代で、結婚式に参加すればするほど結婚式の価値を感じなくなっているケースが増えているとのこと。初回の参加は間違いなく感動するそうですが、5回も参加すると、次に何が起こるのかわかり、どうしても似た内容に感じられてしまって、自分の場合に同じようにするなら参加する人も同じ気持ちになってしまうのではないか、その中で時間やご祝儀をかけてもらうことに対して価値を発揮できないのではないかと、だったら海外でやる方が良いと感じるそうです(これを聞くと20代前半の新婦をターゲットにしている会場の方が安泰かもしれません・・・)。一方、オリジナリティあふれるこだわりに満ちた結婚式に参列した場合は、参加者として満足度は非常に高くても、「これくらいのことをしないといけないのか」という高いハードルを感じてやはり億劫になってしまうと。同じような参列経験が重なってもダメで、特別な結婚式に突然であってもダメだという、なかなか困った構造があるんだなと理解しました。結婚式場の立場だと、「フォーマットが例え似ていたとしても、列席する人が違って、おふたりは初めてだから価値がある」という意見も出てくると思いますが、それによって参列者の挙式意向度の低下を招いているということです。

●気づき②結婚式の準備に本質があるということが知られていないから、チャンスがある
準備が大事という言葉がきっかけになったという話に対して、私は「たしかに」と思ってしまいました。実体験でも知っていたことなのに、なぜ今まで言ってこなかったのだろうと。もしかしたら当たり前だと思っていたからかもしれません。ただ、このメッセージは本質だと感じると同時に、もっと世の中の人たちが知っていてもいい言葉なのではないかと思います。結婚式の集客は、今も昔もハード偏重で、準備の価値は会場単位で伝えることがなかなか難しいという面もあり、世の中に発信されていないのではないかと感じています。逆に言うと、準備の価値と結婚式の当日のストーリーを明確にメッセージングすることで、世間の結婚式の理解が変わる可能性はあると思いますし、特にインスタグラム等のツールを活用できるポイントがあるようにも思われます。
実際、インスタグラムは、会場の公式アカウントの写真を見て「宣伝上はこう言っている」と理解した上で、ゲスト投稿の写真を見て「実際にはこうなんだな」とギャップを確かめてから結婚式場を絞り込んでいくという使われ方をしています。発信しなければ知ってもらえない一方で、ゲスト投稿の内容がニーズを満たしていないと候補から落とされてしまうのがインスタグラムというわけです。正解は、以前の寄稿でもお伝えしましたが、「インスタグラムは、自分の会場でしかできないことや想いを伝えること」で、自分の会場を知ってもらい、深く理解してもらうきっかけとして写真を使わけですが、写真の素敵さを語るよりも、その写真の裏側にあるストーリーをどれだけ伝えられるかが大切になります。「結婚式の準備に何があって、それをどう表現した結婚式だったのか」を知っているのはおふたりとプランナーしかいません。プランナーが真摯におふたりに対応し、準備の結果としてどんな結婚式になったのかが表現された1枚の画をどれだけ発信できるかが、その会場にとっても、産業にとっても重要なことだなと思いますし、それを伝えていくことが、参列経験の高まりに伴う精神的負担を減らすことにつながるように思います。

●まとめ
20代前半の方々と結婚式の話をすると、「結婚式=挙式してケーキカットして新婦の手紙を読んで・・・」という表面的なシーンでしか語られず、ちょっと哀しい気持ちになることが多いです。「結婚式の本質とはなにか」という答は個々人によって皆違っていて良いと思いますが、ここが伝わっていないのだとすれば、ある意味ではポジティブに捉えて、伝われば変わる!と希望をもっても良いと感じられます。短期的に集客をどうするかと悩んでいる会場も多くあると思います、この話がヒントになれば良いなと思っております。ちなみに、今回のREXIT WEDDING LAB、主催してみて大成功だったと感じていますが、ウエディングジャーナル北折編集長にもモデレーターとして協力をしていただきました。この場を借りて御礼申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。

■ REXIT WEDDING LABのレポート

■ SHE福田恵里さんの結婚式のオープニングムービー

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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