【with wedding vol.31】WEBマーケッターはどう採用すればいい?

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2020年2月号 第118号 の内容を転載しております。

最近、セミナー等でお話をさせていただける機会が増えており、その中でWEBマーケティングをできる方を採用したいという相談を多数いただきます。特定職種の採用ということで、非常にニッチなテーマかもしれませんが、ニーズが強そうということで、「どうすればWEBマーケッターを採用できるか」について、紹介をさせていただきます。

前職時代の話

私が役員をしていた前職のウエディング会社では、WEB系人材が10名程度在籍していました。エンジニアやインフラ系を含めると20名程度になります。これはどの会社の方とお話していてもそんなにいたんですねと驚かれます。内訳で言えば、会場集客系で3名、少人数特化系で1名、新規事業で5名、それに私が1名と、やっていることも多岐にわたっていましたし、インターネット切り口で事業を展開するという方針でいたので必要だったという側面もあります。ただ、採用したくてもそんなにできないというのがホンネではないでしょうか。WEB系といっても、インターネット広告代理店、インターネット事業会社、3名程度の制作会社、フリーランスなどバックグラウンドは様々でしたが、どのように採用していたのかを紹介します。

口説き文句は「ウエディング業界ならスターになれる」

求人広告では基本的に来ないので、エージェントを使うか、知り合いをたどるかの2点になります。前職はその割合が半々でした。

ウエディング業界ではエージェントに35%のフィーを支払うという慣習が無いと感じていますが、WEBマーケッターはそれくらいの覚悟をしないとエージェントも紹介をしてくれません。フィーを値切ると、「それより高いフィーの会社で決まらなかった人材しか紹介されない」か「エージェントの担当者が紹介しなくても指名される会社になる」ということを受け入れる必要があることを覚えておく必要があるでしょう。(そもそも、土日働ける人じゃないとダメだという話をされることもありますが、それはもうあり得ません)

一方、知り合いをたどるについては、とにかくWEBマーケッターの知り合いがいないかを周りに聞くことから始めます。インターネット企業で仕事をしている友だちや、取引先などはあるはずですから、本人を勧誘するのが難しくても「知り合いで転職したいという人はいないか」というアプローチをすることはできるはずです。これを実行する人が本当に少なく、本当に欲しいと思っているのか疑問を感じることもあります(笑)およそどんな人材でも5人に会えば1人は採用できます。これは間違いないので実行を強くお勧めします。

その上で、大きく立ちはだかる問題が、どうすれば入社いただけるかです。口説かなければ増えません、口説かなくても入社していただける方をしっかり採用するのは大前提で、その上で、口説かなければ入社いただけない方を増やすことが採用力アップのカギになります。その際に最も効果的なのが、このセリフです。

「インターネット業界にいたら全く目立たない普通の社会人、でもウエディング業界でインターネットに詳しく活躍できればスター。どっちがいい?」

これは、平凡なメジャーリーガーが日本のプロ野球でブレイクするようなケースに置き換えていただけると一挙にわかりやすくなると思います(笑)。このセリフを言わないといけないわけではないですが、本人にとっては、当然インターネット業界にいる方がスキルや知識も高まりやすいはずで、それにも関わらず事業会社に行く理由が必要ですし、その上でウエディング業界を選んでもらう理由が必要なわけです。それを突破できる口説き文句を考える必要があるでしょう。

ただ、最も大きいのは定着の問題

採用するのも難しいと思いますが、それ以上に難しいのが定着です。WEBマーケッターの立場で考えてみましょう。下手すると同じ仕事をしている人がいない、いてもデジタル的な知識がない、何がおかしいかに気が付いていない、上司も役員も社長もわからない、現場のメンバーもわからない、ホームページや広告は違和感だらけで協力会社との会話の経緯も不明、でもホームページは変えたばかりだから変更はできない・・・、という状態からスタートします。仕事の環境としては、悲惨と言えるでしょう。相当ケアをしなければ入社後に辞めてしまいます。

その上で、インターネットというのは日々進化していきますし、他人がやっていない間に先行してやるからリターンが大きいという思想が基本なので、まったく流行っていない状態でInstagramやYouTube、うまくいくかわからなくてもTikTokをやるという姿勢が必要です。・・・が、保守的で考えが古い経営陣が立ちはだかったらどうなるでしょうか。自身の知識スキルを磨く機会すらはく奪されるのです。その環境で仕事をしたいと思えるでしょうか。スターにするには、スターになりえる環境を用意してあげる必要があるのです。ただ、ここまで聞くと、こう思いませんか。

「実は採用をしない方が良いのではないか?」

そうです、この答に多くの会社がたどりついてしまうでしょう。外部からWEBマーケッターを採用するのは、定着が非常に難しい。であれば、どうすべきか。答は2つあります。「副業で雇用する」か「社内で育成する」です。

・副業で雇用する
最近、副業を解禁しているケースが増えていますが、特にインターネット企業では半分当然のような流れになっています。WEBマーケティングの仕事を副業で19時以降やりたいとか、平日1日稼働で請けたいという方は、多くいらっしゃるものです。月収50万円の方でも週1日なら月10万円ですし、少し色を付けて15万円などでオファーすれば喜んで協力してくれるでしょう。Wantedlyなどで募集をすれば見つけやすいでしょうし、副業特化の斡旋会社も増えているので、おススメです。ただ、1点留意すべきは、どうしても社内調整などは難しいという課題が残ります。やはり副業で手伝ってもらえる人と言うのは、社員と同じにはなりにくいものです。

・ならば、社内で育成する
実は、最も良い答えが社内での育成です。リクシィのコンサルティング先でも最もうまくいているケースがこれです。非常に難しく見えるかもしれませんが、中途のWEBマーケッターを上記のように定着させるのと、その問題が無い知識スキルが無い若手を育成するのとでは、成功確度は10倍程度違う印象です。知識スキルは、インターネットで調べれば一定学ぶことができますし、そのキャッチアップの間だけ副業で手伝ってもらったりコンサルティング会社(弊社でもいいですが 笑)に依頼するというのは、実に合理的で確実です。

おわりに

WEBマーケッターと言っても、不可思議な仕事をしているわけではありません。むしろ、ウエディングで必要とされる知識スキルはそこまで深いものではありませんし、1年程度かければきれいに習熟できます。新卒の採用幅を拡げられたり、ウエディングプランナーのキャリアアップになったりと、組織戦略上もメリットは大きいでしょう。口説いて採用もありだと思いますが、副業&社内育成も取り組まれると良いのではと本稿を紹介させていただきました!産業は人がつくります、スキルを高めることで、産業のレベルをアップし、よりユーザーニーズを満たせる業界になればいいなと思っています。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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