【with wedding vol.43】インスタ級の衝撃!Clubhouseについて

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2021年2月号 第137号 の内容を転載しております。

2021年1月下旬より、突如現れた音声特化型SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。招待制でその数が限定的なことや、アーカイブされないという性質から、ここでしか聞けない話を聴き逃したくない…と話題になり、爆発的に広まっています。1/31現在、私もかなりのめりこんでしまっています。

まだまだ黎明期という表現が正しく、活用法も不明な点が多い状態ですが、SNSは先行者メリットも大きく、私も個人的にインスタグラムに乗り遅れたというトラウマもあることから(笑)、自分なりに色々試してみた体験も含めて、現時点のことをシェアし、ウェディング業界にとってプラスに活用できるようなきっかけにできればと紹介させていただきます。

●Clubhouseとは?

Clubhouseは音声特化型のSNSと呼ばれるように、テキストや写真はなく、音声だけでコミュニケーションをするアプリです。2020年春にアメリカでローンチされた後、2021年1月後半に日本で広まりました。

アーカイブが残らないので、スピーカーも本音が話され、だからこそリスナーも聞き逃せないと参加したくなります。また、自分でroomを自由につくることもでき、テーマに合わせて自分の知り合いや、無関係の方がリスナーになって、自分が話をしたい方をスピーカーに変えていきなりトークセッションを始めるようなこともできれば、そこに知り合いじゃない方や著名人が現れて、展開の読めない化学反応が突如スタートするという展開もあり、その読めない感も盛り上がるポイントになっています。

日本に登場した際には、当初はインターネットベンチャーの著名人が多く、インターネット老人会による同窓会などとも揶揄されていましたが、その日のうちにインフルエンサー、マスメディア、芸能人が登場し、特に小嶋陽菜さんが出現したところから、一気にその流れが加速しました。政治家でも河野大臣や、アメリカではイーロンマスクが直接話をするなど、次々に大物があらわれ、ここだけの話を生の声で聴くことができる。そして、スピーカーとして会話できる可能性があることから、どんどん裾野が広がっています

もちろん、盛り上がっているのは著名人のroomだけではありません。
・ノウハウの共有:会社の枠を超えて社長同士で会話
・セミナー:保険やファイナンスなどセミナーを開催
・芸:モノマネや占いなど一芸に秀でた方が芸を披露
・雑談:元○○出身の同窓会
…のように、様々な会が開かれています。

SNSを中心に広まったことから、ITリテラシーの高い方々が多いですが、スマホの電話番号でのつながりで招待ができるとわかったところから、30代以上のユーザーも増えている印象です。20代でSNSへの関心が高くない層は、電話番号もさほど登録していないことから、まだまだ少ない印象ですが、ここがどこまで広がるかがポイントと言えるでしょう。

個人的に、roomの内容で最も衝撃的だったのは、
①港区女子のヤバい飲み会を話すroom
②ドラゴンボールの編集者で著名な鳥嶋和彦さんが鬼滅の刃を話すroom
③違うTV局同士でClubhouseがどうなるのかを話し合うroom
です。

①では実名で誰の飲み方がひどかったという話が次々出てきますし、②では私の数少ない趣味の1つである漫画のレジェンドが今のトレンドへの見方を話されていて、③では通常は様子を見がちなマスメディアの方々が早々にいてそのディスカッションを生で聞ける。

自分の知りたかったことの世界がどんどん透明になっていって、テンションがあがりきって眠れないということが起きていました。

●例えばどんなことができるかをやってみると…

・「サービス業どうすんの?」を業界の方々と開いてみる ⇒ 業界の人だけが来る
・「toC営業DXについて」を1人でやってみる ⇒ 関心ある人が少し来て仕事の話になる
・「宮崎謙介の許されるヒケツ」を本人とやってみる ⇒ 著名人として軸になる人がいて一定多様なつながりがあると、高確率で自然発生的な化学反応が生まれる
・「公園にいるよ」とroomを開いてみる ⇒ 「自分も公園にいて」という人が入ってくる
という具合でした。

また、ウェディング業界の方々が集まっているroomが複数できたり、卒花嫁のroomができていてウェディングの実情が洗いざらい話されていたりといった現象も起きています。

それを通じて自分が感じたことは、「人々が集まる場」を置き換えているということ。「集合することに対して、声だけを残すことで集まるコストを極小化している」と点がポイントだと感じています。

カンファレンスや展示会、飲み会、二次会が、同時多発的に発生している。「そこでできることは、声だけですべてできる」という感覚です。

例えば、「toC営業DXについて」というテーマで参加される方には、そのようなノウハウの話をすることで半分セールスの場のようになりますが、これは展示会にブースを出展しているのと同じ状態と言えます。デパートの空いたスペースで、やたらきれいになる洗剤を実演販売している感じに似ています。

例えば、「公園にいるよ」とroomを開いてみると、仕事関係、友人関係、昔の同僚など、様々な人たちと不意な会話が可能になり、10分程度近況を知ることができたりもします。2次会での「久々~!」な感じがバンバンできそうな感覚です。

悪く言うと、ネットワークビジネスをやりたい人には格好の狩場とも言え、モラル面での懸念も出てくると考えられますし、話を聞きたいスピーカーが継続的に参加するのかという点も今後、Clubhouseが広まるかのポイントになるでしょう。おそらく、盛り上がった後にはいったん熱が冷め、人が離脱していく可能性が高いでしょう。

SNSはなにが流行るかは誰にもわからないので、広まるか否かは誰にもわかりません。
実際に、「中毒性が高すぎて時間がとられすぎる」「情報が洩れすぎてしまう」「著名人じゃないと活躍できない」などの指摘も出ています。

ただ、広がった際に、最も有利になるのはサービス黎明期から利用しているユーザー。SNSは先行者利益が顕著に出ますし、ここに食いつけるかどうかはセンスが大きく問われるのではと思います。私で言えば、インスタグラムは2010年に初投稿していますが「これは流行らない」と浅はかに判断してしまい、2014~2015年頃には大きな存在感を発揮しており、チャンスがあったはずなのに、完全に乗り遅れたなと反省したものです。Clubhouseが流行るかはわからないけど、流行った時のリターンが極めて大きいので、いま張っているというのが自分の立場です。

●ウェディング業界にはどんな影響がある?

最後に、簡単にウェディング業界にどんな影響があるか紹介をして、しめたいと思います。

・結婚式場各社への影響:横のつながりの加速
コロナ禍で生まれた会社の枠を超えたコミュニケーションは、さらに増えるでしょう。どの媒体にどう出稿するかやエリア協議会のような話題も瞬間的に実施され、その輪が広まる可能性は十分あるでしょう。

・お客様への影響:リアルのシェア
卒花会は簡単無限に開催することができます。インスタライブだと顔が映り、画面の質も重視されるので実施のハードルが高くなるものですが、Clubhouseはそんな必要がありません。喫緊コロナ対応を含めて「感染対策のパーテーションが有料と言われた」「延期先を猛烈に交渉したらOKになった」「安藤迎賓館のサービスは本当にあり得ない」という話が、どこまでも赤裸々にシェアされてしまうでしょう。表裏や個人差を前提にしたサービス提供はより通用しなくなるでしょう。

・経営への影響:Clubhouseにどう向き合うか
SNSを禁止する会社は非常に多いと思いますが、世界は「オープン」「つながり」の方向に極端に傾いているのは明らかで、いかに活用するかに転換する必要性はかなり高いと思います。Clubhouseで自社のことがどこでどのように話されているかはわかりませんし、中にいない限りその雰囲気を感じとることもできません。知らないところで自社のサービスが炎上し、気が付かないところで来館が激減してキャンセルが増えているということは、非常にリアルに起こりえることでしょう。さほど関心を示さなかったインスタグラムがどうなったのかを踏まえて、Clubhouseに向き合えるかは1つの試金石になると思います。少なくとも、「余計なものができたな…」程度の認識の会社は死亡フラグが立つかもしれません。

そうならないよう、まずは使ってみることをおススメします!そして、私をフォローしてください(笑)

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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