【with wedding vol.17】CV率を高めるのは「ホームページ」の役割
※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2018年11月号 第93号の内容を転載しております。
前回、「インターネット広告運用について今一度」というテーマで、広告に関するお話をさせていただきましたがその続編です。今回は「ホームページについても今一度」ということで、ホームページの分析と改善について、です。
ホームページに投資する
インターネット集客において広告が重要なことは言うまでもありませんが、その受け皿となるホームページも等しく重要です。ホームページからの来店予約数は、「ユーザー数 × コンバージョン率(CVR)」で計算されるものですが、広告はユーザー数を増やすものであり、コンバージョン率を高めるものはホームページの役割が大きいです。10万円なり20万円なりを使ってホームページのコンバージョン率を上げることは十分可能なのですが、残念なことに、一度つくったホームページをそのままにしている結婚式場がほとんどです。広告投資に比べると、ホームページへの投資の方が、半永久的な効果が期待でき、効果が1.5~2倍になることも珍しくないので、「ホームページはつくっておしまい」という固定概念を捨て去ることから始めることをおススメしています。担当者の立場であれば、「ユーザー数 × コンバージョン率(CVR)」という話の理解を経営者から得ることが第一歩と言えますし、それが会社としてできなければ、インターネットで集客するという考え方を放棄するしかありません。
ホームページを分析して、改善する
ホームページをどうするかは、分析がすべてです。分析は、google analyticsという無料のツールがどのホームページでもおよそ設定されているはずなので、それを見るのが良いでしょう。知りたいことはほぼすべてこのツールで調べることができますが、ポイントを絞るなら特に見るべき情報は以下になります。
1.ユーザー数(流入チャネル別、合計)
2.フォーム到達者数
3.コンバージョン数
4.コンバージョンしたお客様が見たページ
1.ユーザー数(流入チャネル別、合計)の見方
これは、「集客>すべてのトラフィック>参照元/メディア」とクリックすると表示される画面です。それぞれの流入元別に何人のお客様がご覧になっているかがわかります。
2.フォーム到達者数の見方
これは、フォームのURLだけを指定して、そのURLにアクセスしたお客様の数を表示させています。「セカンダリディメンション」という機能を使うと、さらにどの流入元からアクセスしてきたお客様なのかまで見ることができて、広告ごとにフォームまで到達したお客様の数を把握することが可能になります。
3.コンバージョン数の見方
google analyticsでもカウントは可能ですが、我々としてはアナログカウントを推奨しています。電話での来館予約もありますし、google analyticsではどうしても重複カウントなどのケースもあり、週次のコンバージョン数が1桁の場合、与える影響が大きいためです。
4.コンバージョンしたお客様が見たページの見方
「ユーザー>ユーザーエクスプローラー」とアクセスして、コンバージョン率にカウントが入っているアクセスログを見ると、CVしたユーザーが見たページを知ることができます。結婚式場の場合は、topページに着地してからCVするまでの間に、「コンセプト(orアバウト)」「フェア」「プラン」のどれかのページを通過することが多いです。CVに至るユーザーの動きを見て、「フェア経由のユーザーは多いけれども、コンセプト経由のユーザーがいない」という状態であれば、「ある程度見学意向が強いお客様はCVしているけれども、情報収集段階のお客様はCVしていないのではないか」という仮説をつくることができるようになります。ずっと見ていくと、CV貢献しているけれどもPVが少ないページがわかるので、そのページを積極的に見てもらうようにします。一方、そうでない場合は、改善するか積極的には見せないという対処をします。
インターネット広告に適したサイトは昔と変化している
現在、結婚式場のサイトを見ていると、フェアやプランを積極的に打ち出しているケースが多く見られます。それ自体はおかしな考え方ではありませんが、今も最優先で表示すべきかと言われると、様子が変わってきたと思います。かつては、ウエディング媒体の数も少なく媒体の情報量も多くはなかったので、「より深い情報を知りたい」と結婚式場の公式サイトにアクセスするユーザーが多かったと言え、フェアやプランの情報の価値が非常に高かったと言えます。しかしながら、今は、ウエディング媒体自体にフェアやプランの情報も大量に掲載されているので、公式サイトにアクセスしても同じ情報が載っているにすぎずプラスアルファの価値を与えられるとは言えません。むしろ、インターネット広告から流入してきたユーザーの場合、いきなりフェアやプランを見せられてもそもそもどんな会場なのかを知らない状態なので、理解ができない状態を招いてしまいます。自社サイトは、既に一定の情報を持っている方も、全く情報を持っていない方も、それぞれいらっしゃるので、両方に適した状態にする必要があるでしょう。
インターネット広告が向いている会場、向いていない会場
向いているのは、特徴が明確でわかりやすい会場です。もっと言えば、検索しそうな言葉と一致する強みを持っている会場は優位性があります。料理がおいしい会場というのは、インターネット上では伝えるのが非常に難しいですし、「結婚式 料理」と検索する人も非常に少なく、相性が悪いです。一方、スペック面、チャペルやガーデンといった強みがある場合は相性が良いものです。特に「ガーデンウエディング」は検索数も一定ありますし、そのままガーデンの強みが伝わるでしょう。
また、情報誌やポータルサイトだと不利になりやすい会場も、インターネット広告は向いていると言えます。例えば、掲載エリアの中心地から電車で30分程度離れているとか、写真勝負になると不利だがそのエリアで唯一の強みがあるなどの場合、インターネットであればフラットに見てもらうことができるので、有利に働きます。
都市部も地方もインターネットの普及率はさほど違わないでしょうから、地方ならではの活用余地があることも知っておくと良いでしょう。
終わりに
ホームページに着目したお話をさせていただきましたが、昔から言われているホームページも、時代の変化と共に役割が変わってきています。そして、そこへの投資対効果が重要な中で、ホームページを更新するのはもちろん、マメに改善することの意味や効果は高まっていると言えます。ここに取り組めるかどうかは経営トップの意思が重要で、今回のお話全てを経営者ご自身がマスターする必要はありませんが、どのようなアプローチをすべきで、どんな効果が期待できるのかは、最低限知っておく必要があると考えられます。「つくっておしまい」ではなく、「つくって小まめに改善していく」。その指針を出すのは経営トップの仕事です。まだまだ取り組めていない会場が多い中で差別化のポイントにもなりますし、媒体頼みの集客手法からの脱却を目指すのであれば必要不可欠な取り組みと言えるでしょう。ひとつの参考にして頂ければと思います。
安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表
花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。
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