【with wedding vol.23】令和を迎えて結婚式は何が変わるか
※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2019年6月号 第104号 の内容を転載しております。
「令和」が結婚式に与える影響は間違いなくある
「令和を迎えて結婚式は何が変わるか」というテーマ。元々、年号が変わることで一喜一憂するのもどうなのかと思っていたんですが、そこで思考停止するのも良くないと意義を自分なりに考えた時に、最も腑に落ちたのが「昭和っぽい」「平成っぽい」という言葉でした。少し前でも「昭和っぽい」というとちょっと古臭いようなイメージがそこにはあったと思うのですが、令和になって「昭和っぽい」というとそれがさらに輪をかける感じでもあり、逆にレトロさが良いよねとなったり。まさに「大正っぽい」に似たノスタルジー感が出てくる。また、「平成っぽい」という言葉が、それまでは今風を意味していたのが、過去のものというニュアンスになってくる。雰囲気や状態に新しい意味を与えることが「令和」の影響なんじゃないかと思います。その意味では「令和」が結婚式に与える影響は間違いなくあると言えるでしょう。今回は、令和時代、結婚式はこうなっていくのではないかという私なりの考えを提示させていただき、皆さまでも考えるきっかけにしていただけると良いなと思います。
昭和の結婚式、平成の結婚式、令和の結婚式
簡単に振り返ると、結婚式の歴史は以下のようにとらえられると思っています。
昭和:親族中心、ホテル中心、親族から世間へお披露目
平成:本人中心、ハード中心、本人からゲストへ絆・感謝
令和:コミュニティ中心、ソフト中心、参加者同士で体験の共有
昭和は、親族主体で、子どもの晴れ舞台を披露するための場。平成は、「なぜ結婚式を親主導でやるの?」に対する疑問から新郎新婦主導になり、ゲストハウスも増えてスタイルが広がって、その意義もゲストへの感謝にシフトしていったのが平成。そして、これからはどうなるか?平成と言っても、最後の3年は、より自由度の高さや、家族だけ・少人数といった、様々なスタイルが出てきていたと思います。正に、過渡期といえ、、それが過渡期だったと決定付けるのが「令和」なのだろうと思います。
コミュニティ中心としているのは、
・親のことは大切に考えたい
・職場は終身雇用の絶対的な存在ではなく1コミュニティにすぎなくなる
・自分の関わりたい人と関わりたい時に結びつく関係性の築き方をしていく
という概念の中で、新郎と新婦が相互に紹介しあいたいとか、知ってほしいといったモチベーションで、平成的な発想のカテゴリ(親族、学校、職場)で考えるのではなく、個人ベースで考えていく流れになると考えられます。
平成であれば、「上司を呼ばないのは・・・」「同期を呼んだらあの同期も・・・」などと考えがちだったところが、簡単に言えば誰も気にしなくなるので、呼びたい人を自由に呼べるようになるという発想に転換していくと考えています。席次は決めるものから、決めない方が良いよねという考え方に自然とシフトしていくかもしれません。
ソフト中心とは、どこでやるのかなどはホントにこだわりがなくなるとうことです。もちろん設備が整ったところでやりたいとか、敢えて廃校でやりたいとか、場所に対するこだわりは強いと思いますが、「ここでやるから大丈夫」ではなく「こんな結婚式をしたいからここを選ぶ」という形になっていくと思います。
参加者同士の共有とは、とにかくフラットということです。平成の「おもてなし」も主と従が存在し、主役とゲストという関係性ですが、令和においては、普段の関係性をそのまま持ち込むような発想になっていくでしょう。
結婚式をアップデートするチャンス
ウエディング産業最大の課題が、過剰競争による会場ごとの組数減。そして、なし婚増の存在です。なし婚増という逆境をバネに、「結婚式は変わった。」ということを示すことが私たちに求められていることでしょう。「変わった」というのは、いわゆる既存のフォーマットが良いとかダメとかそんな次元の話ではありません。世間が思う結婚式のイメージが結婚式というわけではないんですよ、ということを示すことにあります。
例えば、我々はいつまで披露宴という言葉を当たり前のように使うのでしょうか。披露をしているパーティをあなたの結婚式場はしていますか。しているなら披露宴・披露宴会場と呼べば良いと思います。ですが、特にゲストハウスなどは、ほとんどがウエディングパーティなはずです。今までそうだったから、過去の流れで、世間がそうだから、披露宴と言ってしまう。それはわかりますが、そろそろ脱却しても良い気がします。「披露宴」と聞いて、「あー、あれね。。。」と昭和的な結婚式のイメージをもってしまう人は少なくありません。
各結婚式場がどんな結婚式を提供価値に置くのか、そのためにどんな会場だとマーケティングで伝えていくのか。ハードの写真を綺麗に撮ってお客様を集める時代は、インスタグラムが終止符を打ちました。本質的な価値を示す結婚式場が生き残るでしょう。
令和の時代だからそのような方法が必要というのも違う気がしています。振り返ると、平成の時代も、昭和の時代も、実は支持をされていた結婚式場というのはそれができていたように感じてなりません。広告に投資できるお金があって、プロモーションのテクニックがあれば、力技で集客を伸ばすこともできましたが、その方法を選ばざるを得ない結婚式場が増えていく中で、先に転換した結婚式場が有利になるということでもあります。できない結婚式場は淘汰されるでしょうし、結婚式はサービス業、サービス業は企業文化ということで、組織風土の差がよりクリティカルな違いを創り出す時代になるようにも思います。
まとめ
令和は、世の中の価値感自体を変えていく機会だと言いつつ、現実的に考えるとスケールの大きな難しい取り組みになるかもしれません。が、日本全体は難しくても、自分たちの商圏だけは変えられるのではという観点はあっても良いなと思います。ローカルほど、それは言えそうな気がします。新しい考えの発信は、人々が本当は気づいているけど言われたことなかったな」という共感の琴線に触れた時、一気にバズを生み出すものです。バズはSNSから生まれることが多いわけですが、SNSでバズるものは、リアルなものであることが多く、その背景からイベントをやる価値が高まっていたりもします。結婚式場の立場から自分たちらしさを伝えるイベントをする、その考え方が自分の商圏のお客様に共感される、それが起きると指名的に顧客が増える。このようなやり方は今後メジャーになると思います。そのあたりのコツやノウハウはまた次回にでもご紹介できたらと思います。
安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表
花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。
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