【with wedding vol.35】ウィズ&アフターコロナで考えておくべき8つの仮説(前編)

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2020年6月号 第125号 の内容を転載しております。

新型コロナウイルスの影響を受け、各社、大きなインパクトを受けていることと思います。我々リクシィも、「withコロナ時代の結婚式宣言」というリリースを出させていただき、全国29社128式場が賛同くださって(20年6月1日時点)、テレビや新聞、ヤフートップでも紹介いただけました。5月下旬には、オンライン結婚式のサービスもスタートし、やはりテレビや新聞などで扱っていただけております。中国の国営放送からも取材の打診をいただいたことには驚きましたが・・・。かねてから運営したサービス“Choole(チュールウエディング)”も”トキハナ”にリネームしています。

緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、業界内の有識者と共に無料セミナー”REXIT WEDDING ONLINE LAB”をYouTubeLive上で開催してきました。6/11時点で第7回まで開催されています。延べ再生回数5,000、事前登録者数1000人以上と、想像を超える方々にご覧になっていただけております。

vol.1:経営目線&施行目線での新型コロナの影響について
vol.2:予約済のお客様への対応について
vol.3:オンライン接客の実際と展望
vol.4:ウィズ&アフターコロナの結婚式業界の変化・展望
vol.5:オンライン結婚式ってどうよ?
vol.6:新型コロナ感染拡大下の結婚式ガイドラインと婚礼約款の今後
vol.7:実践編!2020年秋挙式予定のお客様に対してできること

その中で、自分自身も様々な気づきがありました。新型コロナについては、どの程度続くのか、収束した後は元に戻るのか戻らないのか、様々な意見があり、誰にもわかりません。もちろん「俺は絶対に元に戻ると思っている」などの意見があればそれを信じるのが良いと思いますが、情勢に合わせて機動的に動くとするならこうなるという「8つの仮説(前編)」を紹介させていただきます。

最初に1つ言えることがあるとすれば、ビフォーコロナで苦戦していた式場ほど、このタイミングでの変化に賭けるべきだということです。(その理由は、最後に)

ウィズ&アフターコロナ8つの仮説(前編)

①変化する顧客動向

Before:媒体&販促写真勝負
After :衛生対策・企業姿勢勝負
Solution:媒体だけに依存しない自社集客

結婚式場を考えるお客様心理として、「この式場なら衛生面でもちゃんとしてそうってゲストが思ってくれそうか」「万が一、第2波がきた場合に寄り添った対応をしてくれるのか」という観点をもっています。ただ、このスタンスは媒体上では発信することが難しいでしょう。
衛生対策や企業姿勢は、消費者もホームページやSNSで調べることが多いため、そこでの発信を効果的にできるか否かが差を分かつでしょう。特に、4-5月のコロナ対応で消費者に不満を与えてしまった企業は、SNS上で炎上するリスクを抱えることになります。顧客の支持を得ている式場にしかできない方法となり、この優位性を活かさない手はないでしょう。挙式日を延期されたお客様に対するサービスなどで、バズを生み出すという施策も有効と考えられます。

②オンラインで情報収集

Before:まずはブライダルフェア
After :まずはオンライン見学
Solution: ハイレベルオンライン接客

オンライン相談を見学前に事前にリクエストするお客様が増えると考えられます。緊急事態宣言中しか対応しない式場もあると思われる分、積極的に展開をする式場は事前に情報収集をしたい顧客層には支持を獲得できるチャンスがあると言えるでしょう。その際、オンライン接客でどこまでの情報提供をできるのかが体験の差を分かちます。ひとつの境界線は、見積りを提示できるかどうか。そこを明らかにできる式場は、事前に話を聞くモチベーションがお客様サイドで高まるので、そうではない式場よりも有利になります。物理的な内覧以外は、全て情報提供できるかどうかが大きな差になるでしょう。それを成し遂げられれば、新規プランナーの在宅勤務、土日の接客数の上限突破、複数店舗の効率運営などの領域に到達できます。

③パーティの少人数化

Before:70名前提の婚礼単価
After :30名前提の婚礼単価
Solution:商品開発と施行枠の新しい概念

密を避けるという観点から、少人数化を考える顧客層は間違いなく増えてきます。その場合、単価の減少は不可避になりますが、対策の1つとして、披露宴時間も短くして、施行枠数を増やすという考え方がありえます。ガーデンなどの強みがある式場は、開放した状態で、ゲスト同市の距離があっても不自然ではない集まり方のイメージ写真を訴求することで、ポジティブな印象を与えることもできるでしょう。また、挙式は親族だけにするというお客様には、オンライン結婚式などを提供することで、参加予定だったゲストにはfbを自宅まで配送することで単価減を抑制するという考え方もあり得ます。従来の常識にとらわれず、変革を追求できる領域と言えるでしょう。

④リモートワーク普通時代

Before:週5日現場勤務
After :週3日自宅勤務
Solution:リモートワーク環境整備

ウエディング業界の採用競争で意識すべきは同業他社ではなく、異業種です。新規の採用はもちろん、メンバーの流出を防ぐ観点でも、リモートワークをできる環境の有無はより重要になるでしょう。コロナをきっかけに在宅勤務を可能とする会社は飛躍的に増えています。それらの環境をつくれるかどうかは、組織力の決定的な差になるでしょう。②のオンライン化や、⑦のIT化とも関連して考えるべきテーマになります。

ウィズ&アフターコロナ8つの仮説(後編)

誌面のスペースの都合から、残り4つについてはサマリのみとし、詳細は次号にて紹介させていただきます。

⑤不透明な先行きへの予測

Before:感覚的な組数予測
After :リアルタイム予測
Solution:forecastの運用

⑥固定費⇒変動費

Before:重い固定費
After :軽い固定費
Solution:外部リソースの活用

⑦ITによる効率化

Before:アナログ&FAX
After :オールデジタル
Solution: 最適なITツールの導入

⑧経営者支援

Before:過去の経験則を活用
After :未来の想像力を戦略化
Solution:戦略思考に基づくトータルデザイン

おわりに

文中で、ビフォーコロナで苦戦していた式場ほど、このタイミングでの変化に賭けるべきと申し上げました。理由は、今まで勝ち組だった結婚式場は、コロナ前後で戦略や施策を変えないからです。第2波はくるかもしれないし、お客様も元に戻らないかもしれない。でも、第2波がこないかもしれないし、お客様も元に戻るかもしれない。どちらになるのか誰にもわかりません。確率は半々だとした場合、元々勝ち組だった式場が、不利になるかもしれない世界よりも、有利に展開していた世界になってほしいと考えるものです。

劣勢だった結婚式場、特に価値あるサービスを提供してるのに、アクセスの悪さや見た目の新しさ、広告量の少なさなどで選ばれなかったところは、変化することに賭ける期待値が大きくなるわけです。大胆な変化のチャンス。

その際、重要なのは価値あるサービスを提供できているかどうか。それに尽きるでしょう。新しいウエディング業界の台風の目になるような式場が生まれてきて然るべきタイミングだと思いますし、我々もそのような式場向け支援メニューを開発しながら、結婚式の多様化やアップデートに貢献していきます。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

twitter:
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Clubhouse:@antimo0926
note:https://note.mu/masakiando



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