【with wedding vol.32】新型コロナ騒動の現状とポストコロナの展望について

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2020年3月号 第120号 の内容を転載しております。

本稿を執筆している最中、コロナ騒動が発生しており、結婚式場各社とも対応に追われていることと思います。政府からの小中学校等への急行要請、そこからのディズニーランドへの閉園などで自粛ムードが一気に加速し、お客様からの相談が増えていったのではないでしょうか。弊社でも、TV局から取材をいただいたり、gensen weddingやChooleでの問合せを聞く中で、今の報道のされ方が本当に正しいのか?実は誤解されていることも多いのではないか?それを元に結婚式場各社が対応しているとすれば、おかしな点もあるのではないか?そんな観点からリサーチを行い、発表させていただいたりもしました。本稿では、我々独自の所感と、ポストコロナの展望について紹介をさせていただきたいと思います。

コロナ騒動があろうとも列席意向の方々が80%以上

リクシィで3/5にニュースリリースを出させていただきました。
結婚式場の皆さまが、結婚式を延期するのかどうするのか悩む新郎新婦と対峙するにあたって、果たしてゲストがどう感じているのかを確認しなくて良いのか。想像の範囲で時ジャッジするのは違うのではないか。でも、直接聞くわけにもいかない中で、非常に難しい局面にあるだろう。そこを打開する方法はないだろうか。

そんなことを考え、私たちで調査して見ることが最も良い解決策になるのではという想いから、このようなアンケートをとり、集計して発表したものです。

3-6月に結婚式に招待されている121名の方々に質問したところ、81.8%が参加意向という結果になりました。20%は消極的ですが、80%以上は積極的。単純に計算すると、70人の宴席ならば56人くらいになってしまうかもしれませんが、ここをどう考えるかという話だと思います。個人的には参加意向は50%程度なのかなと踏んでいたので良い意味で違ったという感想で驚きました。

個人的には、自粛感は大事にしつつも、程度問題もあると感じており、50名の結婚式を自粛することにあまり意味を感じませんし、一生に一度の結婚式が左右されるのもどうなのかと感じていました。もちろん、小さなお子さまがいらっしゃるとか、感染リスクが高い高齢者の参加者が多いとか、個別の事情があれば話は別です。ただ、少なくとも、結婚式をやろうというおふたりに「本当にやるの?」という視線が投げかけられたり、新郎新婦自身が「いまやるのはおかしな判断なのではないか」となったりすることが健全とは思えません。私が新郎ならやるだろうなあと思いますし、やる決断をされるお2人が妙なうしろめたさを感じないでもらえると良いなと願った次第でした。Facebookやtwitterで一定シェアしていただき、このようなリサーチをして良かったなと思っています。

今後もコロナ騒動と同様のことが世間で発生する可能性は当然にあるわけですが、このような形で後方支援できればと思いますが、もしかしたら式場各社でも調査サービスなどを用いて自社でレポートを発信してみるのも良いかもしれません。ネットリサーチであれば数万円で数日でできたりもしますので…。

ポストコロナの展望

コロナによる結婚式業界への影響はこのように考えています。

・短期は喫緊の挙式施行対応
日程変更等によるキャッシュフローへの影響は出るだろうなと思います。予約ビジネスなので延期であれば収益は変わらないと思いますし、キャンセルされるお客様は実際にはほぼおらず、延期ではないかと思いますが、資金繰りがもつのかという観点で財務政策を考えておく必要性は高いのではないかと思います。特に、最も打撃を受けているのはホテルです。その打撃は計り知れません。キャッシュフローが厳しくなれば、広告費の捻出が難しくなるでしょう。一方、今も新規の獲得を止めることはできないでしょうから、成果報酬媒体の発掘はガムシャラに必要になるかと思います。

また、上場企業においては、PLへの影響は不可避でしょう。少なからず業績の下方修正のような話は出るかと思いますが、受注残が変わらなければ本質的なインパクトは無いと言って良いでしょうから、キャッシュの心配がなければ、短期の売上利益減に右往左往する必要は無いように思います。

・中期は新規見学への影響
我々で調査をする限り、新規見学への影響はあまりないような印象があります。コロナ騒動により、人が集まるリスクを懸念して、結婚式離れが発生するという展開も無きにしも非ずかと心配しましたが、それは杞憂に終わりそうな印象です。未来の業績に最も影響するのは新規成約であることは言うまでもありません。コロナ騒動に右往左往せず、内覧されるお客様へのオモテナシを最大限行うことは必要不可欠でしょう。

逆に、都市部では、ゼクシィ、ハナユメといった大手媒体が予定していたイベントの開催が相次いで休止となっています。いくつかの式場各社からは、その影響で、イベントに行こうと考えていたお客様が無くなったことを理由に、じゃあ見学しようということで来店されるケースも少なくないとのことです。通常の繁忙期閑散期と異なる動きが起きている可能性もあるかもしれません。媒体頼みの集客だと、出稿予定などの機動性に欠ける部分がどうしてもありますが、自社で集客できる手法を確立されている会場はこのようなケースで強みをいかすことができます。自社でコントロールできる範囲を広げておく重要性を再確認するのも良いかと思います。

・長期は持ち前の不況への強さを発揮
コロナ騒動が、かねてから不安視されているリセッション(景気後退)を前倒ししたという見方もあります。世間は不況に陥る可能性がありますが、一方で、カネ余りの世相という側面があるのも事実です。不況に強い結婚式という構造の強みが発揮され、上場企業は投資家の注目を集められる可能性もありますし、予約ビジネスの安定性から金融機関からの借入というでポジティブに作用する可能性もあるのではと踏んでいます。

・超長期は婚姻組数が増えるか否か
コロナ騒動で在宅ワークをスタートした会社が一挙に増えました。リクシィはコロナ以前から在宅ワーク推奨ですが、自宅で子どもがリビングにいる状態で勤務しているママリクシィズもいます。私も子を2人もつ父ですが、自宅で仕事ができるのと、職場に行かなければならないのとで、子育てをする親の負担は明確に変わるでしょう。在宅ワークが当然になることで、子育ての負担感が以前よりも減少し、もしかしたら出産数が増えるということもあるかもしれません。いや、そこまで結論付けられるだけの材料があるとはもちろん申しあげることはできませんが、そのような希望を想像することくらいは許されても良いのではと思います(笑)

おわりに

この原稿が行きわたるタイミングでコロナ騒動が収束しているのか、まだまだ予断を許さない状況が続くのか誰にも分らないところだと思います。実際、結婚式業界にとってポジティブな側面はほとんどなく、このようなことが起こらなければいいのにと願うばかりですが、現実世界はそうも言っていられません。2019年秋の大型台風の記憶もまだまだ新しいところです。このような危機にどう対応すべきなのかのノウハウと、事前に備えておくことが極めて重要でしょう。我々もその役に少しでも立てるよう努めてまいります。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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