石留の爪の厚さなど
彫金をされている方の多くが石留の難しさを経験をされていると思いますが、石留において一番大切なのは、適切な太さと長さです。ツイッターで彫金をされている方の多くが太いつめをそのまま倒しているのをよく見かけますが、細いパーツのロウ付けが難しかったりと、それぞれ理由はありますが、見る限り適切な太さに見えないものばかりです。(失礼な表現になって申し訳ございません)
ジュエリーにおいて爪は宝石を留めるためには大切なものですが、実は宝石を隠してしまう邪魔な存在です。つまりはできるだけ小さい方が良いものですが、小さすぎても強度が無く石がすぐに緩んでしまいます。なのでベストな太さにして曲げる事が大切なのです。
今回はこのペンダントを元に説明していきます。
このペンダントの場合枠と座の間を支える柱としての構造をしているため太くできています。そのためそのまま石に倒そうとするには無理があります。そのため下図Eの部分を削り取って適切な太さにします。
極論を言いますと、このように削ってヤットコで赤の矢印の方向に力を加えると、丁度ガードルの触れる高さから自然と爪は曲がります。そしてその厚みや長さは一番薄く短い状態で一番強く石を抑える事が出来ます。
一番の問題はBCDの長さですが、これは図や寸法で説明できるものではありません。師匠について最初は適切な所迄見本を削ってもらい、それを真似て自分のものにしていくほかありません。力の加え方は倒すというより潰す感じです。そのため図ではかなら斜めにしていますが、ほとんど垂直に近い方向です。
Dがみど回とガードルの下で曲がり始めるため石が欠けます。Cが長いと余分に力が必要になりやはり欠ける元になります。かと言って薄いとバネのような性格が出てきてヤットコで押し付けるのをやめると、爪は反発して浮き上がります。Bが長くてもバネの性格が出てきます。そしてそれらはAの幅により変わってきます。地金の種類によっても変わります。そのため最初は師匠に見本としてやってもらいますが、あとは数をこなして経験を積み、勘をやしなうしかありません。
そんな事を言うと元も子もないような話になってしまいますが、この段階だけは独学では難しいです。敢えてわってもいいような石を揃えて何度も練習すれば独学では無理とは言いませんが。
この絵では余分な太さを削っていますが、そもそも枠単体でこの写真の様に他の構造との関わりが無い場合は、最初から適切な太さの爪を付けます。削るのは本来その分時間が必要になります。つまりは価格にも影響します。なので余分な事をしない為にも適切な太さを見極める事が必要です。それが出来るとできる限り小さな爪でも強度が高い留めが出来るようになります。
この解説は寸法をこれでという解説が出来るものではありません。もし私に相談したい場合はいつでもツイッターのDMでご相談ください。できる限りの手段で応えさせて頂きます。
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