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街でいちばんのアイドルグループ7⃣<前編> NUANCE(ヌュアンス) <NUANCE 80min -RED&BLUE- 12月7日(土) @ 横浜 ReNY β >


街でいちばんのアイドルグループ  7 <前編>

NUANCE 80min -RED&BLUE- 12月7日(土) @ 横浜 ReNY β



スタジアムで試合がある週末は人いきれの関内駅前も、シーズンオフ。
12月も始まったばかりの土曜の午後1時。穏やかで心地良い冬の日。

赤く染った枯葉を踏み、信号を渡りすぐの路地、
横浜ReNY前の狭い歩道には交差する馬車道まで届く長い列。

午後1時半、BARの入口ような扉を抜けると、
まだ新しいフロアが瞬く間に埋まってゆく。

ざわめきの中、目の前を通り関係者口に消えていったスタッフの持つ小さなケースには4本のマイクが納められているのが見えた。

午後2時も間もなくという開演直前、突然ステージ奥から聞こえた、
「ヌュアンス行くぞ!」「おーっ!!」の声に歓声が沸き、
いよいよという空気が満ちる。

聴き慣れたSE「atmos」とともにステージに歩み出る、
眩しく白くドレッシーな姿の4人。
蓮水恭美ちゃん、汐崎初音ちゃん、城戸海月ちゃん、椰子桃子ちゃん。

オルゴールが奏でる2小節、 エピローグを感じるプロローグ。

♪hello, hello, hello & goodbye

幕開けは「白昼ブランコ」

思いもよらない2週間余りで、この日を最高の形にするため
つむぎ続けた新しいヌュアンス。



この日のちょうど3週間前の11月16日土曜日。
横浜ReNYから歩いて10分もかからないJR 桜木町駅。
今日と同じ時間に開放的な駅前のイベント広場で、
横浜を代表するアイドルグループとして大いに盛り上がったピースフルな30分のフリーライブを行ったヌュアンス。

突然の報はその3日後の火曜日。

発表当初5人だったメンバーもややひるむような、半年の時をかけて60分70分と徐々に積み上げたノンストップライブの総決算、
80分のノンストップライブを2本、1日で行うワンマン。

その日が2週間余りに迫る時だった。

緊急に半年かけて5人で組んできたものを4人での歌割りフォーメーションに作り直し、
更に80分2本分の曲数に増やし、ノンストップでおこなう。

Tシャツに目を凝らさないと見えない小ささで書かれた、
ヌュアンス今年一の流行り言葉「たすけて」が言霊になったようなピンチ。 


喪失感と向き合いそして前に進むため、予定していた対バンライブや遠征も行いながらワンマンの準備も進める大変さは、
メンバーが曜日ごとに発信してくれるスペースから伝わってきた。

特にその焦りがにじみ出る加入して半年余りの桃子ちゃんの
「許さない!頑張ってるから!観に来ないと!」のあまりの剣幕とけなげさに、思わずホロりとしつつ声を出して笑ってしまった。

そうして迎えた、この時。



おごそかな「白昼ブランコ」から一転、ギアが入る「bund drive」
フィリップ・ベイリー&フィル・コリンズ、1984年の「イージー・ラヴァー」を意識下においたであろうボトムに乗り、 山下町bundホテルがあった辺りの風景や、映画「モーニングムーンは粗雑に」が浮かぶ。

「きっと誰も皆 奇跡を待ってる」


今日この場所にふさわしいハイライトは思いのほか早く始まった。
関内を舞台にした一途な恋心。 名曲「sekisyo」

勝手知った楽しく切ない思い出の場所で、
新しいヌュアンスの「sekisyo」を観る喜び。

♪馬車道 手をつなぐのは 恋する気持ちの証

自分の曲だと思える「いつだって最高」なひと時。


次々と披露される新体制で初めて観る曲。組み直された歌、動き。
ステージからあふれる熱気を心から楽しみ、凛とした姿に惚れ惚れする。

タイトでスタイリッシュなイントロのダンス、
恭美ちゃんをはじめ、皆艶やかな「コロニアルスタイル」
初音ちゃんが歌い出しを託され、
catch&runで乗りこなす「ハーバームーン」

最近のお気に入りだったファニーでスイートな「カレンダーボーイ」の
早々の新体制披露も嬉しかった。

ニール・セダカ 1960年の「カレンダーガール」のなぜ今な
64年越しのアンサーソング。

可愛らしく指をハートにしてかかげるサビの振り。
桃子ちゃんの♪キスしてあげるからキュンキュンしてください~に合わせて、キュンキュン身悶える役回りになった海月ちゃん。
まだちょっと恥ずかしそうで、チャーミング。

名曲揃いの贅沢なノンストップ。
あっという間に時が過ぎていく、この2週間でつむぎ続けた成果の証。


ラストスパート「ミライサーカス」「特急 元町・中華街行き27分」の畳み掛けに、手をかかげクラップし名を叫び飛び感嘆の声をあげるフロア。

にこやかに歌い踊る恭美ちゃん初音ちゃん海月ちゃん桃子ちゃん。
4人の姿は苦労の影を感じることのない、よく観知る、
いつもの可愛くて素敵なヌュアンスだ。


「この日のような熱い想いを君へ届け」

最後の曲は「wish」


午後3時20分、昼の部の終わり。
もうすでに、この日の成功は遂げられていた。

大きな拍手の中、安堵とまだ夜が待っているという気持ちを感じる
感謝を伝える手短な最後の挨拶。
張り詰めていた気がぬけたように
「なんか~泣いちゃった」と涙腺を緩ませた恭美ちゃん。

日が暮れてからの2部で幾つか取りこぼす事があったとしても
それは取るに足らないものだろうと思える、止まらない80分21曲。

充分すぎる素晴らしい時が、すでに目の前で行われた。

(つづく)





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