HOUDINIで岩のCG動画を作った話
※仕事は一切関係ありません(ちょっとだけ関係します)
この記事は YAMAP エンジニア Advent Calendar 2020 の 20日目の記事となります。
人生には唐突に沸いてくる自分の欲求に答えざるを得ないときがあります。私の場合、今年の夏に「岩の3DのCG動画を作りたい」という謎のモチベーションが高まり、なんとかやり遂げました。
この話です。
実際できたものがこちら。
なぜ作ったか
もう少し詳細に説明すると、「毎年山の日にやっているゴルジェという音楽ジャンルのイベントのトレイラー動画を作りたくなり、コンセプトを考えると岩の動画を作りたくなった」ということです。いろいろ意味は不明ですが、ここを説明すると長くなるのですっ飛ばします。
詳細は以下記事などを参照ください。
当方、Adobe Premierなどで動画編集を少し遊んだくらいで、CG作成はやったことはありません。予算も殆ど無い中で、どう作るか? いろいろ調べました。
HOUDINIに興味を持ち出す
3D CGを作るツールは数多く存在しており、Unity 、Blender、Cinema4Dなどさまざまなやりはあります。設計思想も独自のものがあり、当然のことながらどれでも習得は簡単なものではない、あとお金もかかります。どれか焦点を定めて習得しなければ・・・というときに目に止まったのがこのKAYACさんの記事。
Procedural workflow(プロシージャルな制作方法) 、Node-based workflow(ノードベース)など、「仮説・検証による試行錯誤がやりやすそう」「プログラミングによるアルゴリズミックな発想で作れそう」 ということで興味を持ちました。
実際に作られた動画をいくつかみてみましたが、いわゆる「コンピューター・グラフィックス」然としたギラギラした未来的なCGだけではなく、自然現象を再現したようなナチュラルで落ち着いた表現ができるところに惹かれました。これを身につければいろいろ面白いものが作れそうだ。
テクノロジー×アイディアで自然をもっと楽しいものに、今よりも身近なものに
ということでひたすらいろいろ調べ出します。 絵に描いたようなペーペーなので、まずはこの世界のルールや摂理を知らなければならない。こういうときは何だかんだでアナログな本が役に立ちます。訳が分からないなりに読み続けると、なんとなくその世界を解きほぐす一端が見えてきたりします。
というわけでAmazonで売っているこれらの本を購入。なかなか高価で肝臓が疼きます。
あといろいろ探して、Boothで打っているこの本を買ったのですが、これがとても熱い本で感銘を受けました。
自然現象、アンモナイトや粘菌などの生成アルゴリズムを分析し、それを数式化してHOUDINI上で再現しています。
▲Nature Design with Houdini 〜自然界のアルゴリズムを利用したデザインレシピ集~より引用
買ったときイメージでは「水流や重量などの物理現象のシミュレートをするのかな、と思ったらぜんぜん甘かった。世界の成り立ち方そのものをコンピューター上で表現しているものでした。凄い。
思えば、私が所属しているYAMAP では、「テクノロジー×アイディアで自然をもっと楽しいものに、今よりも身近なものに」というミッションを掲げています。
▲YAMAPのミッション
普段、山を相手にしている我々にとって、「大いなる自然の中にテクノロジーを持ち寄ってどのように活用するか」というイメージを自然に持っていました。
しかしふとここに来て、これも大いなるバイアス=思い込みであることに気づきました。
「テクノロジーの中に大いなる自然を再現する」、そんなテクノロジー×自然のあり方もあるのではないか。
ということでふと思い立った新たなジャンルへの挑戦が、自分の中にあるバイアスを突き崩すきっかけにもなったりするわけです。
そしていよいよ制作へ
と大それたことを言ってみたもののい、実際に作るにはまだまだスキルが足りません。必死で本を漁ったりサンプルのファイルを拝借したりして、少しずつ組み立てていきます。
本格的に作り方を説明するといろいろややこしいので、ここでは概略だけ。
最初にあるのはこんな球(Sphere)です。
Suvdivideでポリゴンを細かく分割します。
attribvopで各ポリゴンをオラオラいじります。岩っぽくなってっきました。
softtransformでもうちょっと自然な感じの岩に変形させ、
最後にテクスチャ貼り付けて完成。
あと、fontノードを使って文字から岩っぽく隆起させたりもしました。この辺の文字も綺麗に扱って、さまざまな表現ができそうな雰囲気があります。
ライティングとカメラワークをつけます。この辺は手動で頑張りました。
完成! レンダリングしてAdobe Premierで編集です。
ちなみにレンダリングがなかなか時間がかかるので、大変でした。この辺はRedshiftなどのレンダリングエンジンを買えばもうちょっと短縮できるのか? まだ謎です。
ちなみに最終的にはロゴ透かしの無い動画をエクスポートするためにHOUDINI INDIEライセンスを購入しなければなりません。3日3晩、一晩中眠って考えましたが、最終的には清水の舞台から飛び降りる覚悟で買いました。書籍と含めるとなかなか出費で背骨が軋みます。しかし、やりたいことがあり、それを実現するための障害がお金ならば、何とか工面するのみ。気合いをいれました。
まとめ
というわけでできあがったのが再びこちら。まだまだクオリティもいまいち、やりたいことの10%も出来ていないものではありますが、まずはアウトプットするのが重要。ということで出してしまいました。
せっかくいろいろ調べて端緒を掴んだので、今後少しずついろいろ作っていきたい。できれば定期的にアウトプットする機会を作りたいなぁと思いつつ、一旦作ってしまって安心してしまった。そこから既に3ヶ月以上過ぎてしまいました。
ということでこの記事を機に、再び3D動画作りにチャレンジして、テクノロジーと自然のあり方の新しい世界を作るのだ・・・! という謎のモチベーションを高めていきたいと思います。
私から以上です。
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