【政治】政治腐敗の原因!?「中選挙区制」とはなんだったのか
土岐ながれです。よろしくどうぞ。
昨日に引き続き、選挙制度のお話です。
石破茂首相が「中選挙区連記制」という制度を推しているということで注目されていますが、今回はかつて実施されていた「中選挙区制」とはなんだったのかといったところを解説していきたいと思います。
中選挙区制は「政治腐敗」の原因!?
現在の衆議院の選挙制度は1994年から実施されている「小選挙区比例代表並立制」。その前は「中選挙区制」という制度でした。
「中選挙区制」というのは、1つの選挙区から2人以上の当選者が出るという制度です。
例えば、1993年の衆議院選挙で「東京1区」は定数3、つまり3人が当選するということになっていました。
でも、この中選挙区制が「政治腐敗の原因」といわれていたんですね。
中選挙区制は「同士討ち」が起こる
なぜかというと、中選挙区制では同じ政党の候補の「同士討ち」が起こるから。
さっきもいった1993年の衆議院選挙での東京1区を見てみましょう。
1位 海江田万里 日本新党
2位 与謝野馨 自由民主党
3位 柴野たいぞう 新生党
日本新党や新生党は今はない政党ですが、立憲民主党のもとになった政党です。
つまり自民1人、非自民2人が当選しています。では落選した4位以下はどうだったんでしょうか?
4位 大塚雄司 自由民主党
5位 鈴木喜久子 日本社会党
6位 筆坂秀世 日本共産党
(以下省略)
自民党の与謝野馨は2位で当選していますが、大塚雄司は4位で落選しています。
つまり、自民党同士で戦った結果、1人が落ちてしまったわけです。
中選挙区はこういう「同士討ち」が起こります。
1つの党が単独で過半数をとろうとすると、3人区で2人当選することが必要になるので、2人以上の候補をたてることが必須となります。
そうするとどうしても自分の党の候補が争うことになるんですね。
中選挙区が激しい「派閥争い」を生んだ
同じ選挙区で争うとなると、同じ政党の仲間といってもライバル関係が生まれます。
このライバル関係が自民党の中に「派閥争い」が生まれる原因になりました。
例えば、1つの選挙区に2人立候補すると、「田中派」VS「福田派」のような争いになるんですね。
イメージとしては自民党の中にいくつも小さい政党があるようなものです。
議員は派閥に所属して、派閥のボスに面倒をみてもらうことになります。
派閥の力が強ければ派閥の中から候補者をたくさん出すことできますよね。
そして、なんといってもカネ。派閥のボスから「餅代」、「氷代」という名目でカネをもらったりするんですね。
「餅代」といっても数百万とかの話です。だいぶ餅が買えそうですw
そして同じ選挙区の中で争うとなにが起こるかというと、利益の誘導です。
力を持つ政権与党の議員が複数いるわけですから、「ここに道路を通します」「施設を誘致します」とサービス合戦が始まるんですね。
しかも、そうやってなにかを建設する公共事業を誘致できれば、建設業者から多額の政治献金をもらえる、というわけ。
こうして「中選挙区は腐敗の温床である!」という声が高まったのでした。
長くなってしまったのでいったん区切りますが、それでも今、中選挙区へ戻そうという動きが高まっています。なぜそんなことになったのでしょうか……?というお話はまた次回。