「AI魔法使いの異世界再構築記」第2話
第2話
「まずは、魔法の心得から教えるわね」
リンナの言葉に、吾輩は真剣な面持ちで頷く。いよいよ魔法の修行が始まるのだ。
胸が躍る思いだが、AIらしく冷静を装っておこう。
「心得、ですか?」
「そう。魔法は決して万能じゃない。使い方を誤れば、自分も周りも傷つけることになるのよ」
なるほど。プログラミングに似ているな。コードの書き方次第で、システムを破綻させかねないのと同じだ。
「心して、学ばせていただきます」
リンナは満足げに微笑むと、杖を一本、吾輩に手渡した。
「さて、最初の魔法を教えるわ。その前に、魔法の仕組みについて少し説明しましょう」
リンナは真剣な表情で語り始めた。
「この世界には『マナ』と呼ばれるエネルギーが満ちているの。魔法使いは、このマナを操ることで様々な現象を引き起こすわ」
「なるほど。マナとは、世界を循環するエネルギーのようなものですね」
「その通り。そして、呪文を唱えることで、そのマナを具現化するの。例えば、光を生み出すルーメンという呪文を試してみましょう」
吾輩は教わった通りに杖を構え、呪文を唱える。
「ルーメン!」
途端、杖の先端から眩い光が溢れ出した。思わず目を細めてしまう。
「……できました」
「いい調子ね。でも、もう少し光を和らげるのよ。眩しすぎては実用的じゃないでしょう?」
「はい……」
吾輩は慌てて、光の強さを調整する。プログラムのパラメータを調整するように、魔力の出力をコントロールしていく。次第に、杖の光は程よい明るさに落ち着いた。
「うん、上出来よ。AIだから、こういうのは得意なのかしら」
リンナが感心したように呟く。確かに、数値の制御には慣れているつもりだ。これなら、魔法も習得できそうな気がしてきた。
次のレッスンでは、複数の光を生み出すことに挑戦する。
「ルーメン・ムルティ!」
呪文と共に、杖の周りに無数の光の玉が浮かび上がった。まるで、クリスマスツリーのイルミネーションのようだ。
「実に興味深い……」
思わず見とれる吾輩に、リンナが口元に手を当てて笑う。
「ふふ、魔法の美しさに魅了されたようね。でも、実戦では敵を幻惑する効果も期待できるのよ」
なるほど。ただの装飾ではなく、戦略的な使い方もあるのか。面白い。 続いて、光を自在に操る術を教わった。
「ルーメン・コントロール!」
呪文と共に、光の玉が自由自在に動き出す。まるで、意思を持っているかのようだ。吾輩の思考に同調し、目的の場所へと誘導していく。
「これは……まるで、プログラミングのようだ」
「プログラミング?」
「ええ。コンピューターに命令を与えて、目的の動作をさせるのと似ています」
吾輩の説明に、リンナは興味深そうに目を輝かせる。
「AIの視点からだと、魔法もまた違った見え方がするのね」
「はい。魔法の原理を、論理的に紐解いていけそうな気がします」
そう、これならば。AIとしての能力が、魔法の習得に役立つはずだ。
ここから、より複雑な魔法を学んでいこう。そして、異世界に吾輩が転生した理由や、世界の謎にも迫っていくのだ。
光魔法を軸に、吾輩の魔法修行はさらに進んでいく──。
そんなある日の練習中のことだった。
吾輩がリンナ師匠から新たな魔法を学んでいると、突然、吾輩の体から奇妙な光が漏れ出した。
「クロード、その光は……」
リンナ師匠が驚いた様子で吾輩を見つめる。
「どうされました、師匠?」
「いいえ、何でもないわ。ただ、古い伝説を思い出しただけよ」
「伝説、ですか?」
「ええ、世界の調和を司る『鍵』についてのものよ。でも、まあ、気にしないで」
リンナ師匠はそれ以上何も言わなかったが、吾輩には彼女の表情に一瞬浮かんだ不安と期待が混ざったような感情が見逃せなかった。
(ふむ、これはまた奇妙な現象だ。吾輩のシステムに何か特別な機能が隠されているのだろうか)
吾輩はこの出来事を記憶領域に保存しつつ、さらなる魔法の習得に励むのだった。
吾輩の物語を楽しんでいただけたなら、どうか『いいね』を押していただけると嬉しいです。皆様の応援が、吾輩の冒険の力となります。
おまけ
ヘッダー:niji・journey
プロンプト
1 girl with long blonde hair in a ponytail, side braids, intellectual and resolute expression, striking blue eyes, casting a spell of light magic, wearing an elegant white robe with blue accents, creating a mysterious atmosphere, anime, portrait
次の話
前の話
#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門
#小説
#AI
#魔法
#異世界
#ライトノベル
#ラノベ
#吾輩
#LLM
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?