第33回 大会・ファイターの観点から環境の変化を見る
こんにちは、Tokiです。最近はスマバトがメジャー認定されたこともあり、国内のスマブラの中心地は関西になったんじゃないかと噂を…聞いたわけではありませんが、関西の存在感は最近増しているのは間違いないです。
また最近のリザルトを見ていると単ファイターが多いように感じました。一昔前はダブルメインやサブ運用が安定する上では必須と言われていたような気がしていましたが、最近の最上位勢は単ファイター使いが多いんじゃないかと。ついでに環境の移り変わりも調べられたらなと思いました。
そこで今回は2021年~2024年にかけてのメジャー大会数とそのリザルト入賞ファイターを集計することで、日本のスマブラSPの環境の変化を分析していきます。
本記事はいつもの倍くらいの文字量となっているので、時間のある時に読むことをお勧めします。
また、本記事はスマブラ Advent Calendar 2024の12月9日の記事になります。私の記事を始めてみる方に向けて簡単な自己紹介をすると、普段は日本ランキングJapan Smash Rankingを作成したり、スマブラ界隈や最上位勢の分析を行っています。
本記事作成時は12月3日なのですが、6日のPUPAさんの記事は間違いなく神記事なので、競技シーンを見ている人は必ず読みましょう。
あとは12月22日のうってぃーさんの名ポップオフ。オフ大会はこれがあるから現地に足を運ぶ価値がある。これも楽しみ。
前日の12月8日はおそとさんの「エンジェランドと向き合おう」でした。私は基本競技シーンでしかスマブラを見ていなかったのでバカでかいステージがあるくらいとしか把握していませんでしたが、ステージ一つに対してここまで記事をかけるものなのかと感心しました。
本記事の流れは以下の通りです。
第32回、第30回のデータも一部使用しています。
興味のある方はご覧ください。
前提条件
対象大会条件
集計期間は2021年~2024年に開催されたオープン制国内メジャー大会です。Liquipediaがメジャーとしている大会を対象としています。(2024年は第53回スマバトSPまで)
期間選定理由
EVO Japan 2020やGenesis 7,Frostbite 2020を最後に疫病流行によりオフラインの競技シーンが途絶えていましたが、2021年はオフ大会が復活し始めました。それ以降は継続的に大会が開催されいているので、2021年以降を対象としています。
1.メジャー大会数から見る環境の変化
1-1 国内外のメジャー大会開催数の推移
こちらは国内外のメジャー大会開催数を示しており、青が日本、灰色が海外です。
これを見ると明らかに日本の占めるメジャー大会の割合が高くなっており、メジャー大会開催数の観点だけで見ると世界(主にNA)中心から日本中心となっています。
このようになった要因は以下の3つが考えられます。
1.遠征勢による日本勢の評価
現在もそうですが、特に2021年から2022年にかけて多くの海外大会に日本人選手が招待され、好成績を残してきました。
そして海外遠征した選手が国内大会に出場し、海外遠征していない選手が活躍することで、海外遠征していない日本勢も評価されるようになります。
さらに継続的に大規模大会が開催されているためこれまでメジャー認定されていなかった大会も多くの強豪が参加している大会とされ、メジャー認定されるという流れとなっています。
最もわかりやすい例がスマバトSPで、関東では西武撃が同様に以前はメジャー認定されていなかったのが、メジャー大会となることが多くなりました。
2.国内大規模大会の増加
こちらはスマブラSPが発売されてから今日までの大会数をまとめたものです。2023年から大規模大会は多く開催され続けており、2024年下半期も大規模大会は30大会程度開催されることが予想されます。
2023年上半期をピークに大規模大会数は落ち着きを見せていますが、依然として多くの大規模大会が開催され続けているため、その中のどれかが新たなメジャー大会となる可能性もあります。
3.NAの大規模大会の減少及びTierの低下
2022年に起きたSWT中止に伴うVGBC主催大会の中止(GlitchシリーズやDouble Down)、Panda Globalの事実上解散、以前から開催されていた権威ある大会のCEOやThe Big Houseがメジャー認定されない、Crown the fourthやDelfino Maza 2024が中止になる等、海外大会事情があまり好調でないことも海外メジャー大会の数が減少の要因の一つです。
1-2 関東・関西に注目した国内メジャー大会数の推移
こちらは関東と関西で開催されたメジャー大会数です。
これを見ると関西の比率が徐々に高くなっており、2024年には関東のメジャー大会数を超えました。このことからも国内メジャー大会は関東から関西に比重が偏ってきており、その傾向は今後も継続すると予想されます。
その要因として以下の3つが考えられます。
1.関東で大会会場を抑えるのが困難
ウメブラスタッフのぶれどんさんの記事にも以下のような記載があります。
他にもアユハさんや関東のオフ大会スタッフの方の話でも関東で会場を抑えるのが難しいという話をよく聞きます。
このことからスマバトのような定期的な大会開催が関東では難しいというのもあるようです。
2.定期開催のスマバトがメジャー認定
一時期海外勢から騒がれていましたが、月一で384人規模の大会が開催しており、強豪も毎月集っているので順当な結果と言えます。スマバトが毎回メジャー認定されるとは限りませんが、仮に毎回メジャー認定されるとなると毎シーズンで6回はメジャー大会が開催されることになります。
3.マエスマ'TOPや桜梅桃李などの大型大会が今後定期的に開催される可能性
2025年1月4,5日に開催されるマエスマ’TOP#1ですが、以前のマエスマTOPシリーズのように定期的に開催されるとなると、現在以上に関西のメジャー大会比率が高くなると考えられます。
2024年ではマエスマ'シリーズはマエスマ’GWとマエスマ’U22の2大会で、さらに今回は#1とナンバリングされているため、今後も開催されるのではないかと期待できます。
さらに2024年に新規で立ち上げられた、桜梅桃李シリーズも現在B+とメジャーの一歩手前のTierのため、今後メジャー認定される可能性も期待されます。
1-3 今後のメジャー大会開催状況の予想
これまでに述べているように今後の国内大会における存在感は関西がより増していくのは間違いないかと考えられます。
ただし、スーパーメジャー(S Tier)以上の大会は依然として関東中心となっています。(関西は九龍スマバトと第51回スマバトSPのみ、関東はウメブラ、篝火、DELTAの6大会)
そして先日開催されたUltCore Fourthが恐らく関東・関西以外で初めてS Tier以上と認定されました。(過去地方で開催された高Tier大会はUltCore ThirdがA+,九龍5がA)
メジャー大会はもちろん、スーパーメジャー大会も地方で開催される可能性はあるため、今後は地方大会でもメジャー大会が開催されることを期待できます。
2.国内メジャー大会リザルト入賞ファイターから見る環境の変化
2-1 単ファイター/複数ファイターの割合の変化
こちらはメジャー大会でリザルト入賞者の単ファイターと複数ファイターの割合を示したもので、青が単ファイター使い、灰色が複数ファイター使いの割合です。
これを見ると2022年をピークに2024年の現在まで複数ファイター使いは減少しています。2022年まではスマFor時代から最前線にいる選手(zackray選手、Shuton選手、KEN選手、Tea選手、Kameme選手等)を代表に複数ファイターを持っていることが多く見られました。
現在最上位にいる選手(らる選手、Hurt選手、ドラ右選手、たまPだいふく選手、あしも選手)等単ファイターで上り詰めている選手もいます。
もちろん、あcola選手やミーヤー選手、スノー選手など新規の選手で複数ファイターを使っている選手もいますが、最近は単ファイターを極める選手の方が多いようです。
関東 関西の単/複数ファイター割合
これを見ると2022年は関西の方が複数ファイター使いの割合が高く、それ以降は関西の方が単ファイター使いの割合が高くなっています。
関東は2023年と2024年で単ファイター使いの割合に違いはありませんが、関西は2024年のほうが単ファイター使いの割合が増加しています。
関西は日本全体のトレンドをより濃くしたようになっています。関西の傾向が日本全体に普及しているのかもしれませんが…
2-2 国内リザルト入賞ファイターの推移
こちらはファイター毎のメジャー大会リザルト入賞回数TOP20をまとめたものです。TOP20しか載せていませんが、以下のリンクに全てまとまっていますので気になる方はご覧ください。
これらを見ると以下の点がわかります。
2021年~2022年はミェンミェンが環境トップで2023年からはスティーブが環境トップ
2023年は立ち回りファイターも環境上位に多かったが、2024年には火力ファイターが環境トップを占めるように
上位ファイターは多くの選手がサブとして起用しているファイターが多い
大前提として2021年と2022年はメジャー大会数が5大会と8大会で特定の個人の影響が大きく出ています。以下に特徴的な部分に触れていきます。
2021年 セフィロス
現在は使い手の少ないセフィロスが2021年に上位にいる理由ですが、2020年末に参戦したばかりで、当時はサブとして多くの選手が起用していました。
(ぱせりまん選手 Lea選手 まさし選手 kameme選手 YOC選手)
どの選手も現在は使用していません。
2022年 シーク
順位上では2位と環境トップと言えますが、2022年は大会数が8大会で個人の影響が色濃く反映しています。ただし環境的にミェンミェンがトップだったため、環境的にも風向きは良好であった。
現在大会参加数が減っているkameme選手やEim選手 sylph選手がリザルト入賞しており、篝火#6ではzackray選手 kameme選手 sylph選手3人がベスト8と最も輝いていた時代とも言えます。(篝火#7であcolaスティーブが優勝し、スティーブ時代が開幕)
2023年 クラウド
メインとして使用していたのはYOC選手だが、サブとして多くの選手が起用していました。(Nao選手 ツナ選手 TKM選手 Rizeasu選手 Yaura選手)
2023年 Mr.ゲーム&ウォッチ スティーブ
あcola選手とミーヤー選手という超新星の登場と共に環境トップに。スティーブに関しては多くの選手が使用し始め、2021年には2回しかリザルト入りしていなかったが、2022年には3位に台頭し2023年からは環境トップに。
ディディーコング ホムラ&ヒカリ
両者ともにメインとしての起用ももちろんあるが、2021年から2024年にかけてサブとして数多くの選手の手持ちに常に存在。
2024年には大火力時代の到来。詳細は第32回をご覧ください。
2-3 関東・関西のリザルト入賞ファイターの違い
これらは2022年~2024年の関東と関西のメジャー大会リザルト入賞ファイターです。
ここでは2024年について触れていきます。
2024年ではスマバトがメジャー判定となったため、関西の傾向が全体の傾向に反映されています。
関東ではホムラ&ヒカリ、ロボット、ピクミン&オリマーが多く、関西ではファルコ、カズヤ、ルイージ、ドンキーコング、ロイ、ミェンミェンが多く、関西は関東と比較して押し付けが強い、高火力ファイターがトレンドであると言えます。
まとめ
今回メジャー大会数とリザルト入賞ファイターの推移を見てきて得られた知見は以下の通りです。
大会数から見る環境の推移
世界中心の環境から日本中心の環境へと変化
国内の状況としてはメジャー大会数では関西に偏ってきており、競技シーンにおける関西の存在感は今後も増していくことが予想される。
ただしスーパーメジャー以上の世界最高峰のレベルの大会は依然として関東が中心のままである。
今後関東・関西以外でのメジャー大会開催も期待される。
国内メジャー大会リザルト入賞ファイターから見る環境の推移
2022年をピークに複数ファイターの割合は減り、今は単ファイターがトレンド。特に関西はその時のトレンドをより色濃くした環境で、ファイター的にも関西の影響が増している。
2021年~2022年にかけてはミェンミェンが環境トップで2023年~2024年ではスティーブが環境トップ
どのときでもディディーコングとホムラ&ヒカリは環境上位に存在
関西は押し付けの強い、高火力ファイターがトレンド
終わりに
今回は普段だったら2本分にするような内容を1本の記事にしたため、長かったかと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回集計したデータは以下のスプレッドシードにまとめているので、より詳細に興味のある方はご覧ください。
今回の記事はスマブラ Advent Calendar 2024の一環で作成したものです。こんな長い記事書いてる人多分いないんじゃないかと思います。
次回はニーシャさんの「大会カメラマンを始めて1年が経ちました」です。ニーシャさんは主に関西で活動している方です。関西オフに行く方はもちろん、そうでない方も是非ご覧ください。
自分の記事より堅苦しくなくて、読みやすい文章量になってると思います。
ここまで見てくださってありがとうございました。よければ今後もスマブラに関する分析を行っていく予定なのでフォローをしてくださるとうれしいです。
また、何か質問やリクエスト、さらなる分析・考察がありましたらコメントをくれるとありがたいです。