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NFT、5月は取引高が10億ドルを割る見込み──だが、そもそも重要な指標か

NFT市場は進化を続けており、その成功の判断は、参照する指標に左右される。

Web3データプラットフォームのDappRadarが5月18日に発表したレポートによれば、NFTの5月の取引高はこれまでのところ、3億3300万ドル(約44億6000万円、1ドル135円換算)と、今年初めて、月次取引高が10億ドルを下回ろうとしている。

対照的に取引件数は230万件にのぼり、NFTを扱った週あたりのアクティブウォレット数は、注目に値する増加を示している。

取引高は低迷、取引数は上昇

DappRadarのブロックチェーンアナリスト、サラ・ゲルゲラス(Sara Gherghelas)氏によれば、先月をはるかに下回っている取引高とは対照的に、NFT取引数は、先月の数字に匹敵、あるいはそれを上回る勢い。ゲルゲラス氏の見解では、これは市場に、より小口の取引を行うNFTトレーダーが、より多く存在しているサインかもしれない。

レポートによれば、NFT関連のアクティビティと結びつけられたユニーク・アクティブウォレット数は5月、27%増加。その理由は、イーロン・マスク氏がその価格上昇に大きく貢献したNFTコレクション「Miladys」と、高騰したペペコイン(PEPE)の利益がNFT市場に還元されたことにあるという。こうした状況を受けてオンチェーンアクティビティが増加し、イーサリアムのガス代(取引手数料)は高騰している。

全体としてはイーサリアムブロックチェーンが取引高でNFT市場を牽引し続けているが、ソラナ(Solana)やポリゴン(Polygon)など、他のブロックチェーンがNFT取引数ではイーサリアムを上回っている。DappRadarによれば、NFT取引の26.9%がポリゴン、13%がソラナで行われている。

「NFT取引数については、イーサリアムの(市場)占有率はわずか5.7%まで落ち込み、イーサリアムは主に大口のセールスに使われていることを示している。イーサリアムは『NFT上流階級』に選ばれるプラットフォームというポジション」とレポートは指摘している。

また、BlurとOpenSeaは、NFTマーケットプレースのNo.1ポジションをめぐって競い合っているが、それぞれ異なる得意分野を持っているという。

Blurは5月の取引高が約1億8100万ドルと、取引高ではOpenSeaを大幅に上回っている。その主な要因は、報酬キャンペーン「Season 2」の開始と、独自レンディングプロトコル「Blend」のローンチだ。しかしOpenSeaは依然として、BlurよりもアクティブなNFTトレーダーの数が多く、メインストリームユーザーの間では優勢なことがうかがえる。

データの意味は?

これらのデータは結局のところ、何を意味するのだろう?

取引高はNFT市場の成功を測る重要な指標だが、その数字は、特にBlurのようなプラットフォームで報酬を獲得しようとするコレクターたちの間でのウォッシュトレード(売り手と買い手が同じ、あるいは両者が共謀している取引)のせいで正確さを欠くケースもあるとゲルゲラス氏は指摘する。

「Blurで相場操縦が見られた。人々はBlurのプラットフォームを使って(Blurトークン)をファーミングし、エアドロップに参加している」(ゲルゲラス氏)

さらにゲルゲラス氏によれば、Blurは自社プラットフォーム上でのアクティブトレーダー数はそれほど重要視していない。多額の資金を持ち、多様なポートフォリオを抱えた、より少数のプロトレーダーをターゲットにしている。

「Blurを現在使う人は、高価なNFTを買う人たちで、彼らがターゲット層だ。(プロ向けプラットフォームは)多額のマネーを必要としており、より多くのユーザーを取り込むことに気を取られていない」(ゲルゲラス氏)

他のデータもゲルゲラス氏の見立てを裏付けている。ブロックチェーン分析企業ナンセン(Nansen)は3月、当時のBlurでの取引高の多くが、100人のトップNFTトレーダーによるものだとツイートした。

「現在、Blurの取引高の46%は、100人のトップNFTトレーダーによるものだ。

BlurとOpenSeaだけを見ると、取引高の86%がBlur。Blurの取引高での優勢は、2月14日のBLURエアドロップ/トークンローンチと、Season2報酬キャンペーンの開始後に明白になった」

取引高はそもそも重要か

それでもゲルゲラス氏は、文脈を考慮する限り、取引高は重要な指標だと語る。

「取引高は、ある時点でNFT市場でどれくらいの資金が動いているかを正確に測るための非常に重要な指標だと考えている。強気相場では、大きな取引高は多くの人が市場に参入していること、人々が熱狂していることを意味する。たくさんの利益をあげられたかもしれない」(ゲルゲラス氏)

「現在、取引高が低下しているにもかかわらず、取引数が増えていることは、トレーダーの数は変わらないが、その行動が変化していることを意味している」とゲルゲラス氏は続けた。

さらにゲルゲラス氏によれば、取引高を見るときには、どのようなタイプのNFTの話をしているかが重要で、メタバースプラットフォームの不動産の取引と、アート作品のNFTコレクションの取引では話は異なっているという。

「メタバース関連の取引高は、まったく異なるトピックだと思う。これに関しては、不動産の実用性と取引高がイコールの関係にあり、それが利益にも直結するため、取引高は重要だ。1つのエコシステム、新しいエコノミーだ」とゲルゲラス氏は述べた。

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