トークン化の成長は流通市場の発展次第:ムーディーズ
ブロックチェーンを利用した流通市場の発展は、伝統的な市場におけるトークン化の普及を改善するのに役立つ可能性がある。ムーディーズが新しく発表したレポートで述べた。
流通市場は不足しているものの、アナリストは成長に注目している。
ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)のアナリストらは18日に発表したレポートで、ブロックチェーンを利用した流通市場はトークン化資産のリーチ(広がり)を拡大するのに役立つ可能性があると述べた。
トークン化とは現実資産(RWA)をブロックチェーン上で表現するものであり、世界各地の金融機関が、トークン化によっていかに金融市場の効率やコスト、リーチを改善できるかを模索している。たとえば、トークン化によりプライベート・エクイティや不動産などの大規模な資産を分割して複数のトークンで表すことができるようになり、より幅広い投資家に市場が開かれることになるとムーディーズは以前のレポートで指摘していた。
金融機関や政府は、昨年の香港の1億ドル(約155億円、1ドル155円換算)のグリーンボンドなど、トークン化資産の発行に手を出し始めているが、募集後にそれらを取引できる流通市場が不足しているとムーディーズのアナリストは指摘した。
今回のレポートは、これはトークン化の普及を妨げるとした上で、ブロックチェーンを利用した流通市場で顕著な成長が見られると述べた。
レポートは、ブロックチェーンとトークン化は「流通市場の構造に重大なイノベーション」をもたらすものであり、ブロックチェーンベースの証券の流通市場を開発することで、流動性管理が改善され、市場データへのアクセスが強化され、即時決済が促進される可能性があるとしている。
「こうしたブロックチェーンを利用した流通市場は、特定の資産クラスへのアクセスが制限されていること、決済プロセスの非効率性、運営コストの高さなど、従来の流通市場で認識されているいくつかの欠点に対処するものだ」とレポートは指摘した。
こうしたブロックチェーン市場はイノベーションを約束しているものの、技術的なハードルや規制上のハードルもあるとレポートは警鐘を鳴らした。
「こうした市場を支えるテクノロジー、主にスマートコントラクトは、バグ、ラグプル、価格操作、オラクルの失敗などのリスクに敏感だ。こうした脆弱性は、参加者に金融上のリスクをもたらすだけでなく、(分散型金融の)より幅広い受け入れと統合を妨げるものだ」と説明されている。
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