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足早な秋、紅葉と牡蠣。

夏が長く、まだかまだかと待ちわびていたら、気温が急激に下がり、2024年の秋は足早に通りすぎてゆきます。

それでもようやく秋らしく、鮮やかに色づく紅葉を見ることができました。


🍂駆け足の秋とおうちごはん

ただこの景色を見たその夜に、今季初めての暖房を使うことになるとは。もはや朝晩の冷え込みは、完全に冬の空気感。

自分の中で紅葉は暑い夏がすぎ、すごしやすい秋の風景だという感覚があるので、冷房も暖房もいらない、夏と冬の間の季節のイメージなんですよね。

それこそが、季節でいうと秋だと思うのですが、ことしはあんまり、心地いい涼しさを感じる日がなかったなぁ。

でも冷えれば冷えたなりに、おうちごはんには楽しみがあります。今夜はこれ。

温まる洋食、グラタンにします。具にするのはカキ、そして定番の組み合わせ、ほうれん草とベーコンです。

🌿主張するフローレンス

ほうれん草を使う料理は、フローレンス風という名前になりますが、このメニューもフローレンス風グラタンという名前で呼ばれます。

フローレンスはほうれん草の産地、イタリアのフィレンツェの英語読み。メインの食材が牡蠣でも、ほうれん草がはいると、呼び名はフローレンス風グラタン。ほうれん草って、意外と主張が強いのかもしれません。

まずはそのほうれん草の下ごしらえ。

ざくざくと切り分けます。

さっと茹でて、冷水にさらしてよく絞っておきます。

🦪Rと牡蠣の関係

牡蠣は冬の食材というイメージがありますが、この時期にはすでに、スーパーの棚に普通に並んで売られてますよね。

そういえば牡蠣の旬を表すのに、英語の月の呼び名をもとにして、“R”のつく月は牡蠣の時期、というのがあります。

どういうことかというと、その秘密は各月を表す英単語。年のはじめ1月はJanuary。2月はFebruary、3月はMarchと、スペルにどれも“R”がはいります。

その調子で12ヶ月を英語で綴ってみると、Rがないのは5月のMayにはじまって、6月June、7月July、8月August。夏場を中心に、4ヶ月続いてRなしの月が続きます。そして9月のSeptemberから、またRがスペルに登場。そのまま冬を越して、4月のAprilを迎えるというわけです。

いまは夏牡蠣なんていうのも普通ですが、もともとは、冬のみではなく、真夏以外が旬の食材だったということでしょうか。

🦪グラタン準備

ともあれ、いまは秋の終わり、冬の入口。牡蠣を楽しむ、おうちごはんのスタートです。

牡蠣と合わせるのは、ほうれん草、ベーコンにしめじ。これをグラタンにしていきます。

🔥牡蠣を焼いて旨味をたっぷり

まずは牡蠣をバターソテー。

ぷっくりと膨らんできたら、いい頃合いです。

加熱すると張りが出て、いうならば背筋を伸ばしたような感じになりますね。

🥓旨味を逃さず、まとわせる

牡蠣を焼いたあとのお鍋に、下茹でして絞ったほうれん草、ベーコン、しめじをいれて炒めます。

お鍋に残った牡蠣の旨味、逃す手はありません。しっかりとまとわせて、こしょうをたっぷり。

耐熱皿に具材が勢揃いの図。

🥛ホワイトソースは怖くない

続いてホワイトソースをつくっていきます。

バターと粉をいれたお鍋を火にかけます。

我が家は常備しているのが天ぷら粉なので、それを使いますが、もちろん小麦粉でもOKです。

全体がなじんだら、火からおろして冷まします。

完全に冷めたら、牛乳をすこしずつ加えながら、溶きのばしていきます。

家でつくるのが難しいといわれがちなホワイトソースですが、炒めた粉をしっかり冷ましてから、牛乳を加えるとダマができにくく、うまくつくりやすいです。この方法なら怖れる必要はなし。

牛乳でのばしたあと、もう一度弱火にかけて加熱することで、ぽってりしたとろみのあるソースを目指します。

とろみが出てきたら、こしょうをぱっぱっ。

🧀Wチーズで焼き上げます

耐熱皿の具の上を覆うように、敷き詰めます。

今回はおつまみ仕様なので、いわゆる炭水化物系はいれていませんが、バターライスを敷けばドリアにもなるし、マカロニなどのショートパスタをいれるてボリュームを出すのもありですね。

ソースの上にスライスチーズを載せて、その上から粉チーズと刻みパセリを散らします。あとはオーブントースターで焼きあげるだけ。

7〜8分焼いて、表面においしそうな焼き色がついたら、完成です。

こんがりときつね色に焼けた部分は、焼く直前に振りかけた粉チーズ。いい仕事してます。この焼き色、そそられますよね。

🥄熱いうちにはふはふと

さあ、熱いうちに。はふはふいいながら食べるのが、グラタンの魅力のひとつです。

スプーンをぐさっと差し込んで、まずはメインの牡蠣をいきたい。どこだ、どこだ、牡蠣はいずこへ。

おっ、発見。ぷっくり、ぷくぷく、つやつやした牡蠣をベーコン、ほうれん草、しめじも一緒にホワイトソースにからめていただきます。

ぱくり。はふはふ。これこれ、たまりません。まろやかなソースに、旨味たっぷりジューシーな牡蠣。ベーコンの塩っ気もいい感じ。

ホワイトソースに包まれた牡蠣と、ほうれん草の緑のコントラストも鮮やかです。

🥛ミックスジュースの功名

実は牛乳をそのまま飲むのが苦手で、ふだんは冷蔵庫に常備していることはありません。なのでホワイトソースをつくるとき、わざわざ買いにいくことにるのですが、ことしは夏の間にふと飲みたくなってミックスジュースをつくったんです。

関西出身の自分にとっては懐かしい味で、それ以来、ときどき朝飲むことがあって、それ用の牛乳が冷蔵庫にいることもあります。今回もそんな買い置きが役に立ってくれました。

🍁心呼ばれる風景

11月も残すところきょうを含めてもあと4日。12月になれば、いよいよシーズンは冬。

この紅葉を楽しめるのも、もうしばらくでしょうか。

季節や気温の環境は、年々変化しています。子どもの頃に感じていた春や秋は、夏と冬に吸収されてしまったような気候がここ数年続いている気がします。

それでも春になれば桜が咲くし、秋なれば木々が色づきます。そんな四季のある風景に、心が呼ばれるようになったのは、いつ頃からだろうと思うことがあります。

👣ただ歩くことで見えるもの

そして導き出したのは、数年前の外出制限、在宅勤務、ライフスタイルが一変したあの時期がターニングポイントだったんじゃないかという答。

あの時期以前は、遊びにいくというと、もっと物質的な目的、人工物への興味、演出への期待が中心でした。

たとえば遊園地、ショッピング、おしゃれなレストラン、映画にスポーツ観戦。いわゆるイベント的なものが遊びであり、その分毎週そういうわけにもいかず、休日にもオンとオフのようなものがあった気がします。

それが大騒ぎすること、飲みにいくこと、いほんなものに制約が生まれ、そして通勤もなくなったことで陥った運動不足という必然の結果。そういう要素がクロスして、自分の中にウォーキングというと習慣ができました。

🦪かき、春夏秋冬

ただ歩くだけなんて、なにが楽しいんだろうと思っていた自分には大きな変化です。その習慣を支えてくれたのが、歩くからこそ目にはいる風景や建築物でした。

車や電車、箱の中にはいって、その走る速度に合わせて移動するときには見えなかったものが、その存在をあらわにしてきたのです。その中でも、自然は大きなものでした。なぜならそれまでは、単なる公園や寺社仏閣のような、イベント性のない場所をあえて目指すことはなかったから。

歩くことで知ったものは、それまでと比べると、自然の要素に影響されるものが多いように思います。そんなわけで、この時期は紅葉を見たいなぁと思うようになりました。

そういえば“かき”って、日本語ではいろんな意味を持ってますよね。牡蠣は冬、柿は秋、春に花が咲けば花器も使うかもしれません。夏季と夏期は夏のシーズンそのものです。

ことしも夏季が過ぎ、柿の季節が訪れています。そして牡蠣は、これからますます盛りを迎えることに。かきという言葉の春夏秋冬。紅葉を見ながら、そんなことを思うのでした。

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tokeiya
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