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個展の開催とシャララ舎さんのこと

今年もGW時期恒例、4.28〜5.30でシャララ舎さんでの個展を予定しているので、例年であれば既にご住所をいただいている方へのダイレクトメールの発送が完了している時期になりました。

が、今年はWebおよびSNSでの告知のみでまだDM発送ができずにいます。

昨今の状況を踏まえて、先々のことを早めに告知してしまうと、万が一感染拡大状況が悪化した場合ご予定を組んでいただいたお客様にご迷惑がかかってしまう心配があるためです。

この先、状況を見ながら発送をしたいと思っています。ご予定もおありかと思いますが、ご理解いただけましたら幸いです。

また、今回会場のシャララ舎さんは少し不思議な、一般的なカフェとは違う性格のある、特別な時間を過ごすための喫茶室で、その地下ギャラリーでの開催になるため、今回の記事は「私の知っているシャララ舎さんのこと」をここにまとめておきたいと思います。



シャララ舎さんとのお付き合いは2014年の年末に遡ります。
当時私はまだ作家活動を初めて2年足らずの駆け出しで、都内のカフェや東急ハンズ、デザフェスや博物ふぇすてぃばるなどにも出展していました。

シャララ舎さんは私の作品にご興味を持ってくださり、実際に展示を見にきてくださって作品をお求めいただき、その後店舗に作品を置いてもらえないかとのお話をいただきました。

その頃はまだシャララ舎さんの店舗は本八幡にあって、初めて訪れた時にはその可愛らしい店がまえに心躍ったものです。

(2014年当時のシャララ舎の本八幡の店舗)

たまたま物件を借りたときにそこにあったという井戸はそのままに、住宅街に突然夢のように現れる静かなお店。
ドアを開けると色とりどりの琥珀糖が並ぶガラステーブルと、そのときに置かれていた作家作品は橋本洋美さんの絵だけでした。橋下さんの青くまどろむ夢の世界と相まって、そこだけ時の流れが違うような、不思議な空間でした。



琥珀糖は今では石を模したものも多々見かけるようになりましたが、私がシャララ舎さんを知った2014年当時にはまだ現代的なバリエーションも多くなく、私自身琥珀糖といえばお茶席で出されるお干菓子のイメージだったので、シャララ舎さんの琥珀糖との出会いは驚きの連続でした。

色や形が可愛らしいのはもちろんですが、何より、使用するリキュールや果汁に拘って作られているので味や香りがとてもしっかりしていて、和菓子のイメージが覆りました。

また、そのこだわりをあまり声高にいうこともなく、シャイなシャララ舎さんはニコニコしながら「いいものは大きな声で言わなくたってきっと伝わりますよ」というだけで、その誠実さもまたとても好ましいなと思ったりしたのでした。


そんな琥珀糖専門店のシャララ舎さんで毎年5月に私が個展を開催するたびに石の話をしているうちに、個展に合わせて私の割った石を象った蛍石モチーフの琥珀糖がお店に並ぶようになったり、石そっくりの琥珀糖がどんどん作れられて行ったりと常にチャレンジを続けるシャララ舎さんの冒険心にもまた、良い刺激を常にもらってきました。


本八幡にある頃、まだ初期の頃は自家焙煎のコーヒーがいただける日は限られていたのですが、その珈琲屋さんが専属になって喫茶部門をさらにバージョンアップしていったりと進化を遂げた頃、それまでの本八幡の店舗を離れて笹塚へ移転が決まりました。

(現在のシャララ舎、笹塚の店舗の外観)

この辺りで喫茶室のルールが少しづつ定まって、琥珀糖の販売部ではおしゃべりはできますが、喫茶室内はとても静かなひと時を過ごすための空間となりました。

会話ができない、というと一見窮屈に聞こえますが、実際にはゆったりとした音楽が流れ、珈琲の芳しい香りとかわいい琥珀糖をお供に、おひとり様ずつ仕切られた席にてゆっくりと静かで豊かな空間を安心して楽しめるお店になったわけです。
SNSなどの、常に他人の声に耳を傾けながら生きているような現代人にとっては稀有な空間だと思います。




また、この店舗には琥珀糖の販売部はもちろん、店主自身が選び徐々に増えていった作家ものの販売や、珈琲の焙煎室の他に、なんと喫茶室の中に小さな小さな地下室があってそこをギャラリーとして利用できることになりました。
私のように、石を光らせるなど、光の入る作品にはこれ以上ないくらいうってつけの空間で、とても静かにのんびりと作品を見ていただける機会は他ではなかなかありません。


地下室には光る作品がずらりと並び、声もなく光る石たちと、訪れたお客様との静かな対話には邪魔する騒音もなく、ゆったりとした時間だけが流れています。

そうした環境を愛する人は徐々に増え続け、今ではここが「会話はできない喫茶室」というよりは「会話する必要などない、贅沢な静寂を嗜むための喫茶室」となっています。

豊かな孤独、という言葉を連想するのはまさにこのような場所のことで、常に様々な雑音に塗れて生きている現代人にとってはこういう場所こそが魂のよすがとなるのではないかな、と大袈裟ではなく思っています。


「会話はできない」「おひとりさま席のみ」「お店のルールがいくつかある」など、ある意味人を選ぶような特殊な場所ですが、ある程度私の作品をお目に止めていただいた感性のあるお客様になら、この空間を楽しむ心意気などはわかっていただけるものと信じている部分があります。

とはいえ、今回の個展に際しまして、そもそも個性の強いお店をあまりお好きでない方もいらっしゃると思いますが、こうしてほんの少しですがこの記事を書くことで、「そういう場所もあるんだ」と思っていただいて、そういう場所がどうやら自分は好きそうだな、と思った方にのみ、きていただければと思っています。

個展という場ではありますので、新作はずらりと並びますが、このお店がご自身の性に合わないと思われる方には、他にも都内に作品を展示販売しているお店がいくつかありますし、催事等気軽に遊びにきていただける場もご用意しておりますので、そちらをご利用いただければと思います。

作家の勝手な我儘ではありますが、やはり、のんびりと豊かな空間で、静かに見ていただける機会は持ちたい、、、と思いながら続けて、シャララ舎さんでの個展は今年で7年目を迎えています。



これから私がどう変わって行くかはわかりませんが、常に自分を磨き精進することは当然として…けれど変わらぬ古巣としていつも穏やかに静かにそこにある、そんな故郷のような奇跡のようなお店とのお付き合いはこれからもずっと続けていきたいなあ、と思っています。

今年の個展にはぜひ、この状況ではありますので静かに豊かな過ごしていただくためにも、お席のご予約などの段取りをお願いできれば幸いです。
(初日と在廊の15日は全時間帯完全予約制です。詳しくはお店のtwitter @shalalasha33 をご覧下さい)

少し手間はかかりますが…その分他ではなかなか味わえない特別な空間を、きっと楽しんでいただけることと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

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時計荘個展「夢の再現」
2021.4.28(水)~5.30(日)
笹塚 シャララ舎(京王線笹塚駅徒歩8分)にて

※月・火曜定休(祝日含む)
※4.28と5.15は全時間帯予約制。4.10より店舗にて受付

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時計荘
頂いたサポートはすべて、確実に作品制作に充てさせていただきます。 (作品展示のご高覧、ご声援だけでも十分ですのでご無理なく!)