ワオがメンターをやるにあたって意識していること
これまでに仕事でメンターを任されたことがあり、その中で考えてきたことをまとめる記事となる。ざっくりと、メンターでやっていることとその意図とスタンスみたいなのを書いている。今まで3回メンターをやって「これすると良いっぽいな」が多少見えたので、そのまとめとしての立ち位置がこの記事だ。
メンター・メンティーだろうと大前提はヒト対ヒトでしかないこと
めちゃめちゃ当たり前のことではあるが、そもそもメンター・メンティーの前にヒトであることを忘れちゃいけない。なので、「自分はメンターだから...!」と意気込む前にまずはそもそもヒトとしてやることをやっといたほうが良い。初対面のときに変に怖がられないように挨拶をこっちからかけてあげるだとか、発言にリアクションをつけてあげるとか、テキストコミュニケーションでemojiを使うだとか、そんな感じのやつだ。この辺の細かい内容は、過去に書いた テキストコミュニケーションは感情を明らかにするとよいとか 怒らせるかな」を突き詰めると何も話せない あたりからニュアンスを汲み取ってくれると嬉しい。
個人的には、これさえ出来てれば「会社から与えられたメンターの仕事」自体は最低限果たせると思っているくらいだ。これだけだと100点ではないのはもちろんそうだが、「うわ失敗したな」とまでの大怪我まではしないんじゃないかと踏んでいる。大学の講義だったらギリギリ単位が出るくらいはこの意識だけでもこなせるのでは?というのが勝手な見解だ。
とりあえず何が言いたいかと、メンターメンティーである前に、ヒトとして優しく接する気持ちを持とうという話だ。
常にメンティーの味方であること
メンティーとされる立場の人間は基本的に「新卒」か「アルバイト・インターン」の方が多い。つまるところ、そもそもの社会経験が少ないことが大抵で、新環境に慣れるのにカロリーがかかる場合が多い。そんな立場のメンティーに寄り添おう!っていうのがこのメンターってやつの役割だ。仕事の進め方がわからなさそうだったりとか、立ち止まってそうなときだとか、「あーなんかこれやっちゃったかも」って場面に遭遇したとしても、責めるとかではなく「お、どしたどした?」と聞いてあげられるくらいの気持ちでやっていけるのが望ましいはずだ。
メンター期間中は何があろうとメンティーの味方として「じゃあこういうときはこうするといいかもね」「あ~それは大変だね。ちょっと一緒に考えてみるか」など、困ったときに1人にしないで寄り添うくらいの気持ちでいたい。例えこそ大げさかもだが、メンティーなにかをやらかしてチーム内で反発が仮に起きちゃったとしても「それはお前が悪いでしょ」と一蹴せずに、同じ立場として一緒にやれることを考えてあげる、くらいのマインドが正解な気がしている。
メンティーのバリューを最大限発揮させることを考える
メンターという仕事を振られたとき、最もわかりやすく""メンターしてる感""が得られるのは自分の専門分野をメンティーに教えて、密にコミュニケーションを取れているときだ。そりゃ当たり前で、「新規の人に自分が教えて憶えてもらって仕事が出来た!」ってのは""俺のおかげ感""が得られやすく、「じゃあ俺はメンター出来てるのかも!」みたいな気分になってしまう。これ自体は間違いではないし、規模の大小はあれどむしろ最初はこれ一緒にできるものを渡すくらいがお互いの関係値づくりとしてはちょうど良いのは事実だ。が、この体制をずっと出来るとも限らない。
メンターを何回かやっているうちに「あれ、これ別に自分が教えられる範囲じゃなくない?」といった場面に直面することが稀によくある。「メンティーはフロントエンドが得意だけどメンターはバックエンドが得意な場合」だったりとか、「メンティーはプロダクトの機能開発をガンガン進めに行きたい雰囲気を感じるが、メンターは機能開発というよりは改修系を担当するのが得意な場合」だとかそんな感じだ。そんなときにさっきの「""俺のおかげ感""が得られるとメンターが出来た気になれる」という感覚に縋っていると、あまり教えられないフィールドに立った瞬間に一気に「あれ???俺はメンターができていないのは???」っと真っ逆さまに落ちていくことがある。
これが起因しているのは結局「自己満足として"" メンターをしてる感""を得たいだけ」なので、考え方を変えると良い。メンターってやつはメンティーに育ってほしいのが目的で、めっちゃ雑に言えば「仕事のサイクルを自走してもらえるように成長してもらう」ことがゴールなのだ。ということは、冷静にそのゴールを見つめると実は自分が教える必要はなかったりする。むしろ、自分が教えなくても所属チームで気持ちよく動いてもらえるようになることのほうが重要だ。なので「メンティーがチームで最大限バリューを発揮できるようにする」を念頭に置いておくと、「自分はメンティーのやりたい分野はあんま詳しくないけど、でもメンティーはそっちをやったほうが伸び伸びとやれそうだな。うーん、じゃあそっちの分野の人にMRとか見てもらえるようにお願いしておくか」なんてムーブができるようになる。
自分が直接教えなくても、メンティーがチームで活躍して褒められていることのほうが大事なのだ。自分を褒めたいならば、メンティーが褒められてる場面を見て「うんうん、ワイが活躍できるように環境をセットアップしたおかげだな~」と心でほんのり思うくらいの気持ちがあればよい。
メンティーがメンターより"デキるんじゃね??"となったとき問題
メンターをしていると「いや普通にメンティーのほうが技術力がありますね....」なんてことも、稀によくある。結局これもさっきの亜種のパターンだが、自分よりメンティーのほうが技術力があろうと、他にもやれることはたくさんある。
それこそ、前項のように活躍しやすくなるように場を整えるでもいいし、仕事をするにあたって困っていることをヒアリングしたりだとかやることはたくさんある。「メンター」って言葉に馴染みがないせいかつい「なんか困ってたら助けてくれる人でしょ?」くらいに思ってしまうが、メンターはメンタリングをするのが仕事なのだ。なので、別にティーチングが出来る必要はない。メンティーが仕事をする上で躓きやすいしんどさ・つらさ・困りなどをサポートするのが主(なはず)なので、ここにこだわる必要もない。技術力が高いメンティーならその技術力を振るいやすくするようにサポートするだけでいいのだ。
聞きたいことがあるならまずはメンターが話す
ここまでを読んで「よし!じゃあメンティーの困ったところを聞けばいいんだな!」となるかもしれないが、こっからがまた難しかったりする。「えっと..…じゃあ困ったことありますか?」で話せる人間は少ないのだ。困ったことを伝えるというのは「困っているという状況を理解する」のに加えて「まぁこの人なら多少話してもいいか」と思ってくれないと中々出てこないもので。
いきなり「困ったことある?^^;」なんて言われても「誰だよてめーは」にしかならないのだ。
こういうときには困ったことを聞ける流れを作るとよくて、手っ取り早いのはメンター自身が困ってることを話してしまうと良い。「え!?メンターなのにメンティーに困ったことを話すのか!?」となるかもしれないが、別にメンターが困っちゃいけないなんて法律もルールもないから全然話しちゃって良い。こういう会話を通じて人となりを伝えられたり、単純接触効果などなどの諸々を含めてある程度向こうも打ち解けやすくなりやすかったりする。
「最近仕事の要件でこれを考えなきゃいけないんだけど、結構変数が多くて大変で~」みたいなエピソードトークを先にしてしまうのだ。そうすると「困ったことを聞かれたときはこういうことを言えばいいのか」と理解され、発言例として捉えてくれるので向こうも同じような話の流れをしてくれるという寸法だ。仕事で困ってることを聞きたいなら自分からまず仕事の困っていることを言えばいい。なので、夕会などでこういうことを聞きたいときはまずメンターから話すターンを作るようにすると会話の流れを作りやすい。それと、シンプルに何考えてるか全くわからない人と、なんとなくでも考えていることがわかる人だったら後者のほうが話しやすいじゃん?そういう感じだ。
ちなみにメンティーの雑談を聞きたいんだったらメンターも雑談するといい。自分だったら夕会を「今日やったこと」「困ったこと」「今日あったGood or New(雑談枠)」みたいな感じの流れにして、自分も全部この項目を先に話した上でメンティーに問うようにしていた。
形式にこだわりすぎなくていい
「メンターは毎日夕会をやって、隔週くらいでちょっと長めの1on1をやって~~~~」とかを考えていくと段々大変になっていくのだが、別に1on1だからといってmeetだかDiscordだか会議室に集まって話さなくてもいい。お互いに散歩しながらでも、御苑に行きがてらでも、スタバでお茶しながらでも、どっか長めのお昼に行きがてらとかでもいいのだ。形式にこだわっていると大変になることも多いし、つい特別1on1の場所を作ると力んじゃうことも多いが、小テクとして散歩とかを交えられると思ったより盛り上がったりとかもあるのでおすすめだ。
これはできるとベターくらいだが、こういうときにデザートが美味しいお店とかを知ってると(お互いが出社前提なら)そこそこ使えるカードになったりする。お腹が満たされると人間って生物はある程度上機嫌になる仕組みを備えているので、とりあえずご飯を突っ込んでおくといい。
「ワイは本当にメンターが出来てたんだろうか....」の反省会問題
これは最後の最後だが、「結局俺のメンターってどうだったの?」と思い悩んだりする。それもそうで、「メンターがよかったかどうか」という指標は定量的にないのだ。メンターの目的は「メンティーに会社に慣れてもらってバリューを出してもらうこと」からも、なんとな~~くメンティーの様子を見て楽しそうだったらなんとな~~~く「じゃあ上手くいってたのかな?」と類推することくらいしかできない。流石に終わったあと「俺のメンターどうだった????^^;」なんて聞くわけにもいかない。
なので、どうしようもないっちゃどうしようもないのだ。メンティーの活躍度合い・馴染度合いからメンターの成功度を取ろうとしても、どうしてもわからないのだ。
とはいえ、割り切ることはできる。上手く行ったにせよ行ってないにせよ、ちゃんとメンティーと話し合う時間をとってメンターのやるべきことをやっていればそれだけで「メンターの仕事」自体は出来ているのだ。極論、困ったことを聞いて困ったことが出てこなかったら、それを話してくれなかった側にもある程度責任はあるとも言えるわけだ。
ちょっと冷たい言い回しを敢えてするが、聞かれたタイミングで適切な返答すること自体も向こうの仕事なわけで、仕事の時間内に聞いてるのに適切に答えてくれなかったのなら心持ちとしてはそれくらい強気にいっちゃってもいいはずだ。もちろん、それをいかに上手くやれるかがこちらの仕事ではあるのだが。
もしかしたらもっと良い方法はあったのかもしれないが、最低限自分のなかで「やるべきことをやった」のなら反省点はそこではない。聞くべきことを問うた時点でちゃんと「メンターの仕事」は出来ていると言えるはずで、もしも「そもそも出来ていたのか?」と悩むくらいならこれくらいの割り切りをしちゃったほうが良い。その中で「実はもっとアレは上手くできたんじゃないか?」と反省する方向のほうがよほど建設的なので、そこで気負う必要はない。